君のいないこの時は
「悪いね、僕にまで幻術を使ってもらって」
校舎内へと侵入をし、骸に姿を幻術で変えてもらい生徒に紛れながら2人で廊下を歩き、隣にいる骸へと声をかけた。
「この位どうってことはありませんからね
しかし、自分で幻術を使わないというのはなにか理由でも?」
「日本に来ていること、リボーンに知られたくないから
あいつ結構感覚鋭いからバレちゃうと思うんだよね
それで、知られたら知られたでめんどうになりそう」
「あぁ…なるほど」
ちょうど昼休みの時間帯なのか、廊下では多数の生徒が歩いたり立ち止まって話をしている。
その中を見てみるも雲雀恭弥の姿はない。
「…やっぱり屋上かな」
「でしょうね、それか風紀委員の活動拠点の部屋かと」
「…」
さっきから思ってたけど、こいつ…。
「確かこちらに…どうしました?」
慣れたように廊下を進んでいく骸をジトリとした目つきで見ていると、視線に気づいた骸の歩みが止まる。
「いや…君って、ここの生徒じゃないだろう?」
「え?まぁ、黒曜中の生徒ということにはなっていますが」
「それなのに、やたらこの学校に詳しいじゃないか…いや、学校に詳しいんじゃなくて雲雀恭弥について詳しいと言うか
君、そんなに彼と親密な関係だったかい?僕の情報では仲が悪いはずなんだけど」
「…」
骸の横を通り過ぎながら自分の思っていたことを淡々と述べるも、骸からの反応が一切ない。
「ねぇ、聞いて…」
歩きもせずに立ち止まったままの骸を不思議に思い振り向くと、少し頬を赤らめて腕を組んでいた。
…あれ?
「え、なにその反応」
骸の目の前へと向かいひょこっと顔を覗き込むと、骸はフイッと顔をそらし背中を向けた。
「…なにもないです」
「いや、なにもなに反応じゃないだろう?
まるで雲雀恭弥となにかある、みたいな反応…」
そこまで言ってマーモンは"あ"と声を漏らす。
その反応を見た骸はチラリとマーモンへと視線を向けた。
「…なんです」
「いや…なんか、ごめん」
「なんですかその曖昧な反応
逆にやめなさい」
「顔赤いし、体調悪いのに無理に付き合わせてるのかなと思って」
「…はい?」
予想外のマーモンの反応に骸は拍子抜けしたような声色でマーモンに振り返ると、マーモンはスッと骸の額に手を伸ばして体温を確認する。
「…熱はないみたいだね
君に借り貸すのも嫌だし、幻術変わろうか?」
「…貴方」
「ム?」
「鈍感とか、そういう類のこと言われませんか?」
「いや、僕結構感覚は鋭い方だけど」
「そういうことではなくてですね」
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