気付いた時には此処にいて
「…ふぅ、随分並びましたね」
屋台に並び始めて数分後、やっと目的のチョコバナナを購入できた風は自分の分とマーモンの分の2本を手にしながら屋台から離れる。
ふふ、マーモン喜んでくれるでしょうか。
朝ごはんもあまり食べていませんでしたし、これを食べ終えたら他のものも一緒に食べたいですねぇ。
そんな事を思いながらマーモンが待っているであろう屋台の隅に移動をする。
「おや?」
マーモンの姿はおらず風は屋台の周辺を見渡した。
しかし、どこにも見当たらない。
一体何処に…お手洗いでしょうか。
しかし困りましたねぇ、この人混みの中を普通に探すのは難しい。
この人の多さだと、彼の匂いも分かりづらい。
もし、彼のあまりの可愛さに不届き者が近付いてきたら…。
「…早く見つけ出さなくては」
手がかりがない以上、闇雲に探すしかありませんが仕方がない。
彼の連絡先もわかりませんし…。
「…あ」
そこまで考えるとふと思い出したかのように風は声を漏らし、自分のスマホを取り出した。
そうだ、GPS。
最近使用していなかったのですっかり忘れていました。
これで彼の居場所が分かります。
アプリを起動して確認をしてみると、道を逸れた少し離れた場所にいることがわかった。
あとはここに行けば…しかし、なぜ離れてしまったのでしょうか。
彼自身、この人混みだと迷子になる事が容易に想像出来るでしょうに。お手洗いに行きたかったのでしょうか?
まぁ、それはおいおい聞いてみれば良いこと。
今は彼の元に行くことを最優先に…。
「あれ、風さん?」
「?」
不意に背後から声をかけられ振り返ると、そこには沢田綱吉、獄寺隼人、山本武の姿があり、声をかけてきたのが綱吉であることに気付いた。
「やっぱり風さんだ」
「おや、綱吉君達ですか
お久しぶりです」
「お久しぶりです
こんなところで会うなんて偶然ですね」
「えぇ、今日はマー…」
そこまで言いかけると風は口を閉ざした。
…もしや、マーモン…。
「どうしたんですか?」
「いえ、一度日本の初詣が気になっていたので来てみたんです
貴方達もですか?」
「はい、でもすごい人ですよね
こんなに人がたくさんだと迷子になっちゃいそうで」
「そうですねぇ、気をつけてくださいね?
では、私はこれで」
「あ、はい!今度家に来てください!
イーピン喜ぶと思うので」
「えぇ、その時はリボーンに連絡いたしますね」
軽く3人に会釈をしながら風はその場を離れた。
早く、マーモンの元へ向かわなければ…。
「…」
あれ?
風の背中を見送った綱吉はふとおかしな点に気付いて首を傾げた。
「どうしたんだ、ツナ」
「あーいや…別に大したことじゃないんだけど
さっき風さん、チョコバナナ2本持ってたよね?」
「えぇ、そうっすね
それがどうかしたんですか?」
「うーん、もしかして…風さん誰かと来てたのかなって
着物着ておめかししてたし…」
「デートとかじゃないっすか?」
「かっこいいもんなー、風さん
それに優しいし」
「あはは、リボーンとは大違いだよ…ほんと」
自分の家庭教師であるリボーンのあまりにスパルタ過ぎる日常を思い出し、綱吉は苦笑をした。
「…そんな風さんの恋人って、どういう人だろうね」
→
