逃げ場を探して


ガタッ。

「ん?」

あ、やば…。

マーモンは風を避けようと少し身体を動かすと、自分の近くに置いてあった荷物に身体が当たってしまい物音が立ってしまいベルが反応した声に気付いた。

「なーんか音したけど…なにか中に入ってんのか?
それとも落ちたとか?」

クローゼットに近づく足音がだんだんと近付いてきてマーモンはキュッと唇を固く閉じる。

「…ッん」

身体に走るくすぐったさ。
マーモンは身体を跳ねさせながら風の手を見ると、未だに自分の服の中に手が入っており、下腹部に触れていることに気付いた。


な、にしてるんだよこいつ…!


「ちょ、君、なにして」

「…こういうシチュエーションって、興奮しますよね」

「真顔でなに言ってんの君!
いいから離し」

真顔で淡々と返事をする風を小声で叱りながらマーモンが風の手を上から掴むと、その手が動いてしまい下腹部に刺激が走る。

「〜ッ!」

マーモンはビクッと反応を示しギリッと歯を食いしばり声を抑えながら風の首筋に顔を埋める。

「…ッ…ふ…ぅ」

「だ、大丈夫ですか?」

「…黙っ…てて…ほんと…君…バレ、る…」

「…はッ!…も、もしや貴方のものに触れ」

「ッち…が…!」

はっとした表情を浮かべた後に頬を軽く赤らめて言い出す風に、マーモンはかぁっと顔を赤くしながら大きな声が出てしまいそうになるも風に手で口を塞がれてしまう。

その瞬間、クローゼットの目の前に人の気配を感じてそれがベルだと察する。

「うししッ、マーモンのクローゼットの中とか見たことねーし
なぁんか面白いもんでもあるかもなー
あいつがいないうちに、中覗いてみーよぉ」

楽しげな声色が聞こえてきて、取っ手に手が触れたのか小さな音が聞こえマーモンはギュッと瞳を閉じた。










…ッ…見つかる…!!










バァァァァァンッ!!


「ゔぉぉぉい、ベルぅ!
てめぇ、また適当に報告書出しやがったなぁ!!」

いきなり勢いよく扉を開ける音が聞こえたと思うと、スクアーロの怒鳴り声が部屋の中へと響き、耳がキィィンッとしてしまう。

「うげ、スクアーロ」

「うげ、じゃねぇ!
毎度毎度何度言っても聞きやしねぇ!
今日という今日は徹底的に報告書の出し方仕込んでやる!」

「王子そこまで暇じゃねーし?
マーモンも戻ってこないし、王子部屋からいーち抜けっ」

「あ"!待てゴラァ!」

ばたばたと走って部屋を出ていく足音と、バタンッ!と勢いよく扉が閉まる音。
嵐が去ったかのように部屋は先ほどの騒がしさが無くなり、シンッと静まり返る。

「…行きましたかね…」

「…そう、みたいだね…」

しばらくクローゼットの中から様子を伺い、マーモンは風の上から退いてそっとクローゼットの扉を開けて室内を見渡すともう誰もおらず、自分と風だけになっていた。

「…はぁ…ほんと、心臓に悪い…」

マーモンはクローゼットから出ながら深く息を吐きながら呟く。

「すいません、私が一緒に入ってしまったばかりに」

「こういう事はもうごめんだから、君だけ隠れてよね」

「わかっています」

風もあとから出てきながら困ったような笑いを浮かべ、着ていた中華服を脱ぎ始める。

「え、なんで脱ぐの?」

「まだ身体が火照っていて冷まそうかと」

「あぁ、確かに君代謝いいもんね…」

そういう僕も、まだ身体熱いし汗が…。

着ているシャツが素肌に張り付いて気持ち悪いのか、マーモンは"うーん"と小さく声を漏らした。

「お風呂入ろうかな…今ならベルもしばらく部屋に来なさそうだし」

「…」

「…おい、なんだよその顔は」

ふと風が自分を見ている視線に気付いて、入浴の準備をしながら声をかけてみる。

「もしかして僕、汗臭かった?けっこう汗かいちゃったし」

「あ、いえ…匂いはいつも通りいい匂いでした」

「いい匂いでした…?」

それはそれで気持ち悪い。

「それじゃ、なに?
僕今からお風呂入るから君はもう帰って」

「それです」

「?」










「お風呂ご一緒しても」

「だめ」











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