気付いた時には此処にいて
「…はぁ」
困ったな。
マーモンは木に寄りかかりながらその場に座り、空を見上げた。
あいつの居場所探ろうと念写しようとしたけどあいにく紙も何も持ってない。
足も痛みが増してきたし…だからと言って、幻術使うのもなぁ。
休日はなるべく使わないって決めたし。
「こういうことなら、風と連絡先交換しておくんだ…」
…いやいや、そもそもあいつと出掛けるなんて事をするのが間違いだ。
危ない危ない…最近あいつといる時間が長過ぎるせいで一緒にいるのが当たり前みたいになってた。
マーモンは自分の考えを払うかのように顔をぶんぶんと横に振り、ため息をつく。
あいつの事だから、僕のところにすぐ来てくれそうだしこのまま待つのが良さそうだ。
それまでは大人しくここで待。
「そこのお姉さんどうしたの?」
「ム?」
不意に頭上から声が聞こえてきてマーモンは顔を上げてみる。
すると、二人組の男性がマーモンをにやにやといやらしい笑みで見下ろしていた。
「こんなところで1人でいたら危ないよ?
つか、座り込んでどうしたの?」
「いや…僕は…」
「もしかして体調悪かったり?
俺達が介抱してあげようか?」
マーモンの視線に合わせてしゃがみ込み、顔を覗き込んでくる男達に不快感が込み上げてくる。
…面倒なのに絡まれたな。
「…大丈夫だから…ほっといてよ」
「いやいや、待ってって」
「ッ」
ゆっくりと立ち上がり、着物についてしまった汚れを軽く払って距離を取ろうとすると腕をガッと掴まれその力の強さに表情を歪めた。
「おい、離せよ」
「お前、警戒されてんじゃん」
「うっせぇよ」
片方の男はけらけらと笑いながら腕を掴んでいる男に話しかけ、苛ついた口調でもう片方は返事をする。
「ちょっ」
「安心してよ、体調悪いとかなら介抱してあげるだけだからさ」
振り払おうとするマーモンの腕に更に力を込めて掴んでくる。
あまりのしつこさにマーモンはピキッと青筋を立てながら男達を睨み付けた。
…気持ち悪い…。
「君達…あまりしつこいと……」
堪忍袋の緒が切れかけ、マーモンは着物の裾から触手を出そうとした。
一般人だからって、大目に見ていたけど…限界だ。
「失礼」
「ぐあッ!」
「!」
その瞬間、自分の腕を掴んでいた力が緩まり男の叫びに似た声が聞こえてくる。
マーモンはいきなりの展開に驚いていると、自分の目の前に風の姿が現れた。
どうやら、男の腕を風が捻り上げているらしく、男の痛みに歪む表情が目に入った。
風はギリギリと腕を捻り上げ続け、男の顔色がだんだんと青くなっていく。
あ、やばいな。
「風、やめて」
マーモンがそう制しながら風の袖をクンッと掴んで引っ張ると、風はチラリとマーモンを見た後にその手をパッと離した。
「…介抱をしてくださるのは有り難いですが、嫌がっている相手にあまりしつこくするのはどうかと思いますよ?」
先ほどの雰囲気とは打って変わり、にこりと微笑みながら風は男達に向かって言い放ち、マーモンの腰を抱いて引き寄せる。
男達は慌てたようにマーモンと風の目の前から走って去っていき、それを見届けた風はマーモンへと顔を向けた。
「マーモン、大丈夫でしたか?
姿が見えなくなったので探したんですよ?」
「あぁ、大丈夫だよ
ちょっと…いろいろあって…離れちゃって…」
「…とりあえず、旅館に戻りましょうか
先ほどの男性に掴まれた所、確認したいですし」
「そんな大袈裟な…いて」
「おっと」
足を動かそうとすると痛みが走り、ぽふっとマーモンは風に身体を預けて寄りかかった。
「ごめん、草履が合わなくて足、痛めたみたいなんだ」
「それは…やはりブーツにするべきでしたね
歩けますか?」
「歩け…うーん…まぁ、歩けなくはないよ」
「貴方がそういう返事をする時は大概無理してる時ですよ?」
「ッ!」
痛む足に視線を向けながらマーモンが答えると、風は軽々とマーモンを抱きかかえスタスタと歩き出した。
「おい、歩けるって言ったんだけど」
「少し腫れているようですし無理しないでください」
「うむむ…なら…お言葉に甘えて」
何を言っても聞かないだろう。
そう感じたマーモンはそのまま風に身体を預け、ゆっくりと瞳を閉じた。
「…そういえば、チョコバナナは?」
「それよりも、自分の身体の心配をしてください」
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