君のいないこの時は


「…」

いやまぁ、そうだよな…聞くよな、そこの部分。

「貴方がなぜ六道骸と一緒にいたのかも不思議でして…あまりお互いをよく思っていないと伺っていましたし
六道骸は雲雀恭弥を探していたようなので、そちらに引き渡してしまいましたが、貴方はどうして日本へ?
観光、にしては急なお休みのようでしたし、この荷物の量…もしや、日本で急な任務でしたか?」

自分が感じている考えを不思議そうな声色で話す風。
それを布団の中で聞きながらどうしたものかとマーモンは考える。

「えっと、それは…」

「そういえば、なぜ先ほどから布団の中にいるんです?
やはり体調が…」

「それは大丈夫だから!体調は頭が痛むぐらいで…」

布団に風の手が触れるのを感じ、マーモンは慌ててそう声をかけると風は"しかし…"と納得のいっていない様子。

「ですが、1ヶ月ぶりに会えたというのにお顔が見えないのは寂しいです」

「う…」

それは、確かにそうなんだけど…まだ…あいつの顔見たら…。

「…あの…」

「…」

「…あ、あと1時間はこのままで…」

「…無理です、耐えられませんッ!」

ガバッ!!

「!」

痺れを切らした風はマーモンが被っていた布団を引き剥がし、勢いよくめくり上げた。
布団がなくなった事で自分の身体を晒されたマーモンは瞳を丸くしながら風を見上げる。

…あ。

「少し手荒になってしまいましたが、これで貴方のお顔を見ることが…」

「…」

いつも通りの優しげな表情の風が視界に入り、マーモンの瞳にだんだんと涙が溜まっていき視界がぼやけてしまう。

「マーモン?」

「…ごめ…ごめん…あれ…」

泣きそうになっているマーモンの様子に風は驚きながらベッドに腰掛けてマーモンの頬へと触れる。
触れられ、風の体温を感じたマーモンは堪えきれなくなりぼろぼろと瞳から涙を零し始めた。
さらに泣いてしまう様子におろおろとしながら風はマーモンを優しく抱き締めて背中を撫で始める。
その暖かさにマーモンは風へと寄りかかり身体を預けた。
シャワーを浴びたばかりで、シャンプーのいい匂いがする。

「どうしました?やはりどこか…」

「違…違うんだ…僕…ッ…ふ…」

嗚咽混じりにマーモンは話しながら顔を見られないように風の首筋に顔を埋め、口を開いた。











「き、みがぁ…かえってこないから…ぁ」

「…え?」











「1週間って言ったのに…ひぐっ…来なくて…ずっと、待ってたのに…」

「あ、あの」

「君、リボーンの任務後から変で…ッ…それで、僕のとこ…来なくなっちゃったのかなって…嫌われ、て…」

えぐえぐと泣き、堰を切ったようにマーモンが話す様子を戸惑いながらも風は聞き続ける。

「このまま、帰ってこなかったら、どうしようって思ったら、いてもたってもいらなくて…任務、代わってもらって探しにきたら君…ずっと戦ってて…楽しそうで…僕…のこと…忘れちゃ…ッ…ごめ…こんなの、言うつもり、なくて…ぇ…」

ここまで思っていた想いが止まらずに口から溢れ出てしまい、少し冷静になってきて恥ずかしくなったのか、マーモンは目をごしごしと擦りながら風の中から離れようと片手で胸板を押した。

「…マーモン」

「ッ」

押すもびくともしない風はマーモンの名前を呼ぶと、さらに力を強まりマーモンはビクッと身体を震わせた。

「…連絡せずにすいません…まさか、そんなに私の事を待っていたとは思わなくて
寂しかったですか?」

涙と擦ってしまったことで赤くなってしまったマーモンの目元を優しく指でなぞりながら風は問いかける。
その手の温かさにマーモンは瞳を細め、その手に頬を擦り寄らせた。

「…うん」

「ッ…」

マーモンが小さな声で頷きながら答えると、風の動きが少し止まり、マーモンは風の顔を覗き込んだ。
すると、風は頬を仄かに赤く染めており、マーモンの視線に気付くと"すいません"と小さく呟いてマーモンの両頬に手を添えた。

「…どうし」

風の行動の意図が分からずに不思議そうに見つめているとスッと風の顔が近づき、自分の唇に柔らかなものが触れたのに気付いた。










あ…え…。










「…すいません、マーモン」

今の状態が理解できずにきょとんとしているとゆっくりと顔が離れ、風の顔全体が視界に入ると少し切なそうに眉を潜めている表情になっていることに気付いた。

「…貴方にそこまで思われていることが嬉し過ぎて…幸せ過ぎて…気持ちが抑えきれませんでした」

「え…っ…あ」

「これではリボーンと同じ事をしている、という自覚はしています…貴方の意見も聞かずに…ですが…」

「ッ!」

頭の中でぐるぐると考えがまわる中、風の顔が再び近付いてきてマーモンは慌てて両手で風の口を塞いだ。

「ま、待って風」

「待ちません…もう」

自分の口を塞ぐマーモンの片方の手首を掴み、中指をカリッと甘噛みをしながら熱のこもった瞳を向け、その表情にマーモンの顔に熱が集まる。

「…マーモン」











「嫌なら…私を全力で拒否してください」










19/21ページ
スキ