逃げ場を探して


「マーモンのやつ、おっせぇなー
どこまでふらついてんだよ」


「…いつまで…」

…いつまでこの状態なんだ…。

マーモンは一向に部屋から出ていく気配のないベルをクローゼットの隙間から見て呟いた。

スマホないから時間見れないけど、もう1時間くらい居座ってる。
いや、いつもの事だからいいんだけど…今じゃないんだよなぁ…。

「風、大丈夫?」

さっきからおとなしくしている風の様子が気になり、少し顔だけ向けて声をかけてみる。

「…大丈夫です」

「…?大丈夫そうな声には聞こえないんだけど」

いつもよりも覇気のない声。
マーモンは身体を静かに動かして風へと身体を向け様子を顔を覗き込んだ。
少し元気のなさそうな表情にマーモンは首を傾げる、

「暑いから体調悪くなった?」

「いえ…体調は大丈夫です」

「ムム、嘘付くなよ
いつもみたいな元気ないじゃないか」

軽い熱中症…そこまでではないと思うけど…。

「ごめん、ちょっといい?」

「?なんでしょ」

ひと声かけ、風の返事を待たずにスッと風の上へと跨って自分の額と風の額をコツンと合わせる。


…自分よりも若干体温が高いが、そこまでではない。
たぶん、平熱。


「あの、マーモン」

「熱はないみたいだね…もう少し服緩めるかい?」

「いえ、そうではなく…」

「?」

微かに頬を赤らめて視線をススーッとそらす風。


…あぁ、そういうことか。


「ごめん、配慮にかけてた」

「…いえ、いつものことなので大丈夫です」

スッとマーモンは風から顔を離す。
すると、風は少しほっとした表情を浮かべて顔をそらした。


やっぱりそうだったか…。


風の様子から察したマーモンは、着ていたローブのボタンを外し始める。

「…?マーモン、なに…を…」

マーモンが目の前で脱ぎ始めると風はピシッと動きを止めて額から汗を流し始めた。
それを横目にマーモンはボタンを外し続けてローブを脱いでいく。

「僕にくっついてて暑かったんだろう?
確かに、僕のローブ生地が少し厚いから…」

脱ぎ終え、シャツ1枚になると少し暑さが和らいだ気がしてボタンを少し開けながら小さく息を漏らした。
その様子をガン見している風がふと視界に入る。

「そんなに見ないでくれる?」

「…貴方って人は…私の現状を理解したのではないのですか?」

「してるさ、暑いんだろう?
僕、けっこう着てたからそれでなおさら暑いのかなって」

「…そんなに薄手になって…マーモン」

風は深いため息をついた跡、スッとマーモンの頬に手を伸ばして顔を近づける。











「この状況、わかっていますか?
暗い中、貴方と身体を密着させているのですよ?」










「…わかっているさ」

真剣な眼差しを向けてくる風の手に擦り寄るように頬を寄せて瞳を細め、見つめ返す。

「…わかってるよ、そのぐらい」

「…マーモン」

「でも、君はこの状況でそういう事をしないって"信用"、してるから」

「うぐ…そ、その言い回しはずるくないですか?」

意地悪気な笑みを浮かべながら言うと風は言葉を詰まらせ、拗ねたように唇を尖らせる。

「まぁ、そういうわけであと少し我慢してよね
僕もいろいろ我慢してるんだから」

そう言いながらマーモンは風の太腿の上から降りようとすると、風に腰を抱き寄せられてしまい、バランスがとれずそのまま風にぽふっと寄りかかってしまう。

「ちょっと、風」

「…この体制のままがいいです、貴方のお顔も、これならよく見えますので」

コツンと額と額を合わせられ、間近に風の顔が現れマーモンは驚いたように瞳を見開いた。
あまりの近さに驚きながらもマーモンは視線だけを横へと移動させる。

「…落ち着かないから、やだ」

「なら、慣れてください…この近さに…私にも」

「ッ」

吐息混じりの声に背筋がゾクリと震え、そっと視線を風へと移すと熱のこもった瞳が向けられていた。










…あ…これは、やばい。











「ちょ、ちょっと風」

力強く抱き締められ、微かに走る痛みにピクッと反応を示しながら風の肩を押すも微動だにせず、風はマーモンの首筋に顔を埋めてスッと抱いていた片手を服の中へと手を入れ始める。

「大丈夫です、少し…触れるだけですので」

「むッ…、ふ…ふふ…」

上目がちにマーモンを見つめながら中に入れた手が腹部へゆっくり触れられてマーモンはくすぐったさから小さく声を漏らす。


く、すぐった…。


「ッ風…やめて、くすぐったい」

「…いやです」

「嫌って、君」

「私、もうずっと我慢してるんです」

"はぁ"と熱のこもった息を吐きながら風は切なそうな表情でマーモンを見つめて顔を近付けていく。

「ちょ、待っ」

「マーモン」










「少しだけ、触らせてください」










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