逃げ場を探して


「アルコバレーノの集会?」

「えぇ、そうです」

マーモンの部屋。
いつも通りやってきた風が慣れた手つきでレモネードと持ってきたお菓子をテーブルに置きながら言う言葉をマーモンは不思議そうに反復した。

「この前集まったじゃないか、2、3ヶ月くらい前に」

「あの時はただの飲み会という形でしたからね…
なにも情報共有とかしていませんでしたし
すでに、代理戦争が終了して半年近くが経つのですからここらへんが丁度いいのでは、と」

「…ふぅん」

「リボーンが貴方に連絡を入れようとしたらしいのですが、着信拒否されていて伝えられないということで私が頼まれたのですが」

「あいつと話すことなんてびた一文ないからね」

「着信拒否解除してあげては?」

「いやだよ、あいつとは極力関わりたくないしなにかあればボンゴレ経由で連絡は取れる
第一、僕は君達と違って暇じゃないんだ
出るつもりは最初からない」

風に用意されたクッキーを手にし、一口齧りながらマーモンはめんどくさそうに言う。

リボーンと会うのは風を探しに並盛に行った時以来だな。
あの時はそう大して話とかはしてなかったけど。











"...フハ、だから言ったじゃねーか
隙を見せるなってな"










「…マーモン、どうしました?」

「え?」

リボーンとの任務の時を思い出しているとふと風に声をかけられて顔を向ける。

「どうしたって、なにが?」

「唇、触ってるので怪我でもしているのかと」

「唇…」

風に言われ、初めて自分の手が唇に触れていることに気付き、マーモンはパッと手を離した。

「いや、特に無いけど…あ、でも少し乾燥してがさついてる」

「リップクリームでもつけましょうか?
確かあそこの棚の中に…」

「いやなんで場所知ってるんだよ」

なんの躊躇もなく、棚へと向かう風に若干恐怖を抱きながらも残りのクッキーを口へと運んでいく。

というか、そうなると風がここに通い出してから半年…いや、5ヶ月?4ヶ月?そのくらいになるのか。
最初はいい迷惑だと思っていたけれど…、いや、今も迷惑極まりないけど。

棚の中を確認する風の後ろ姿を見つめながら風は口元に小さく笑みをこぼす。










…まぁ…悪くはない、かな。










「あ、ありましたよマーモン」

リップクリームを探し出した風は手に持ちながらマーモンへと近付いていき、マーモンが座っているソファーへと腰掛けた。

「ありがと」

受け取ろうと手を差し出すも、風はにこにこしながら渡す気配がない。

「…ねぇ、早く貸してよ
唇につけるからさ」

「だめです」

「だめ?なんでさ」

「それは、私が塗って差し上げるからですよ」

リップクリームの蓋を取り、くるりと回してリップの先端を出しながら告げる風。

「あぁ、そうなの?君がつけ…」

ん?風がつける?

「なんで君が塗る必要あるんだよ!」

自分へとゆっくり迫ってくる風を避けるかのようにマーモンはソファーの端へと寄っていく。

「ふふ、こういう事をするのも夫の役目ですので」

「久々に聞いたなその台詞!
そもそと、君リップ塗ったことあるの?!」

「ありません、なので貴方が初めてです
私の初めて…もらっていただけますか?」

「意味深な言い方やめてくれる?!」

「まぁまぁ、そう言わずに
ちゃんと優しく致しますので」










ガチャッ。










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