ひと時だけでも独り占め
「…まったく、なにを言い出すのかと思えば」
ジッとベルを見つめていたマーモンはぽつりと呟き、ベルからフイッと顔を逸らして背中を向けた。
「そんなに僕に構ってほしかったなら、素直にそう言えばいいのに」
「そういう意味じゃねぇんだけど?」
茶化すような口ぶりにイラッとしたベルはマーモンへと手を伸ばして肩に触れようとした。
すると、いきなりマーモンはくるりと振り返りベルの顔を覗き込んできて口元に笑みを浮かべ、ベルは驚いて瞳を見開いた。
「ベル」
「…なんだよ」
「君がそんなに、僕と一緒にいたいなら
僕がヴァリアーにいる限りはいてあげるよ」
「…なぁに上から言ってんだよ、くそちび」
「むぎゃッ!」
驚いたようにマーモンを見つめた後、ベルはマーモンの頭を上から手で押さえ込んでギリギリと力を加えた。
マーモンは痛みから声を上げ、ベルの手を離れさせようと手首を掴んだ。
「なぁにが、"いてあげるよ"だよ
王子がいてやんだから、調子に乗んなよ」
「いったぁ…こんのくそ王子め…」
パッと手を離して先に歩き始めると、背後からマーモンの唸り声が聞こえだす。
なぁにが、いてあげるよ、だよ。
俺の言ってる意味と、お前の意味。
全然違うわ、馬鹿マーモン。
「ほら、早く帰ろうぜマーモン」
「いたた…君のせいで痛いんだけど」
「うっせ、俺も痛いわ」
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