甘いものには釣られない


-後日談-

「こんにちは、マーモン」

「...」

風がいつものようにマーモンの部屋の窓へと入ると、マーモンは嫌そうななんとも言えない表情でこちらを見た。

「君はまた...」

「今日はお休みと聞いたので、朝からずっと一緒にいられるはずだったのですが...朝一で来たときに貴方がいなかったので出直して来ました」

「そのまま故郷に帰れ、ここに戻ってくるな」

「しかし珍しいですね、貴方の場合休みの日はいつも遅くまで寝ているのに」

「僕にも予定ってものがあるからね」

「体を動かすのはいいことですからね
これを気に貴方がもっと動かす喜びを感じてくだされば嬉しい限りです
冷蔵庫お借りしますよ?」

普段のマーモンらしからぬ言葉に少し驚きながらも嬉しさが込み上げてくる。
少し気を良くした風はマーモンに断りを入れて室内に完備されている冷蔵庫に向かい、扉を開けた。

「...おや」

「また甘いものを持ってきたのかい?
いつも言ってるけど止めてほしいんだけど」

冷蔵庫の中身を凝視していると、ソファーに座っていたマーモンがこちらに向かいながら声をかけてきた。

「なに固まってるの」

「いえ...これって」

「ん、あぁ...それね」

私は冷蔵庫に入っている、以前自分が買ってきたティラミスの販売店の箱を指差すとマーモンが箱を取り出した。

「君が買ってきてくれたやつ、美味しかったから買ってきた」

「言ってくだされば買ってきたのに」

「なんで君に頼むんだよ、それに今日は任務がなくて暇だからなんとなくだよ」

風を一瞥し、箱を手にしたマーモンは再びソファーへと向かっていく。










私の買ったもの、相当気に入ってくださったようで...。









「...んふふ」

「え、なにその顔...気持ち悪」










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