君のいないこの時は


「…よかった…あまりにも起きないのであと少ししたら病院に連れて行こうかとしていたんですよ」

「…」

マーモンが起きた姿を見て安心したのか、ほっとした表情を浮かべる風をジッと見つめた。
どうやらシャワーを浴びていたのか髪は水分を含んでおり、首にはタオルをかけている。

「吐き気はありませんか?
貴方、雲雀恭弥の武器が当たってしまい気を失ってしまったようで…私もまさか、貴方がいるとは思わず…庇えずに申し訳ないです」

ベッドへと腰掛けてマーモンの前髪を手で優しく退かし、微かに腫れている額を見ながら申し訳なく風は言う。

…あぁ、いつものこいつだ。

…いつもの…。

風の手の温度が伝わってきて、マーモンは気持ちよさそうに瞳を細めると、風は首を傾げ心配そうに顔を覗き込んでくる。

「…あの、マーモン…」

「…風…」

「はい、なんでしょうか」

「…風…」

あぁ、だめだ…。
たった1ヶ月、会えなかっただけなのに…。

こいつの声が聞けて、体温を感じたら…。

じわじわと瞳に涙が溜まってくる感覚にマーモンはバッと勢いよく自分にかけられていた布団を頭まで被った。

「マーモン?!やはりどこか調子が良くないのでは?!」

マーモンの行動に風は驚きながら容態が悪いのかと慌てているのが布団越しにでもわかる。

「…違…違うくて…ごめん…」

「なぜ謝るのですか?」

「…僕…ずっと君に…謝りたかったんだ…」

「…?なにを、ですか?」

突然のマーモンの言葉に風はきょとんとしながら聞き返す。










「…この前の、リボーンとの任務の事」










「…別に謝るようなことはないと思いますが
貴方は彼の任務についていったに過ぎませんし…あ、もしやドレスの事ですか?あれなら別に」

自分の言葉にいつもよりも早口なる様子に"やっぱり"と察した。

「君、リボーンとの任務以来様子がおかしかっただろう?
僕にいつも以上に触れなかったし」

「それは…そんなことありませ」

「あったから言ってるの
君とどれだけ一緒にいると思ってるのさ
…君の些細な変化も…気付けるよ」

「…マーモン…ふふッ」

沈黙の後、風はマーモンの名前を口にして少し嬉しそうに微笑んだ。

「…それだけ私の事を、見ていてくれてるのですね」

「君が勝手に来て、僕の視界に入るからさ」
 
「そうですね…すいません
ですが、本当に貴方が謝ることはないのですよ?
キスの件については、リボーンが勝手にした事だと分かっていますし、貴方からもちゃんと話を聞きましたからね…ですが」

そこで再び沈黙が流れる。
マーモンは黙り込んだ風を急かすことなく、ジッと話すのを待った。

「…今回、雲雀恭弥との戦闘に言ったのは少し自分の気持ちを整理したかったのです」

「…整理?」

「えぇ…実は…恥ずかしながら、貴方とリボーンのキスが忘れられずにずっともやもやしてしまいまして
貴方が悪くないのは何度も言いますがわかっています
わかってはいるのですが…やはり、好きな人が自分意外とそのような行為をしているのは流石の私も、ダメージが大きかったようです
態度に出すつもりはなかったのですが、無意識に出してしまったようです…不快な思いをさせてすいません」

「…」 

「…まぁ、それでこの想いを払拭させるにはやはり身体を動かすのが最適かと思いまして雲雀恭弥と手合わせをしたのです
思った以上に彼との戦いが楽しくて時間を忘れてしまいましたが…まさか、1ヶ月丸々なんて…」

「…へぇ、1ヶ月丸々…」

1ヶ月丸々?

「え、もしかして1ヶ月ずっと戦ってた?」

「ずっとではありませんよ?適宜な休憩と食事はとっていましたから、もちろん睡眠も」

「…」

睡眠、といってもたかが知れてそうだ…いや、それはないか。
修業大好きだけど体調管理とかは徹底してるだろうし。
強い身体はまず規則正しい生活から、とか言ってそう。

「ですが、そのおかげでもう気持ちは吹っ切れましたので安心してくださいね
これからも毎日貴方のお世話を…っと…そういえば、聞きたいことがあったんです」

「聞きたいこと?」











「マーモン、なぜ貴方は日本へ?
こちらに来る予定はなかったかと思うのですが」










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