君のいないこの時は
「…1つ、聞いてもいいでしょうか」
並盛中の裏にある山の中を歩いていると、後ろから付いてくる 骸が声を掛けてくる。
「なに?」
マーモンは止まることなく歩みを進め、返事のみをした。
早く、あいつに会わないと…。
「くだらない話なら後にしてくれるかい?」
「そうではありません、少し落ち着きなさい」
「ッ」
スッと片腕を掴まれマーモンはクンッと引っ張られるとそのまま歩みを止めて振り返る。
すると、骸が瞳を細めながらマーモンを見下ろしていた。
「…離してよ」
「なにをそんなに焦っているのです?
恭弥と風が一緒にいることがわかった以上、居場所もわかったのですからそれ程までに焦る必要はないはずです」
「別に焦ってない」
掴まれた手を振り払おうとすると、骸の手に力が込められ微かに痛みが走る。
「焦っているから言ってるんです
まったく、なぜ僕が貴方のお守りをしなければいけないのか…」
「お守りなんて頼んでな」
「はい、これ」
「ムムッ」
骸の手が自分の腕から離れたかと思うと、リボーンから預かったであろう袋から骸はペットボトルを1本取り出してマーモンの目の前へと差し出した。
差し出されたペットボトルに驚きながら受け取ると、骸はもう1本ペットボトルを手に取り、近くの木に寄りかかる。
「少し休憩をしましょう
貴方、僕と行動し始めてから半日近く水分取っていませんよね?
脱水状態になりますよ」
「…はぁ」
マーモンは受け取ったペットボトルを額に当てながら木に寄りかかり、その場にずるずると座り込んだ。
少し冷えているペットボトルで、頭に上っていた熱が少しだけ冷めた気がした。
「…ごめん、少し暴走してた」
「少し所ではありませんがね
僕の中では、貴方はヴァリアーの中では冷静な方だと思っていましたが…案外、そうではないようですね」
「人の事を判断するのやめてよ、なんか恥ずかしいんだけど」
「クフフ…それ程までに、風という人は貴方の中で大事な人なんでしょうね」
「ゲホッ!」
ペットボトルを開けて中の水を飲んでいると微笑ましそうに見ながら言う骸にマーモンはむせてしまい、そのまま何度咳き込んだ。
「おや、図星ですか?」
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