吐き出されるこの言葉


「…あの、大丈夫ですかマーモン?」

「…な…なんとかね…」

マーモンは布団の上に仰向けになり目元を腕で隠し、自分に向かって団扇を仰いで心配そうに顔を覗き込む風に小さな声で返事をした。

「あの後露天風呂から出てこなかったので様子を見に行ったら、顔を真っ赤にして沈みかけていたので驚きましたよ…」

「ちょっと…星空見てたら逆上せちゃって」

「飲み物でも買ってきましょうか
少し待っててください?」

「あぁ…頼むよ…」

団扇をテーブルへと置いて飲み物を買いに行くために風が部屋から出ていくのを見送ると、マーモンは落ち着くように小さく息を吐いた。

さっきのあいつの顔が頭から離れなくて、お風呂に浸かりすぎた…。
備え付けの冷蔵庫の中…なにか入ってたりとか…。

ゆっくりと身体を起こして気だるげな足取りで小さめの冷蔵庫の前へと行くと扉を開けて中身を確認する。
すると、和菓子が人数分置いてあるのと飲み物も何本か入っていた。

あ、これ甘いジュースかな…。
風買ってきてくれてるけど、早く喉を…。

ふと目に入った缶の飲み物が気になり、苺の絵が描いてあるのを見てこれにしようと手に取るとゆっくりと缶の蓋を開ける。
プシュッと音を立てながら蓋が開き、"これ炭酸かな?"と首を傾げながらも一口飲んでみた。


仄かにする苺の味。

そして、遅れてやってくるアルコール。


「むぐ…あれ、これ…」











マーモンの顔の血の気がサァァと引いたような気がした。










「マーモン、飲み物買ってきましたよ
自販機でしたので、そんなに種類はありませんでしたが…」

飲み物を買い終えた風は数本抱えながら部屋へと戻ってきてマーモンへと声を掛ける。
しかし、返事はなくシンッとしていた。

眠ってしまったのでしょうか…。
ですが、水分補給はしてもらわないと少々困りますし起こして…。


先程の話の続きもありますし。


「マーモ…マーモン?!」

少し中へと入ると、テーブルの横で横たわっているマーモンの姿が目に入り、ギョッとして風は飲み物を放り投げてマーモンのそばへと駆け寄った。

「どうしました?!なにが…」

「む…ふぉん…?」

肩を揺するとマーモンはゆっくりと瞳を開けて風を視界へといれる。
頬は仄かに赤く染まっており、とろんとした瞳をしていた。

よかった、反応はある…。
しかしなぜこのような…まるで…。

スンッ。

「…これは」

ホッとする風だったが、マーモンから微かにアルコールの匂いを感じふとテーブルを見ると一本の缶の蓋が開いていた。
不思議に思い手にとってよくよく見てみると、アルコールの表記があり風は"なるほど…"と状況を察した。 

「マーモン貴方…どこからこのお酒を?」

「れいぞうこ…喉かわいて我慢できなくて…」

「買ってくるって言ったではありませんか…もう
お水、飲めますか?」

「ん…もらう…」

のそのそと身体を起こすマーモンの身体を支えながらペットボトルの蓋を開けてマーモンへと差し出した。
マーモンは受け取り、そのまま数口水を飲んだ。

「ぷは…ありがと」

「どういたしまして
今日はヴェルデの薬はありませんし…安静にしていてくださいね?」

「普通のジュースかと思ったんだけどね…
でも、これ美味しいからもう少し」

「だめです、明日動けなくなりますよ?」

「むむ…」

再び缶に手を伸ばそうとするマーモンを阻止するように缶を取り上げると、不服そうな表情を向けられる。

「別にいいだろう?
もう明日二日酔いになるのは確定してるし
それに、どうせ介抱してくれるんだろう?」

「…そりゃ、まぁ…しますが…あっ」

ジトリとした目つきで言われ言葉を返していると不意に缶が自分の手から勝手に離れていき、マーモンの手の中に収められる。

「んふふ」

「超能力を使うのは反則では?」

「使えるものは使わないとね」

「もう…明日ケーキバイキング行けなくてもしりませんからね」

「大丈夫さ」

「大丈夫ってよく言い切れますね」

こくこくと缶に口をつけて飲み始めるマーモンを見ていると、指をヒョイッと動かし、隣に幻術のマーモンが現れる。


…現れる、のだが…。










「こうやって幻術の僕に食べてきてもらうから」

「…その幻術の貴方、酔い潰れてますが…」

「あれ?」










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