逃げ場を探して


「まったく…あいつは…」  

お湯が張られた湯船に浸かりながらマーモンの口から疲れたように息を漏らした。

なんで毎度毎度、お風呂に一緒には入ろうするのか…僕と入ってもなにもおもしろくないのにさ。
…いや、違うな。おもしろいとかじゃなくて、あいつの場合僕のことが好きだからなわけで…。
でも、それで勃起されても困るんだけど。

「…」

先ほどのクローゼットの中での風の様子が頭に過ぎる。

火照って赤く染まった頬。
服の隙間から見えた胸板。
自分の身体に触れる、自分よりもゴツくて大きな手。










…あれは、確かに…刺激が強かったけど…。










「ッ…わぁー!わぁー!わぁー!!」

自分の考えにマーモンははッとした表情を浮かべ、頭に浮かんでいたことを消し去るように大きな声をあげて自分の顔に勢いよくお湯をかける。

なにを考えてるんだ、僕は!
そりゃ、あいつのそういう所見てちょっと興味…というか、なんというか…まぁ…思ってしまったけど…だけど!
決して性的興奮とか、そういうのはしてない!断じて!
これはそう、吊り橋効果!あぁいう、危機的状況だったからそう勘違いしてしまっただけ!

「あぁ、もう…」

なんで最近はこう…。










あいつのことが、頭から離れなく…。











バァァンッ!

「?!」

「マーモン、叫び声のようなものが聞こえましたが大丈夫ですか?!」

自分の額を手で押さえながら考え込んでいるといきなり浴室の扉が開かれ、焦ったような声で様子を見に来た風の姿が現れる。
マーモンはジャポンッ!と勢いよく肩まで湯船に浸かった。

「い、いきなり入ってくるなよ変態!」

「すいません、しかし大きな声が聞こえましたので」

「なにもないから早く出てって!」

「はぁ…あの、マーモン
なんでそんなに肩まで浸かってるのですか?あまり高い位置まで浸かるのはよろしくないかと」

「え?!あ…いや、それは…」

不思議そうに首を傾げて追いかけてくる風からの視線から避けるようにマーモンはススーッと視線をそらす。
すると、風は"あ…"と小さく声を漏らしてなぜか頬を軽く染めながら気まずそうに視線をマーモンからそらした。

「すいません、私としたことが…配慮が足りませんでしたね」

「ちょっと、なに勘違いしてるの?」

「貴方も男性ですし…ね?」

「待って、本当に話聞かないね君」

「大丈夫です、私もあの時は貴方に密着していたのと置かれていた状況に興奮してしまいましたし」

「…」

「…あ、なんだったらお手伝いを」

自分が何を言っても聞かずに自分の世界に入ってしまった風をマーモンは顔を真っ赤にし、ぷるぷると身体を震わせながら俯く。











ほんっとうに、こいつは…!











「どうしました、マーモン?」

「…の…」

「はい?」











「お前、しばらく僕の部屋出禁…!!」

「?!」










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