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皆が寝静まった月夜の下、ジンとゾロは杯を片手に酒を酌み交わしていた。
「……」
ジンは注がれた酒にそっと口をつける。その姿は女性に見紛う程美しく動作だった。ゾロは酒を酒瓶ごとグイッと飲みながらその動作を盗み見するが……
『…そんなに見つめられては、さすがに照れてしまいますよ』
「!?ブッ!!!」
杯から口を離したジンが、クスッと微笑む。ゾロは驚いた拍子に酒を大量に飲んでしまう。
「ゲホッ、ゲホゲホ…」
ゾロは気管に入った酒にむせ、大きく咳き込む。ジンは手から紙を精製し、口を拭おうとするゾロに差し出した。
『大丈夫ですか?ゾロさん』
「おう……」
ゾロは紙を受け取りゴシゴシと乱暴に口を拭う。その横にいるジンはかぶっていたシルクハットを取ると、筒の中から新しい酒を取り出した。
『新しいお酒です』
「ああ、すまねェ。―――ってどこから出してんだ!!?」
『フフ…驚いて頂けましたか?』
「あ……ああ」
ゾロは追及する気力もなく、酒を受け取る。
『ところでゾロさん。何か僕に言いたいことはないですか?』
「?」
『ずっと、様子を窺うように見ていらっしゃいましたので…』
「……っ。なんもねェよ」
『本当ですか?』
「……」
ジンは肩を諌め、シルクハットを自分の横に置いた。
『ゾロさん、言って頂ける方が嬉しいです』
「……。お前が怒ることだ」
『怒りません。なので仰って下さい』
ジンは笑顔で言う。ゾロはそんなジンに釘付けになると、顔を真っ赤にさせてボソボソと小声で言った。
「ジンの所作が女みてェだなって思ってよ」
『所作…ですか?』
「ああ。酒の飲み方なんざ、特に」
『……ふむ。ゾロさんはお嫌いですか?男らしくない飲み方は』
「いや…。ジンは、その…」
『……?』
ゾロの耳の赤さが抜けない。酒に強いゾロなので酒のせいではないのは明白だ。ゾロは口を開く。その声は風の音に乗って辛うじてジンの耳に届いた。
「…――似合うからいい」
『!……』
「……っ」
ゾロは沈黙したバツの悪さから酒を思いっ切り飲む。一連の行動を見ていたジンは口元に手を当てると笑った。
『…フフ、フフフ』
「笑うな」
『すみません、ゾロさんがそんな風に誉めて下さるとは思いもよらなかったので』
「誉める?女扱いは嫌いじゃなかったのか」
『女性に失礼ですので好きではありません』
「……(そこらへんの女よりは綺麗だと思うんだがな…)」
ゾロは空を見上げながらそんな事を思う。それを言うとたぶん怒られるので言わないことにした。一方のジンはまた杯に口をつける。
『しかし不思議ですね』
「?」
『ゾロさんに言われるのは不思議と悪い気はしません』
「……ああ?どういうことだ?」
ゾロは首を傾げる。ジンは不敵な笑みを浮かべた。
『さぁ、どういうことでしょうね』
【今はまだ、良き友として】
「なんだ、気持ち悪ィな。言えよ」
『秘密です。すぐにわかってしまうのはもったいないですからね』
fin
あとがき
想いに気付かないゾロと想いをまだ留めているジンの話。
ジン⇒⇒(←)ゾロってイメージですかね。
友のラインを超えることは出来るかもしれないが今、友であるこの距離感も心地いいみたいな。
こういうのを言わずに伝えたいのですが、今は上手く描き表わせませんでしたのであとがきにもそもそと書きました;;
そんなあとがきの後になんですが;;
サユさん、このたびは相互ありがとうございました!
相互並びに素敵なお話を頂いたのにお応えできたか少々不安ですが、楽しんで頂けると嬉しいです(^^)
それでは今後とも長いお付き合いよろしくお願い致します!!
【月と奏でる物語】
神有 悠
「……」
ジンは注がれた酒にそっと口をつける。その姿は女性に見紛う程美しく動作だった。ゾロは酒を酒瓶ごとグイッと飲みながらその動作を盗み見するが……
『…そんなに見つめられては、さすがに照れてしまいますよ』
「!?ブッ!!!」
杯から口を離したジンが、クスッと微笑む。ゾロは驚いた拍子に酒を大量に飲んでしまう。
「ゲホッ、ゲホゲホ…」
ゾロは気管に入った酒にむせ、大きく咳き込む。ジンは手から紙を精製し、口を拭おうとするゾロに差し出した。
『大丈夫ですか?ゾロさん』
「おう……」
ゾロは紙を受け取りゴシゴシと乱暴に口を拭う。その横にいるジンはかぶっていたシルクハットを取ると、筒の中から新しい酒を取り出した。
『新しいお酒です』
「ああ、すまねェ。―――ってどこから出してんだ!!?」
『フフ…驚いて頂けましたか?』
「あ……ああ」
ゾロは追及する気力もなく、酒を受け取る。
『ところでゾロさん。何か僕に言いたいことはないですか?』
「?」
『ずっと、様子を窺うように見ていらっしゃいましたので…』
「……っ。なんもねェよ」
『本当ですか?』
「……」
ジンは肩を諌め、シルクハットを自分の横に置いた。
『ゾロさん、言って頂ける方が嬉しいです』
「……。お前が怒ることだ」
『怒りません。なので仰って下さい』
ジンは笑顔で言う。ゾロはそんなジンに釘付けになると、顔を真っ赤にさせてボソボソと小声で言った。
「ジンの所作が女みてェだなって思ってよ」
『所作…ですか?』
「ああ。酒の飲み方なんざ、特に」
『……ふむ。ゾロさんはお嫌いですか?男らしくない飲み方は』
「いや…。ジンは、その…」
『……?』
ゾロの耳の赤さが抜けない。酒に強いゾロなので酒のせいではないのは明白だ。ゾロは口を開く。その声は風の音に乗って辛うじてジンの耳に届いた。
「…――似合うからいい」
『!……』
「……っ」
ゾロは沈黙したバツの悪さから酒を思いっ切り飲む。一連の行動を見ていたジンは口元に手を当てると笑った。
『…フフ、フフフ』
「笑うな」
『すみません、ゾロさんがそんな風に誉めて下さるとは思いもよらなかったので』
「誉める?女扱いは嫌いじゃなかったのか」
『女性に失礼ですので好きではありません』
「……(そこらへんの女よりは綺麗だと思うんだがな…)」
ゾロは空を見上げながらそんな事を思う。それを言うとたぶん怒られるので言わないことにした。一方のジンはまた杯に口をつける。
『しかし不思議ですね』
「?」
『ゾロさんに言われるのは不思議と悪い気はしません』
「……ああ?どういうことだ?」
ゾロは首を傾げる。ジンは不敵な笑みを浮かべた。
『さぁ、どういうことでしょうね』
【今はまだ、良き友として】
「なんだ、気持ち悪ィな。言えよ」
『秘密です。すぐにわかってしまうのはもったいないですからね』
fin
あとがき
想いに気付かないゾロと想いをまだ留めているジンの話。
ジン⇒⇒(←)ゾロってイメージですかね。
友のラインを超えることは出来るかもしれないが今、友であるこの距離感も心地いいみたいな。
こういうのを言わずに伝えたいのですが、今は上手く描き表わせませんでしたのであとがきにもそもそと書きました;;
そんなあとがきの後になんですが;;
サユさん、このたびは相互ありがとうございました!
相互並びに素敵なお話を頂いたのにお応えできたか少々不安ですが、楽しんで頂けると嬉しいです(^^)
それでは今後とも長いお付き合いよろしくお願い致します!!
【月と奏でる物語】
神有 悠