君のいないこの時は


「お前と骸、術士コンビが一緒にいるなんて珍しいこともあるもんだな
なんか企んでるのか?」

なにやら大きな袋を手に持っているリボーンは2人を交互に見ながら近付いた。

「貴方も沢田綱吉も、僕が何かしないか心配なようですね」

「まぁな、過去の事があるから警戒するに越したことはねぇ
…どうやらそういう気は今起こしてねぇようだな」

「えぇ、おかげさまで」

ツナにも同様なことを言われたことを思い出した骸が皮肉交じりにそう言うと、リボーンは瞳を細めながら骸を見た後に帽子を深く被り直した。

「君はやたらと荷物を持っているようだけど」

「あぁ、これから雲雀と風の所に食料を置きに…」

自分の手に持っている荷物をマーモンが見ながら言う姿に目的を告げようと口を開いた瞬間、リボーンはなにかを察したのかフッと笑みを浮かべ、マーモンに顔を近付ける。

「な、なんだよ…」

「お前、もしかして風を連れ戻しに来たのか?」

「連れ戻すなんて人聞きの悪い、僕はただ…」

そこまで言いかけるもマーモンはキュッと口を閉ざしてしまい、リボーンから視線を外した。

「ただ、なんだよ?」

「…風はどこにいるの」

「おい、俺の質問に」

不意にリボーンの首元に霧で作られたナイフが添えられており、辿るとマーモンのローブから出ている触手がそれを握っていることに気付く。

「風は、どこだ」

「…雲雀と一緒に並盛中の裏の山だ
骸、お前場所わかるか?」

フードから覗く鋭い視線にリボーンは少し間を置いてから答え、会話についていけていないであろう骸へと声をかけた。

「…えぇ、そこの場所は知ってます
彼と何度か交えていますので」

「そうか、ならこいつに案内を頼む
なんでお前がマーモンと一緒にいるのかは知らねぇが、変なことしようとしてねぇなら監視する必要もねぇ
まぁ、変なことしようものならマーモンが止めるだろうし」

「…骸、もう行こ
場所さえ分かればリボーンに用はないからね」

「…ったく、相変わらず可愛げがねぇ」

マーモンはそのまますたすたと先に歩き出してしまい、リボーンは呆れたように声を漏らした。
2人のやり取りを見ていた骸は先に行くマーモンの背中を見つめて口を開く。

「貴方、彼に何かしたのですか?
僕といる時は普通のようでしたが、そこまでの敵意を向けられるとは…」

「…まぁな、大人には色々あるんだよ
お子様のお前にはわからねぇことがな」

「お子様って…」

「風と雲雀のところに行くならこれ持ってってくれ
お前らが行くんなら俺はこれから用があるからよ」

「っと…」

リボーンは手に持っていた袋を骸へと押し付けると、骸は両手でそれを抱える。
それを見たリボーンは骸へと背中を向けてひらりと手を振った。

「それじゃ、頼むぞ骸」

そう言いながら歩き去ってしまうリボーンの背中を見て、骸は小さくため息をついた。

「…アルコバレーノというのは…なぜこうも自由なのか
ヴェルデがマシに見えてくる…」

「骸、早く行くよ」

少し離れた所で立ち止まり、骸に大きめな声で話しかけてくるマーモンの姿を見て、骸の口から再びため息が漏れ出る。










「…この貸しは高いですからね…アルコバレーノ」










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