吐き出されるこの言葉
「…結構広いね」
チェックインを済ませて客室へと案内された風とマーモン。
中へと入ると、2間続きの和室で普段洋室で過ごしているマーモンからしてみると畳が新鮮で印象的だった。
片方にはテーブルと座椅子が置いてあり、もう片方にはすでに2つの布団が敷かれている。
「そうですね、私も初めて和室の部屋に泊まります」
「というか布団…距離近過ぎじゃない?
ぴったりくっついてるじゃないか」
「まぁまぁ、いいではないですか
もう恋人も同然ですし」
「…本当、君はブレないね」
いつもと変わらぬ様子の風に呆れと安心感を感じながら畳の上へと一歩のぼってみる。
少し違和感はあるものの、だからといって嫌な感じはしない。
「マーモンマーモン」
「ム?」
畳の感触を確かめていると風が少し興奮した様子で声をかけながら手招きをしており、マーモンは風のそばへと向かう。
「なにさ」
「露天風呂ありますよ、露天風呂!
ここなら景色もいいですし、ゆっくりと堪能できますね」
「露天風呂…あぁ、確かにそういうこと言ってたね、君」
風が指差す方向を見てみると、外へと繋がっている扉がありその先に露天風呂があるのが見えた。
「へぇ、外にあるんだ…」
「今の時期でしたらそれほど寒くはないのでちょうど良いかと
あとで入りましょうか?」
「そうだね、君がいない時に入るとするよ
君がいると中から見られそうでゆっくり湯船に浸かれなさそうだし」
「え、何を言いますか
一緒に入るに決まってるではありませんか」
「…入らないよ?」
「大浴場の方も気になりますが、マーモンを他の男達の前で裸にするわけにもいきませからね」
「そもそも、僕は行くつもりは毛頭ないよ
君と入るつもりもね
僕に気にせず、ゆっくりと入ってきなよ」
窓から離れて用意されていた座椅子へと腰掛け、一息つきながら風を一瞥する。
「では、一緒に散策しませんか?
外にもお店がたくさんありましたし
晩ごはんまで時間もあることですし」
「…散策ね…」
チラリと時計を確認するとまだ晩ごはんまで2時間近くある。
「まぁ…いいよ
その後でもお風呂に入ればいいしね」
少し考えた後にマーモンは座椅子から腰を上げて立ち上がり、部屋の扉へと向かう。
「あ、ちょっと待ってください」
すると風が制止の声をかけてきてマーモンは歩みを止めて風へと振り返る。
風はにこりと微笑みながらマーモンへと歩み寄った。
「せっかくですので、お願いがありまして」
「…お願い?」
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