複雑すぎる僕の思考
「...ごめん、風」
シャワー室から救出され、バスローブを身に纏ったマーモンはソファーに腰かけて申し訳なさそうに謝った。
「いえ、大丈夫ですよ
貴方が無事でなによりです...それに」
風はチラリとマーモンへと顔を向け、口元を手で押さえながら顔を反らした。
...もう何度も触れているからわかってはいますが…マーモンの身体、柔らかかったですねぇ…。
しかし、マーモンの裸…全てを見るのは初めてでしたので…なんとか我慢が出来てよかったです…よく耐えました、私。
シャワー室での全裸のマーモンを思い出しながら風が考え込んでいるとマーモンが見ているのに気づき、コホンと咳き込み顔を向けた。
「...それよりも、やはり寝ずに任務はやり過ぎですから気を付けてくださいね?
頑張るのは良いですが貴方の身体が心配です」
「それについては反省しているよ
君に無様な姿も見せてしまったしもう穴があったら入りたい...」
「いえ、こちらとしてはそんな姿も晒してくださった方がいいので」
「...えっち」
「ッんぐ!!」
マーモンはジトリとした目つきで風を見た後にぽつりと呟くとソファーから降りて寝室に向かって歩き出す。
少しおぼつかない足取りに風は心配なのか、後ろからついていった。
「...頭大丈夫かい?」
「...いたって正常です
ほら、もう早く寝てください...これ以上起きているとこちらが心配になってしまいますから」
寝室へと入り、ベッドに腰かけるマーモンのもとへと歩いていくと風は目の前で立ち止まりマーモンの頭にそっと触れて優しく撫でる。
マーモンはなにか言いたげな表情で風を見上げ、風は首をかしげた。
「どうしました?あ、もしかしてぎゅーですか?」
冗談混じりで両手を広げながら風が言うとマーモンはゆっくりと顔を縦に振る。
「...えっ?」
「...ぎゅー、してくれるんでしょ?」
"早くしろ"と言わんばかりに控えめに両手を出すマーモンを見て風は隣へと腰かけてそっと優しく抱き締める。
抱き締められたマーモンは首筋に顔を埋めると背中に手を回してギュッと抱き締め返した。
「今日はやけに素直ですね、こちらとしては嬉しいことですが」
「うるさいな、黙って僕のこと抱いてて」
「なんなら添い寝もしてあげますよ?」
「...なら、頼むよ」
「...自分で言っておいてなんですがいいんですか?」
「別にいい、君の体温は寝るのにはちょうどいい温かさだからね」
「それでは、失礼しますね」
風はマーモンを抱き締めたままポフッとベッドに横たわり抱き締め直した。
マーモンいい匂いしますねぇ...シャワーを浴びたばかりなので当たり前と言えば当たり前ですが。
マーモンの頭に頬ずりをしてスンッと匂いを嗅ぎながら思っているとマーモンが口を開く。
「...○起はしないでよね」
「善処はしますが...生理現象なので多目に見てくれると助かります
それにしてもなにかありました?」
「...なにがさ」
「いえ、私が抱きついても怒らないので」
「僕が望んで頼んだんだ、怒る必要はないだろう?」
「いえ、そうなんですが」
「...君は」
マーモンはもぞもぞと動いた後に風を見上げるとジッと見つめだす。
「君は...素直な僕は、嫌いかい?」
「...」
「たまにはいいじゃないか...僕だってそういう気分の時があるんだよ」
「...」
「もしかしたら眠いのもあるかもしれないけど君と1週間会えなかったし、そのせいか君の事が無性に恋しくてね」
「マーモン」
「普段の態度と違うのはわかっているんだ、わかっているんだけど君に触れたくて仕方がな」
「マーモン」
風が自分の名前を呼ぶ声に気付いたマーモンが風を見ると顔を手で覆い隠しながら耳を赤くしていた。
「...貴方って人は本当に...」
「え、なんだよ僕おかしなこと言った?」
「...いえ、あの...1つお聞きしたいのですが」
「なにさ」
風は顔を覆っていた手を退かしてマーモンの首筋に額をこつんとあてる。
「それって、私の事が好きってことでいいんですかね」
「...え、違うけど」
「は?」
マーモンから返ってきた言葉に風は間抜けな声を出しながら顔を見た。
「ふぁ...もうこの話はやめだ、やめ
もう少し頭が働いているときに、ね」
マーモンはぐりぐりと風の胸板に頭を押し付けるとそういって瞳を閉じる。
「そうですね、また貴方の気が変わったときにしましょうか」
「...風」
「ん?」
「...明日は1日一緒にいてくれるかい?」
「...貴方が望むのなら」
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