口から出せないこの感情


「何を言いますか、貴方だって気になるでしょう?
自分の恋人が他の方とあんなに楽しげにしているのですから!」

「声大きい、恥ずかしいからやめてくれる?」

バッと雲雀へと顔を向けながら勢いよく言う風を雲雀が咎めると、風はハッとして口を閉じた。

「朝から僕の家に来たと思えばこんな所に連れ出して、何のつもり?」

「マーモンが貴方の恋人とデートをするということなので、これは放置できないなと
貴方も、この状況をやすやすと放置なんてできないでしょう?」

「別に、骸にとってあの術士はそう仲がいいものではないから
僕としては、放置をしてもなんら問題ない」

アイスティーの入ったグラスを手に取り一口飲みながら目を伏せる雲雀を見た後に、風は再びマーモン達のいる席を見る。

話の内容は聞こえませんが、思ったよりも仲が良さそうですね。
あの2人の間に、いったい何があったのかはわかりませんが…。
マーモンが六道骸に対して敵対、というか好意を持っていないのは確か。それはわかっているのですが、どうも…。

「君、よくそんな状態であの術士と付き合っているね」

むむむむっ、とマーモンに視線を向けていると呆れたような声色で雲雀が話しかけてくる。

「…まだ、お付き合いはしていませんがね」

「明らかにしてるような関係に見えたけど」

「まぁ、後々する予定ではありますよ?結婚も
その時はぜひ式にお呼びいたしましょう」

「いらないよ、君とはただ戦うだけの関係だからね
そこまで群れ合うつもりはない」

「ふふ、今度はちゃんとどちらかが倒れるまでやりましょうね?」

「そうだね、今回はあの術士に邪魔されて不完全燃焼だし」

雲雀の視線がチラリとマーモンへと向けられ、スッとすぐに目を逸らされる。

「君の事探してたみたいだけど」

「そのようですね、ホテルに戻った後に聞いてみましたが私がいなくてどうも寂しかったようで」

3日前。雲雀の攻撃が直撃し、気絶をしてしまったマーモンを抱えてホテルに戻った時の事が脳裏に蘇る。

"き、みがぁ…かえってこないから…ぁ"

愛らしい顔が涙でぐしゃぐしゃになったマーモンの表情…。

「…ふふ」

「なに、いきなり笑って…」

「いえ、新たな扉が開いてしまいそうだな、と」

「は?」

「しかし、六道骸には貴方がいるとわかってはいますが妬いてしまいますねぇ
私とだって、カフェデートしたことないのに」

「そもそも付き合ってないのにデートなんてしないでしょ」

「ありますよ、何度も
例えば水族館に行ったり」

「中学生のデートみたいだね」

「…あれ…そういえば…」

「?」

今までマーモンのところへと通い続けてはや数カ月…。
たくさん色々な所へと2人でデート(?)をしてきたと思っていましたが…。

「…これは由々しき事態です」

「今度は何?」










「私、マーモンとデートをしたの…一度しかありません」










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