僕を好きな君と君が嫌いな僕











"バイパー"

"愛してます"

"私と..."










あぁ、またこいつは...

叶うはずのない、願いを口にして...。










「...ッ...は...」

ふと目が覚めて、眠気眼で視線のみを周りへと移す。
寝る前とあまり変わらない光景。
しかし、部屋の窓から差し込む光は少し暗い橙色。

僕、いつの間にか寝てたのか...。
今何時だ。

頭を抑え、うつ伏せだった体制を横向きへと変え近くにあったスマホを手に取る。
現在の時刻はPM4:30。

結構寝たな...いや、日付...あ、変わってない...なら半日位か。
思ったより寝てなくてよかった。
深夜からまた任務だし。

「そろそろ起きないと...」

シャワー浴びてないしご飯も食べ...。

そう思いながら上体を起こし、伸びをした後にマーモンは動きをぴたりと止める。

...いや、止めざるを得なかった、と言うべきか。










「あ、おはようございますマーモン」










なぜなら、半日前にここから去っていった風の姿があったからだ。










「は...いや...待って...」

今の状況が理解できず額を抑えながら声を振り絞る。

「...いつからいるの?」

「え、そうですねぇ...マーモンが起きる一時間くらい前ですかね?」

「...じゃなくて...えーっと...そうだ
なんで僕の部屋にいるんだよ」

「そりゃ、貴方に会いに」

「...」

今朝もやらなかったか、このやり取り。

マーモンが黙り込んでいると風が近寄ってきて、身を少し屈めてマーモンの視線に合わせいつもの優しげな幌笑みを向けた。

「言ったじゃないですか、"また明日"って」

「...いや、1日経ってないよね?
というか君、また勝手に入って...」

「あ、安心してください
今日はマーモンの部屋に直で入ってきたので」

「入って...え...どこから?」

僕、ちゃんと戸締りしたはずなんだけど。

疑問に思いながら部屋の中を見渡すと、風が"あそこから"と窓を指差す。

「鍵壊して入りましたので」

「おい脳筋」

「...と、いうのは冗談でして
実はヴェルデからどんな鍵でも開けられる道具を作ってもらいました」

「...」

犯罪じゃないか。
いや、僕が言えた立場ではないけど。

「...はぁ...それで、今日は何のようだよ」

「貴方に会いに」

「いや、それはいいから」

「今後、貴方とお付き合いを飛ばして結婚をするに辺り、貴方がまた私の目の前から姿を消さぬよう毎日来ることにしました」

「...は?」










「"通い夫"と言うやつです」

「...」










これは、夢だ。










絶対に...。










「ふ...」

「ふ?そんなに笑いが出てしまうほど嬉しいのですね!」










「ふざけるなぁぁぁッ!」










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