とある科学者と術士の話


「なぜ私に会ってくれなかったのですか!
私はずっと貴方のことを探していたというのに!
そして、ヴェルデと添い寝とはどういう」

「あぁ、もううるさい」

大きな声で詰め寄る風をマーモンは鬱陶しそうな表情を浮かべてススッと少し距離をとった。

「逆に君と会う理由がないだろう?
そもそも、僕が君達の前から姿を消した時点で会うつもりがないって分かれよ
本当はリボーンにも正体を現すつもりはなかったし」

「ならばなぜ」

「いや、本当に現すつもりはなかったんだけど…あいつの間抜け面見たさについ」

「貴方のそういうところも好きですが…なら私のところにも来てください添い寝してくださいあわよくば結婚してくだされば」

「あまりの強欲さに、強欲な僕でさえ引いてるんだけど
しかも君の場合、煩悩まみれだし」

欲望が爆発してしまい色々口走ってしまう風の様子にマーモンは深いため息を溢す。

「貴方のことになると私は我慢出来ないんです煩悩まみれにもなりますよ」

「なるなよ、馬鹿
まったく…それ以上騒ぐのはやめて
酔いが冷めたとはいえ、まだ少し頭痛いから」

頭を押さえながら風に寄り掛かる姿に風はまだ言い足りなさそうにしながらもキュッと口を閉じてマーモンを抱きしめる。

「ならばもう眠りますか?ベッドまで運びますよ」

「あぁ…うん、そうだね…頼もうか」

すんなりと頼られ、風は悪い気はせずにむしろ嬉しそうに微笑みながらマーモンを抱き抱えるとベッドのある寝室へと足を運んでマーモンを優しく下ろした。
風は隣に腰掛け、寝かしつけるようにポンポンとリズムよか胸あたりを優しく叩き出す。

「…子ども扱いしないでくれる?」

寝かしつけられている察したのか、マーモンはジトリとした目つきで風を見上げた。

「そういうつもりではありませんよ
貴方が安眠できるようにサポートをしているのです」

「君がいる時点で安眠できないんだけど」

確かに、今日は任務後にリボーンに拉致されてましたね…そしてお酒も入ってゆっくりしたいでしょう…。

「…なら、今日は素直に出ていくとしましょうか」

「…」

少し考えた風はそう言うとベッドから立ち上がりマーモンの頭を優しく撫でる。

「では、私はこれで…ゆっくり休んでくださ」

「ねぇ」

「…はい?どうしました?」

声をかけながら背中を向けると、不意にクンッと服を引っ張られる感覚と声をかけられて風は振り向いた。
すると、マーモンが服を掴んでおりジッと風を見上げている。

「…」

マーモンは黙り込みながらスッと風から視線をそらし、その様子に風は首を傾げる。

「なにかご用でも?」

「…いや、話、聞いてもらっちゃったし…
赤ん坊の姿じゃないけど…添い寝、してあげてもいいよ」

「…」

視線を泳がし発するマーモンの言葉に驚くも、風はすぐに嬉しそうに微笑みながら"失礼しますね"と隣に横たわった。

「ふふッ」

「…また君は…」

にこにことしながらマーモンを抱きしめ幸せを噛み締めているとポツリと呟くマーモン。
その声色は呆れているかのようで、マーモンは風の首筋に顔を埋めた。

「…いいや、もう…なんか色々考え過ぎて疲れたし」

「そんなに考えても仕方ありませんよ?」

「君のせいなんですけど?」

「…私のことをそんなに…」

「喜ぶなよ…ふぁ…おやすみ…」

言い返すのもめんどうになったのか、マーモンは一言そう言うとすぐに寝息が聞こえてきた。

相当疲れていたのでしょうね…昔の話をするのも、嫌でしたでしょうし尚更ですかね。

風は愛おしそうにマーモンの頭を撫でると、自分もお酒を飲みすぎたせいか睡魔が襲ってきて瞳をゆっくりと閉じた。










「…おやすみなさい、マーモン」










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