君のいないこの時は
ドォォォンッ!
「「!」」
突然鳴り響く、なにかが衝突したような大きな音に我に返ったマーモンはバッと勢いよく音のする方へと顔を向ける。
その音は山頂の方から聞こえ、骸も同様に顔を向けていた。
「ずいぶんと派手にやっているようですね」
「…」
「そろそろ僕達も」
マーモンは骸の言葉を待たずにその場から霧となって姿を消してしまい、山頂へと急いだ。
後ろから骸の声が聞こえたような気がしたが、気にしない。
…あれ、おかしいな。
別に、急ぐ必要はないというのに。
勝手に身体が動いてしまったのが、マーモンは自分の行動に意味がわからないでいる。
もうすぐそばにいるのはわかっている。
だから、別に急ぐ必要はない。
この音の激しさだ。むやみに近付くと危ない。
それなのに…。
あいつの姿を…一目見たくて仕方がない。
「…っと…ムム」
目的の山頂についたマーモンは地面へと姿を現し、木の影から様子を伺うと、その光景に瞳を見開いた。
「…木が倒れてる…」
所々木が倒されており、地面を見てみると抉られたような箇所が何箇所も見られ、その様子からして、戦いの激しさが物語っている。
「あいつら、このへん一帯吹き飛ばそうとしてる?」
あまりの惨劇に思わず呟いてしまう。
さて、あいつらは何処に…。
「もう終わりですか?」
「!」
ふと聞き覚えのある声が聞こえ、マーモンが周りを見渡すと、少し離れた所に人影が見え、気配を消して近付いていく。
そこには、上半身裸の風と、トンファーを構え楽しげに表情を緩ませている雲雀の姿があった。
お互いの衣服は乱れ、所々に怪我をしているのか出血しているのが見える。
「そんなわけない…それとも、もう疲れたのかい?」
「まさか、代理戦の時は私も数分のみしか戦えませんでしたからね…
このように、強い方と戦えるのは本当に…」
風はぺろりと舌なめずりをし、笑みを浮かべた。
その瞳は、普段は見られない、戦いを楽しんでいるかのようで。
「…すごく、楽しいですね」
「…あんなに楽しそうなあいつ、久々に見たな」
その状況を見ていたマーモンは懐かしさから瞳を細めながら風を見つめる。
「…彼、あんなに戦闘狂だったんですか?」
いつの間にか追いついたのか、雲雀と風の様子に骸は声をかけながら隣へとやってくる。
「アルコバレーノという一癖も二癖もある中では、彼は物腰柔らかく、常識人な印象でしたが」
「常識人なら週6で人の部屋に来ないよ
…まぁ、そうだね…あいつらの中ではパッと見、近寄りやすいタイプではある」
骸を一瞥した後、再び風と雲雀の方へと目を向けると再び戦い始めている。
傷だらけになりながらも戦闘を楽しんでいるその表情を見てマーモンは小さく息を吐いた。
「…自分の力を高めるのは好きだからね
雲雀恭弥とは理由は違えど、戦いが好きなのには変わりない
本当、武術とかそういうのは野蛮だね」
呆れたような口ぶりで言うとマーモンはくるりと踵を返して歩き出した。
「声、かけないのですか?」
「…」
骸の問いかけが聞こえ、マーモンはピタリと立ち止まる。
「彼に会いたかったのでしょう?」
「…別に、生存確認したかっただけさ
生きていると分かった以上、ここにいる必要はないしね
僕はゆっくりと観光をしてからイタリアに帰ることにするよ」
「…あの」
「なんだよ、君との協力関係はここで…」
再び声をかけてくる骸に怪訝そうな表情を浮かべて顔を向けると、目の前になにやら飛んできておりマーモンは"え?"と声を漏らした。
ガッ!!
「ムギャッ!!」
その瞬間マーモンの額になにかがあたり、視界がぐらりと揺れたと同時に目の前が真っ暗になった。
「…おやおや」
マーモンがその場に倒れ込んだ様子を見て、骸はしゃがみ込んで顔をのぞく。
意識がないのか、微動だにしない様子に小さく息を漏らした。
「…恭弥の飛び道具が飛んできたので声をかけようとしましたが…手遅れでしたか」
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