吐き出されるこの言葉
「…温泉っていうから、結構離れた場所にあるかと思ってたんだけど…案外、近いもんだね」
マーモンは隣で自分のスーツケースを引く風にそう言いながら目の前の自分達が泊まる旅館を見上げる。
和風な装いの建物を見たことがあまりないために、マーモンは物珍しそうに見つめた。
「空港からもさほど遠くはありませんのでそこは安心ですかね」
「よくこんな旅館とれたね…まさか、これを見越して事前にとっていた、なんて器用なことは君には出来ないか」
「ちょうど探していた時にキャンセルがあったそうでそこに入れられたんですよ
流石の私も、貴方がこうして会いに来てくれるなんて思ってもみなかったので事前には無理でした」
「だろうね、というか君の荷物は?
なにも持っていないように見えるんだけど」
「え、そりゃ…」
「…」
「…」
「…おい、なんだよその間は」
「まぁまぁ、それよりも早くチェックインをしてしまいましょう
ここの露天風呂、楽しみだったんです」
自分の話をはぐらかすように空いている手でマーモンの手を握りしめながら風は旅館へと歩みを進める。
…こいつ…。
マーモンは大人しくついていきながら風の背中をジッと見つめた。
…一体、なにを考えてるんだ…。
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