ひと時だけでも独り占め


ベルはケーキを選んでいるマーモンの後ろ姿を見つめながら頼んでいたアイスティーを飲んだ。

前は呪いのせいで赤ん坊にされたことをすげぇ怒っていて、呪いを解くことに躍起になっていた。
だけど、虹の代理戦で呪いが解かれてしばらく経って、余裕が出てきたから昔を懐かしむような感じでさっきの発言が出たんだろ。

だけど…。


"そうだね、やっと
でも、今考えると呪われたせいで僕は…"


「…いやなんで、そこで赤くなんだよ」

マーモンが最近、雰囲気がよくなったっていうのは皆が言ってるし、俺もそう思ってる。
まぁ、呪いが解かれて精神的に余裕が出てきたからかもしれないけれど。
つーかあれ、あの中華野郎が来てからだ。
あの日、任務が終わって寝ようとしたら不法侵入者が出たって言われて探したらマーモンの部屋にそいつがいたあの日。

それ以降、なーんかセキュリティがどうこう言って金払ってまでセキュリティを強めてたけど途中からなんか諦めた感じになってた。

…でも、たぶん変わったのはその日以降。

いきなり2日間くらい姿ふらーっと消していなくなった時あったし、二日酔いで返ってきた日もあった。
そんで、2週間前にあった謎のジャッポーネ行き…。










…あの中華野郎が関わってるのは…確かだな。










「ベル、お待たせ」

考え込んでいるとマーモンの声が聞こえ、目の前にモンブランが乗った皿が差し出される。

「さーんきゅ」

ベルは受け取るとテーブルの上へと置き、その小さな体に何個入るんだよ、と思うほどケーキを乗せているマーモンを見つめた。


ちょいとカマかけてみるか。


「なぁなぁ、マーモン」

「んむ、なんだい?」

「最近あいつ来ねぇじゃん」

「あいつ?あいつって誰さ?」










「風、だっけ?アルコバレーノの」










「…」

風の名前が出た瞬間、マーモンのケーキを食べようとしていた手がピタッと止まる。

「…いきなりなにさ」

「いんや、別に
あいつ不法侵入2回くらいしてっからさ、今度来たら切り刻んでやろうかなって思って?」

「あぁ、そういう…」

「つーか、そんなにアルコバレーノの集会とかあるわけ?
もう呪い解かれてんのにさ」

「それはそうなんだけどね、バミューダ達の動向を一応共有して、様子を見ておかないと
…沢田綱吉のおかげで、呪いも解かれたんだけどまたいつ変に気を起こすやつが現れてもおかしくはないから
僕達がそこまで気にすることはないのかもしれないけど…最後の呪われた者として、そこは責任を持って見ていこうってことになってるから」

「ふぅん」

「君、自分で聞いといて興味ないだろ」

「はっきり言って興味ない」

「…だろうね
そもそも、なんで風の事を聞いてきたのさ」

「言ったじゃん
不法侵入また今度したら切り刻むって」

「そこまでしなくても
一応、僕と同じアルコバレーノだったんだから」

「お前、そー言ってるけどさ
前まで結構あいつのこと嫌ってたじゃん
顔見ただけですげぇ嫌そうな顔してたし」

「…まぁ、うん」

「それなのに、今話しててあいつの事庇ってるしさ
なに?あいつに弱みでも握られてるわけ?」

「別にそういうのじゃないよ」

「ならなんだよ?」

「…どうしたんだい?
今日は随分とアルコバレーノに…というか、風について聞いてくるじゃないか」

ジッとベルを見つめた後にマーモンは小さく息を吐きながらレモネードの入ったグラスを手に持って一口飲んだ。

「そんなに彼が気になる?」

「なんで野郎なんか気にかけねぇといけないわけ?」

「君はなにがそんなに気になるの?」

「…お前にカマかけても、こうやって言われちゃうんだもんなー
なら直球に聞くわ」










「お前さ、あの中華野郎となんかあった?」











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