複雑すぎる僕の思考


「ふふ、これで貴方とおはようから始まり、おやすみで一日を終えることが出来ます
これほどまでに幸せなことはありませんね…同棲しているようです」

「そんな大袈裟な…というか、必要最低限の連絡しか受け付けないからな」

「貴方の姿が目の前になくても、声が聞けるなんて…ふふふふふ…」

「聞けよ、人の話」

自分の世界に入ってしまっている風を横目に、マーモンは残りのティラミスを口へと運びテーブルへと空になった容器を置いた。

「ご馳走様
さてと…悪いけど、今日はもう帰ってくれるかい?」

「え?まだ来て1時間しか貴方を堪能していませんよ?」

「堪能って…、これからこの任務の詳細を決めてスクアーロに報告しないといけないから
悪いんだけど、けっこう大がかりになりそうだから任務が終わるまで来ないでくれる?
準備とかで忙しくなるからね」

「?!」

"さてと"と準備に取り掛かるために立ち上がりながら言うと、横にいる風から"ガンッ"と落ち込んだような音が聞こえてくる。

「今から3日+2週間…貴方の声も、顔も、なにもかも見れない…ってことですか…?」

「…一ヶ月僕のこと放置してた君なら、耐えられるんじゃない?」

「うぐ…ッ…そ、その言い方は卑怯では?!」

「3度の飯より戦いのほうが好きだもんね」

「それはそうですが、それよりも貴方の方が好きですし愛しています!」

「はいはい、分かったから」

「分かっていませんよね絶対…!」

「わかってるさ、嫌と言うほどね」

必死に訴えかける風をあしらいながら、マーモンは自分のデスクに置いている書類を取りにデスクへと向かう。

「どれだけ君にストーカーされてると思ってるのさ
わかってるから、安心してよ」

「ストーカーって…」


流石に態度が露骨に出過ぎたかな…。


「…あぁ、もう…わかったよ」


マーモンは書類を手にした後にソファーへと戻って腰掛けると、一旦テーブルに書類を置いて隣にいる風に"ん"と手を伸ばした。

「ほら、ぎゅーしてあげるから
今日はこれで大人しく帰りなよ」

「う…」

「あれ、しないの?」

「したいです、したいです…けど…」

マーモンへと手を伸ばそうとする自分の腕の動きを止めながら、風は辛そうな表情を浮かべる。










「今、してしまったら…貴方を離したくなくなってしまいそうで…」











「…」

「なので、今日は我慢します!
また2週間近く経ちましたら伺いますので…失礼します!」

風の言葉に固まっていると、風は口早に言ってそのまま窓から飛び出していってしまい、1人部屋に取り残されたマーモンはしばらく固まってしまう。 


な、なんだよ…それ…。










…そう言われると…僕まで…。











「ッ!」

マーモンは自分の考えていることにハッとし壁にガンガンッと数回頭を打ち付ける。

「マーモンうっせぇよ!部屋ん中でなにして...」

隣の部屋のベルが先程の騒音に気付いてマーモンの部屋の扉を開けて勝手に入ってきた。
マーモンが頭を押さえながら壁と向き合っているのを見て怪訝そうな表情を浮かべながら近づいてくる。

「え、なに?なにしてんのマーモン」

「い、いや...ちょっと...色々と考え事をね」

「ふぅん、どーせお前の事だからまた難しいこと考えてんじゃねーの?」

「そんなことはないと思うけど」

「別にお前がなに考えようが王子にとってはどーでもいいけどさ」

ベルはソファーにボフッと音を立てながら座り頬杖をつく。

「たまには自分の思ったこと素直に口に出した方がいいぜ?王子みたいに」

「あのね、僕は君みたいに楽観的じゃないんだ
そんなすぐにできるわけ」

「やろうとしてねーだけじゃん、お前は
お前はさ、術士だから他の奴等惑わすの得意だけど自分の気持ちまで隠す必要なくね?」

「ムム...」

「くだらねーこと考えてないでたまには素直になれよマーモン」

「...僕のなにを知ってるのさ、君は」

「知ってるよ、だって俺王子だもん
そーいうわけだからマーモン、今から王子とゲームすんぞ」

ベルはぴょんっと立ち上がるとマーモンの元へ再度近づいて首根っこを掴んで引きずり出す。

「いや、僕今から任務の詳細決めないと」

「うっせーよ、王子命令
しかも考え事してる時にそんなことするとミスるぞー」

「ムムムムム…」

「王子に勝ったら解放してやるからさ」

「...はぁ、わかったよ」

ベルの言葉を聞いたマーモンは諦めたようにため息をついておとなしく部屋へと連行されていった。











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