吐き出されるこの言葉


「…」

チーーーン。

「…大丈夫ですか、マーモン?」

「…大丈夫じゃない…」

朝、マーモンは布団の上でうつ伏せになり、がんがんと頭に響く痛みに耐えるように瞳を閉じた。

昨日、喉が渇いて冷蔵庫の缶のジュースを飲んだと思ったら、お酒を飲んでたみたいで…なにも覚えてない。
いつの間にか布団の上で寝かせられていたけど風が移動させてくれたんだろうな。

「ごめん…昨日、ジュースだと思ったらお酒飲んでたみたいで…
布団に運んでくれたの、君だろう?」

「…」 

「…風?」

「あ、あぁ…すいません…
マーモン、貴方昨日のこと…覚えていないのですか?」

自分の問いかけにきょとんとした表情をする風に再度名前を呼ぶと、そのような事を言われてしまい、マーモンは頭痛がする中昨日のことを思い出す。
しかし、思い出すのは自分が缶を持ってアルコールだと察したその瞬間のみ。

「…覚えてないも何も、お酒飲んでからの記憶がないし…」

「…まぁ、ですよね
そうだと思っていました」

何も思い出しても、その光景しか思い出せずに伝えると、風は小さく息を吐きながらマーモンの隣へと横たわる。 

「ムム、なんだよその反応…もしかして僕、やらかした?」

「二度寝してしまいましょうか
チェックアウトまであと少しありますし」

「二度寝って…というか、僕の話をそらさないでよ」

横に来た風の顔をチラリと見てみると、うっすらと目の下に隈があることに気付き、マーモンはスッと手を伸ばして隈に触れた。

「どうしました?」

「君、眠れなかったの?目の下に隈出来てるけど」

「…えぇ…ちょっと…色々とありまして…」

「ふぅん…君、ここに来るの楽しみにしてたからね
はしゃぎすぎたんでしょ」

「ははは…」

「まったく…」

乾いた笑いをする風にマーモンは小さく息を吐くと、風の背中に手を回して優しくあやすように背中を叩く。

「ッ?あの」

「どうせ頭痛くて眠れないし、いいよ
チェックアウトの少し前になるまで寝てて、起こしてあげるから」

「…この状態じゃ、眠ろうにも眠れないかと」

「眠れない、じゃなくて寝るんだよ
ほら、おやすみ」

「…おやすみなさい」

そう言うと渋々と言ったように風は瞳を閉じ始め、少し経つと小さく寝息が聞こえてきた。

なんだ、やっぱり眠かったんじゃないか。

すぐに眠りにつく風を見て思わず小さく笑みを零し、マーモンは風の頬を優しく撫でた。










「…おやすみ、風」










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