ひと時だけでも独り占め
「遊びって、君ね…」
マーモンはベルの言葉に歩みを止めて呆れたような表情を浮かべた。
「夜通しで任務してたから僕眠いんだけど
もう君みたいに若くないんだから、寝ないで遊ぶとか無理だよ」
「ししッ、マーモンじじくせ」
"見た目小さくて俺よりも年下に見えるのに"
と口にしようとしたが、キレて遊んでくれなくなりそうだったので自分の心の中に留めておく。
「じじくさくてもいいよ、とりあえず僕は帰るよ
殺し屋殺しするなら止めないけど、ほどほどにしてよね」
そう言ってマーモンは再び先を歩こうとし、ベルはそれを引き止めるように手首を掴んだ。
「…ベル」
「街中にケーキバイキング出来る店見つけたんだけど」
「…」
ケーキバイキングの言葉を出すと、マーモンの表情が少し緩んだのが分かる。
「最近お前、全然かまってくれねぇし2週間前も1人でジャッポーネに行ってたらしいじゃん?
王子のこと誘わないでさ」
「それは…少し用事があったからで」
マーモンは間を開けた後に少しベルから視線をそらし、その些細な動きをベルは見逃さなかった。
2週間前。
マーモンがいきなり1週間の休みを取り、ジャッポーネに行っていたらしい。
急なことだったので、マーモンが入っていた任務が他の幹部に振り分けられ、その分他の幹部の任務にマーモンが現在入っている状態。
今日の任務も、本来ならルッスーリアと俺の予定だったがマーモンとの任務になった。
マーモンが急を要するほどの用事。
一体それがなんだったのか、スクアーロでさえ知らされていないらしかった。
しかし、あまりの気迫にスクアーロは許可を出した。
…それが、いったい何だったのか…。
「…わかったよ、一緒にケーキバイキング行こうか」
「…ししッ」
しばらくすると、ベルが折れないことを察したのかマーモンの口から小さなため息とともに一緒に行くことを告げられる。
その言葉にベルは嬉しさから笑みを浮かべた。
「最近君とゆっくりできてなかったしね
それに、そんなに僕と一緒にベルが行きたいっていうんだ
大人として、付き合ってあげないとね」
「はぁん?なに生意気なこと言ってんだよくそちび」
先を歩きながらからかうマーモンの口調に、ベルは隣へとタタッと近付いていき、軽く脇腹を小突いた。
「ムムッ、そんな態度とるなら一緒に行ってやらないよ?」
「うっせ、強制連行、王子の言う事はぜーったい」
「嫌な王子に捕まっちゃったもんだな、僕も」
「ばーか、光栄に思えよ庶民」
「この王子に誘われてんだからさ」
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