過剰摂取
「…風がいる時…?」
「うん…あいつがいる時が大抵なんだよ」
風の名前が出てきた瞬間、ヴェルデがピクリと反応を示してマーモンは頷いた。
「なんか、風と一緒に話してると心拍早くなってドキドキするし…あと、触れられたりすると顔赤くなったり、胸がキューッてなったり」
「…」
「前までは何ともなかったのに…」
「あいつが僕に薬を盛る、とかは考えられない…いや、でもなんかありそうだな…」
「…おい、マーモン」
「ム?なに?もしかしてなにかわかった?」
「あぁ、わかった…」
ヴェルデは深いため息をつき、眼鏡越しにマーモンの姿を捉えて口を開く。
「…風のせいだな、それは」
「…やっぱり盛られてるのかな、薬」
「違う、そうではない」
サァァと顔を青くして自分の口元を抑えているとヴェルデから否定の言葉が入る。
「え…ならなに…怖いんだけど…」
「私はお前の鈍感さが恐ろしくて見るに堪えん」
「そこまで言わなくてもよくない?」
「いや、お前はそこまで言わないといけないほどのことをしている」
「どういう意味さ、あまり遠回しに言われてもわからないよ」
呆れた表情のヴェルデを見て意味が分からずに首を傾げる。
さっきからなんなんだ、ヴェルデの奴。
僕の事をあからさまに馬鹿にしたりして。
「…でも、なんで風のせい…」
「…ここまで言っても分からないのか、自覚がないのか…
あいつも、これでは報われないな」
風のせい、ってことは風が関わってるんだろうけど…だけど、僕の体調に不調を起こすことなんてあいつにはなにも…。
"胸、ということで当てはまりそうなのは不整脈か狭心症、心不全…あとはストレスや過労、といったところか"
さっき、ヴェルデはこう言ってたけどだからって風が…。
「…まさか」
ヴェルデの言葉を何度も頭の中で繰り返すうちに、マーモンはハッとした表情を浮かべてヴェルデに顔を向けた。
その表情からヴェルデは察したのか、ふっと小さく笑みをこぼした。
「流石のお前でも、ここまで言えばわかったようだな…」
「…あぁ…うん…わかったよ…
まさか…」
「風に対してストレスが…」
「おい」
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