気付いた時には此処にいて
目の前の光景と昨日の光景のギャップがあり過ぎて、マーモンは"むむむ"と唸り声を漏らす。
「僕は昨日…朝からアジトで年末パーティをしていて…騒がしさに少し疲れたから自室で休み始めたのがお昼頃…
そこから記憶が飛んで、気付いた時には今朝、見知らぬ旅館にいた
僕、ジャッポーネに来た覚えないし来る予定も無かったんだけど」
「あぁ、それはそうですよ
私が連れてきたのですから」
「…いやまぁ、君がいる時点でお察しだけどさ」
自分の予想が当たっており、マーモンは深い溜息をつく。
「でも、どうやって連れてきたの?
仮にも僕は暗殺部隊の幹部
少しの物音や気配でも反応できるのに、僕は半日以上眠ってしまっていたわけだけれど」
「え、それは…」
「…」
「…」
「おい、視線を逸らすな」
「それは私にずっと見てほしいということでしょうか?
安心してください、私には貴方しか見えていませんので」
「違う、そうじゃない…はぁ、あとでスクアーロに連絡しないとな
たぶん、僕の事探してるだろうし」
「あ、スクアーロにはもう連絡済みです
というか、事前に許可をもらっています」
「…周りから固めようとするの、やめてくれる?
…というか、これ、動きづらいな」
風の問題発言に疲れたマーモンから再びため息が漏れ出た後、チラリと自分が着ている着物に目をやる。
淡い藍色の着物。おそらく…というか、風が自ら選んだものなのだろう。サイズがぴったりで毎度の事ながら引いてしまう。
普段、洋服を着ている自分からしたら足元がもつれてしまいそうだ。
「まぁ、貴方は普段洋服ですからね
慣れていないと言えば仕方ありませんよ」
風へと目をやると、風は黒い着物を着ており、普段の鮮やかな中華服とは違いいつもより大人っぽく感じた。
「君はなにを着ても似合うからいいね」
「おや、ありがとうございます
貴方に褒められるなんて…着付けた甲斐がありました」
「…こっちとしては最悪な目覚めだったけど
目覚めたら知らないところだし、君が僕の服を脱がそうとしていたから
とうとう犯罪者になり下がったかと…いや、不法侵入とかいつもしてるからもう犯罪者のそれか」
「脱がそうとしていたとは誤解です
あまりにもヴェルデ特製の睡眠薬が効きすぎていたので心配になって介抱しようと」
ピクッ。
「…一服?」
「あ」
「最近君、ヴェルデを都合よく使いすぎじゃない?」
「そんなことはありませんよ
私も彼の研究の力になりたいと思って協力をしているだけです」
「その協力に僕を勝手に使うな
まったく、ヴェルデは便利屋じゃないんだから」
「マーモン」
「今度は何だよ」
風の言動の数々に疲れてきたところ、風に名前を呼ばれて顔を向けてみると少し拗ねたように口を尖らせている。
「…私とのデートの最中に、他の男の名前を出さないでください…妬いてしまいます」
「最初にヴェルデの名前を出したのはお前だよ、お馬鹿」
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