ひと時だけでも独り占め


「…」

「ずっと気になってたんだよね、数ヶ月前にあいつが初めて不法侵入したあとから
本来だったら、そういうの真っ先に始末するのにお前しないし」

「…あの時はまだ、呪いが解かれて時間が経っていなかったからね
その状態で風を始末したら、リボーンになにを言われるかわからない
とりあえず、用件だけでもと思って」

「それはわかるけどさ、お前あいつと会ってからなーんか変わったんだよね
雰囲気というか、態度とかさ、プラスな面で」

「…僕的には変わったつもりないけど」

「それは、お前自身は気がついてないだけ
赤ん坊の時のお前って、すげぇ切羽詰まってて余裕がない感じで、俺ら幹部とも一線は引いてたじゃん
呪い解かれた後もそれはそれでニューヴァリアーリング作って貯金無くなってそれを取り返そうと躍起になってた
今だから言うけどさ、スクアーロもルッスーリアも結構心配してたんだぜ?
"呪い解けたのはいいけど、あんなに働かせて大丈夫かー"って
王子は別に、お前の好きにやればいいって思ってたから言わなかったけど
つーか、言ったところでお前聞かねぇし」

「…流石、よく僕のことわかってるね」

「うししッ、何年お前と一緒にいると思ってるわけ?
お前が俺のことを理解しているように、俺もお前のことちょーっとはわかってるつもりだから」

ニンッとはにかみながらマーモンを見ると、マーモンもつられて小さく笑みをこぼした。

「そんで、そんな躍起になってたお前が少し変わったって思ったのが、あいつが初めて不法侵入した後からなわけ
強いて言うなら、お前任務で怪我して1週間後くらいにいきなり2日間姿消してた日あったろ、それ以降かな
呪い解けて余裕が出てきたからかも知んないけど俺とか他の奴らとよく接するようになってきたし、表情も柔らかくなった
ぶっちゃけ、気持ち悪いくらい変わってさ
まぁ、だからあいつが関わってんだろうなー…って、王子は思ったわけ」

一気に話をして喉が渇いたのか、ベルはアイスティーを一気に飲み干して一息ついた。
マーモンはベルの話をジッと静かに聞いており、話が終わると同様にレモネードを一口飲んだ。

「…そんで、どうなわけ?
マーモンが変わったのはさ、あいつのせい?」

「…あいつのせい、って言い方だと悪く捉えちゃうな」

ベルの言葉にマーモンはピクリと反応を示し、口元に微かに笑みを浮かべ頬杖をついてベルを見つめ出す。

「スクアーロとかは僕の変化を喜んでいるのに、君は喜んでないみたいに聞こえる」

「うししッ、そりゃ俺的にはおもしろくねぇもん
俺のほうがお前と居る時間多いのに、8年もお前と一緒に居るのにさ」

笑いながらマーモンの横髪に手を伸ばして優しく触れ、前髪で隠れている瞳は真剣にマーモンを見つめた。

「ベル?」


俺のほうが、こいつと一緒にいて。

一緒の時間共有して。

喧嘩もしたけど、こうしてたくさん出かけたりしてんのに。











俺のほうが、こいつのことたくさん知ってて。










たくさん、好きなのに。










「…それなのに、ぽっと出に立場奪われるとか…笑えねぇ」

ぽつりと呟くその言葉。
マーモンは聞こえていないのか不思議そうにベルの様子を伺っている。

「…マーモン、ケーキ食い終わった?」

「え、あ、あぁ…食べ終わってるけど」

しばらく沈黙が続いた後、ベルがそう声を掛けるとマーモンは食べ終えたことを告げる。

「なら行こうぜ、さっすがに王子はもうこれ以上無理だし」

「…まぁ、君はそうだろうね」

いつもと変わらない雰囲気のベルに安心したようにマーモンは返事をして椅子から立ち上がる。










「もちろん君の奢りだよね」

「ししッ、貧乏なマーモンより金持ってるからな
だって俺王子だし?」










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