口から出せないこの感情
「…」
あの話か。
マーモンは思い出したのかゆっくりと瞳を閉じた。
"それは、彼に対しての"好意"を抱いているからでは?"
風と雲雀恭弥を探して並盛山へと辿り着き、山頂へと向かう最中に骸から言われた言葉が脳裏に再生される。
「あの時は2人の戦いの音で途中になってしまいましたからね、最後まで聞けず仕舞いでしたので」
「…別に僕のそういう話を聞いても君にメリットないと思うけど?」
「まぁ、そうですね
別に貴方のそういう話を聞いた所で、とは思います」
「なら」
「ですが、僕について散々聞いておきながら自分は話さないなんで、ずいぶんと都合がよろしくないですか?」
「ムムム」
「それに、メリットはないと言えばないですが、貴方と風の話は少し興味がありますし」
「興味って…別に君に興味持たれるほど面白いものじゃ」
「パフェが来るまで暇ですし、いいではありませんか」
「…まぁ…そうだね…」
チラリと厨房の方を見てみるも、頼んだパフェはまだ来そうにない。
食い下がらない骸に押されてしまい、マーモンは小さくため息を漏らし、抵抗するのを諦めた。
「どうせ君と会うのはこれきりだろうし、もう会わない相手に話した所で問題はないか」
「おや、ずいぶんと嫌われているようで」
「むしろ好かれてると思ってた?
僕はそんなに軽い男じゃないよ」
「男…」
「…君も僕の性別を疑ってるのかい?」
骸の視線が自分の頭から足の爪先へと向けられるのを見てマーモンは苛ついたような声を発する。
「リング戦の時、僕の事を"彼"と言っていたくせに」
「それは赤ん坊の姿でしたので…しかし、こう見ると背も小さく華奢なので…実年齢は分かりませんが骨格も幼く見える…」
マーモンの姿をジッと見つめながら骸は片目を閉じ、更に注意深く眺め出した。
「…その姿を見た時から、本来の姿を幻術で隠しているのかと思っていましたが…幻術の類でもなさそうだ
そうなると、それが本当に、本来の貴方の姿なんでしょうね」
「人の容姿を馬鹿にしておいて、勝手に自己完結しないでくれる?」
「馬鹿になんてしていませんよ、可愛らしくていいではありませんか」
「イケメンに言われると、嫌味にしか聞こえないね」
「クフフ、お褒めにあずかり光栄です…あぁ、脱線してしまいましたね、話」
「…」
僕的には、そのまま忘れてくれてたほうがよかったんだけど。
そう口から出そうになるも、レモネードと共にその言葉を飲み込んだ。
「…それで、僕に何が聞きたいのさ」
「先ほども言ったでしょう?貴方が彼に対して、どのような感情を持っているのか、と」
「嫌い、以上」
「きっぱりと言いますね」
「当たり前だよ、そもそも前にも言ったけれど週6で来るような非常識な人間、好きになる奴なんていないと思うけど」
「それでも好きになった人が目の前にいるんですが?」
「…あー…」
はた、と気付いて骸に目を向けると笑みを崩すことなくマーモンを見ている。
「…あぁいう顔の奴等って皆そうなの?ストーカー気質というか、しつこいというか、自分のことしか考えてないというか」
「人間皆、そういうものですよ、自分以外の事を考えるなんて方がレアケースではありませんかね」
「まぁね…」
「では質問を変えることにしましょうか」
「はいはい、今度は何?」
「彼と再会したことで、寂しさは埋められましたか?」
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