君のいないこの時は


「ひぃッ!」

近くにあった空き教室にツナを連れ込んだマーモンは壁にツナを追いやり、バンッと顔の隣に手を置いた。
ツナはマーモンの気迫に情けない声をあげ、ぶるぶると恐怖から震えている。

「あ、あの俺…君のこと知らないんですけど…」

「…風の居場所を話せ」

「…え?」

「聞こえなかったの?風の居場所、教えろって言ってるんだけど」

「え…っと…風って、アルコバレーノだった風さん…?」

マーモンの発言にツナは瞳をぱちぱちと瞬きさせ、マーモンの顔をジッと見つめ、困ったように口を開く。 

「獄寺隼人と山本武に話していただろう?
居場所、知ってるんじゃないのかい?」

「お、俺は知らない!知らないです!」

「…知らない?」

ツナの言葉にマーモンはピクリと反応を示し、ジッとツナを見つめる。

バァンッ!

「10代目、ご無事です…か」

「ツナ、大丈夫…か…」

その様子からして、ツナが嘘をついている様子がないことをマーモンが察しているとその瞬間、勢いよく教室の扉が開かれ獄寺と山本が姿を現し、2人の様子に目を見開いた。

「お、お前10代目になにを!」

「もしかして俺ら…お邪魔だったり?」

「そうじゃないから助けて2人とも!」

「チッ、騒がしくなってきたな…」

1人は騒ぎ、もう1人は空気を読もうとし、そして肝心のツナは助けを求め…。
3人の騒がしさにツナから少し距離を取り、腕を組みながら外へと視線を向けた。

さっき、風と雲雀恭弥の名前を出したから居場所を知ってるかと思ったんだけど…知らないと沢田綱吉は言った。
…詳細を聞かないとな。

「まったく、1人で勝手に行動するのはやめていただきたい」

「「「!」」」

「ムム」

考え込んでいると教室の扉の方から声が聞こえて4人が顔を向けると幻術姿の骸が立っており静かに扉を閉めた。

「なんだお前、こいつの仲間か?!」

「お、落ち着いて獄寺君!」

「…やれやれ」

ツナを庇うように前へと出てくる獄寺に骸は小さくため息をついた。

「幻術、解いていいですかね?
これだと彼がうるさそうなので」

「あぁ?!」

「ムム…彼と君、彼と僕の関係性からしてどちらにしてもうるさいと思うけど…まぁ、いいや」

どちらにせよめんどうなのには変わりないと判断し、マーモンが許可を出すと骸はパチンッと指を鳴らす。
それと同時に2人の身体を霧が包み込み、本来の姿が露わになった。

「な…ッ!」

「あれ?」

「む、骸とマーモン?!」

その姿を見た3人からは驚きの声が聞こえ、マーモンは骸の隣へと移動をする。

「やぁ、久しぶり」

「アルコバレーノの件以来、ですかね」

「なんでヴァリアーと骸が一緒なんだよ!」

「いつの間に仲良くなったんだ?」

「違います、ただ今は協力関係になっているだけです」

「協力関係って…さっきの風さんの事となにか関係があるの?」

「まぁ、簡単に言えばそうだね
そういうわけで、君が何で風と雲雀恭弥の話をしようとしていたのか聞こうじゃないか」

マーモンは近くにあった机の上に腰掛けながらツナをジッとフード越しに見つめる。

「えっと、今風さんと雲雀さんの所にリボーンが食料を置きに行ってるらしくて…」

「食料を?」

「うん、詳しくは聞いてないけど…2人のことならリボーンに聞くのが早いんじゃないかな?」

「…」

リボーンと会うのか…。

「結局、あのアルコバレーノに会うしかないわけですね」

「…嫌だなぁ…あいつに会うの…骸、1人で行ってきてよ」

「嫌ですよ、僕も極力彼には関わりたくありません」

「でも、君だって雲雀恭弥を探しているんだろう?」

「貴方だって同じでしょう?」

「骸は雲雀さんを探してるの?」

ふと雲雀の名前が出てきて話を聞いていたツナが会話へと入ってくる。 

「えぇ、まぁ」

「…なんか企んでる?」

「…クフフ、安心してください
貴方に迷惑は掛けませんよ」

「迷惑かけるかけないじゃなくて!…って、そういえば俺骸に聞きたいことがあるんだ」

「なんです?」

「結構前の時なんだけど、雲雀さんと会ったときにお前ヒバードに」

「そろそろ僕達は御暇しましょうか」

ツナの話の内容をなんとなく察した骸はマーモンの肩に手を置いて話を遮った。

「…そうだね、聞きたいことは聞けたし」

「え、ちょっと聞きたいことあるって!」

「その話はまた今度
それでは失礼いたします」

「じゃあね」

「あぁ!ちょっと骸!マーモン!」

2人の身体から霧が発せられ、そのまま姿が消えてしまうのをツナは呆然と眺めた。

「…一体、なんだったんですかね」

「まぁまぁ、仲良さそうだし何もする気ないみたいだからいいじゃねぇか」

「ったく、お気楽な奴だぜ…
しかし、なんで彼奴等は雲雀と風を探していたんですかね
共通点なんてなさそうなのに…」

「うん…なんだろうね…まぁ…」










「俺としては、なにか厄介事に巻き込まれなきゃいいけど…」

「安心してください!その時は俺が彼奴等をどうにかしますんで!」  

「ははッ、頼もしいな獄寺」










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