吐き出されるこの言葉
本当に、可愛いですねぇ。
風は隣で俯きながら歩くマーモンをチラリと横目で見て口元に笑みを浮かべた。
マーモンは気付いていないのかなにも話さず歩き続ける。
私に対しての言動一つ一つで一喜一憂するその姿。
まさか、そこまで私に対して好意を抱いてくれているとは…。
3日前、この旅館を探して予約をしていてよかった。
"僕、君の事好きじゃないよ?"
3日前、マーモンから言われた言葉。
その後は特に問い詰めるなどの行動はせず、マーモンは疲れていたのかすぐに眠りについていた。
以前から少しずつ感じてはいたこと。
しかし、3日前の件ではっきりとしました。
マーモンは私に、好意を抱いている、と。
はたから見たら自惚れだと言われるかもしれませんが、これはもうほぼほぼ確定でしょう。
しかし、当の本人であるマーモンがまだ認めない。
自分の心境の変化についていけずに認めたくないのか、はたまた本当に気持ちに気づいていないのか…それは定かではありません。
ですが、せっかくのこのチャンス。
逃すわけにはいきません。
無意識にマーモンの手を握る手に力が籠もってしまう。
今日、私は…。
マーモンとのこの関係に、終止符を打ちます。
「風」
不意にマーモンから名前を呼ばれハッとした風は、頭の中の考えを振り払うように顔を横に少し振った。
「はい、なんでしょう?」
「手、痛い」
「手?」
そう言われて手を見るとギュッと強くマーモンの手を握りしめていた。
「す、すいません!つい力が」
「どうせまた僕がどっか行きそう、とか思ってたんだろ」
「そういうわけでは」
「安心しなよ、風」
慌てて離そうとした手を、マーモンは逃すまいと握りしめて風を横目で見る。
「君から逃げないから」
「…マーモン」
「そもそも、君から逃げられる気がしないしね
無駄な抵抗はやめることにしたよ」
「私から逃げない、ですか…」
「ムム、なんだよその意味深な言い方は」
「いえ…ふふ」
「つまり、私と結婚をしてくれると」
「なにをどう聞き間違えたらそうなるんだよ
頭愉快過ぎじゃない?」
→
