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とある島に停泊中の白ひげ海賊団。
「暇だなァ……」
モビーディック号の白くじらを模したビークヘッドの上で海を眺めるは、白ひげ二番隊隊長“火拳”のエース。今日は船番らしい。
「なんだ、あれ……」
エースは少し先に浮かぶ黒い点を見つめた。
「鳥にしては小せェな。なんか黒いし……」
じーぃっと見ていると、丸いフォルムに羽根らしきものが生えているのがわかった。
「なァんだ蝙蝠か。………って!!こっちに近付いて来てんじゃねェか!」
蝙蝠と判別出来たのはそれがまっすぐこちらに向かって来ているからだった。
まもなく蝙蝠はエースの目の前にやって来る。
「……?」
エースは首を傾げた。目の前の蝙蝠はエースの前でパタパタと羽根を動かしながらその場に留まっている。まるでエースを品定めしているようだ。
「……なんか、まるっこくてかわいいな」
エースは好奇心で蝙蝠に手を伸ばす。
『容易く触れるでないぞ、小僧』
「うわっ!!」
突然話し出した蝙蝠にエースは驚き、飛び退いた。
「こ…蝙蝠がしゃべった!!」
『……悪いか?』
「いや、悪かねェけど!!びびるだろ」
『肝が小さい奴じゃな』
「いやいや!!」
エースは首をブンブンと振った。
『……まぁ、よい。ニューゲイトの若僧はおるか?』
「?オヤジ…?」
『そうじゃ。我はやつに会いに来た』
「蝙蝠が??」
『……悪いか?』
「いや……ってオヤジに蝙蝠の知り合いなんていたのか??」
『我が先に尋ねておる。答えよ。ニューゲイトの若僧はどこじゃ?』
「……(なんか高圧的な蝙蝠だな…)。オヤジは今船を降りてるぜ。街に行ってる」
『…あやつ、我を呼び出しておいて』
「……」
『ならば、“鳥”は?“石”でも“フランスパン”でも構わん』
「“鳥”??ああ、マルコか。“石”はジョズだよな…。“フランスパン”って??」
『おるじゃろ。小うるさいのが』
「……(誰だ??フランスパンって…?)。蝙蝠はみんなの知り合いなのか?」
『小僧共はオマケじゃがな』
「……(何者だ?この蝙蝠)。みんなも街だ。今、船にいるのはおれの隊だけ」
『隊?……ほう、小僧も隊長か』
「ん?ああ…って!!小僧じゃねェ。おれはエースだ!」
『エース……そうか。主が白ひげの“火”か』
「おれを知ってんのか??」
『新聞をにぎわしておるからのォ』
「……(蝙蝠でも新聞読むんだな……)。――なぁ、蝙蝠!!」
『なんじゃ?』
「お前、名前なんて言うんだ??あるんだろ?」
『……ああ。我はレニーじゃ』
「レニーか!!よろしくな、レニー!!」
『……』
レニーは沈黙した。エースが首を傾げる。
「どうした?」
『いや。主を見ておると何か懐かしい感じがしてのォ』
「そうか??どっかで会ったのかな??」
『さあな』
「まぁ、いいや。ところでレニーはオヤジとはどういう知り合いなんだ?」
『どういう??我とニューゲートの若僧は敵同士じゃよ』
「敵!?」
『我は“元”海賊じゃ』
「海賊!?蝙蝠が!!?」
「おーい、エース!!何一人で叫んでんだよい!」
「!」
エースが振り返るとマルコとサッチがいた。街から帰って来たようだ。
「マルコ!!」
「船番してたら暇すぎてバカになったのか??」
「違ェよ、サッチ!!あ、“フランスパン”ってサッチか!!」
エースはサッチの髪型を見て、納得したようにポンッと手を打った。
「!なっ!!エース!!誰が“フランスパン”だ!!飯抜きにすんぞ!!」
「ええ!!それは嫌だ!!おれはレニーがそう言ったから…」
「「レニー!?」」
マルコとサッチは驚きの声を上げる。
「あいつ、どこにいるんだよい?」
「え、ここ」
エースが蝙蝠を指差す。マルコとサッチは首を傾げた。後ろから白ひげが現れる。
「オヤジ!!」
「グラララ…なんだ早かったじゃねェか」
エースの近くで飛ぶ蝙蝠を見て白ひげが喋る。レニーは悪態をついた。
『我は刻限通りに来た。若僧の分際で我を待たすとは身の程を知れ』
「ああ…」
「その物言い…間違いなくレニーだよい」
「やっぱみんな知ってるんだな。この蝙蝠!」
エースは興味深げにマルコ達を見る。一方のマルコとサッチは肩を落とした。
「いや……知ってるもなにも……」
「??」
「相変わらず、お前は怖いもん知らずだよい」
「??なんだ??」
エースは首を傾げる。白ひげは笑った。
『笑うな、若僧が』
「フン。てめェがそんなナリだからじゃねェか」
『クルーを驚かさぬように蝙蝠(コレ)で来いと言うたのは主じゃぞ』
「そうだったか?」
『……まったく。もうよい』
「え?…え?みんななんの話してんだ?」
エースは一人ついて行けず頭をひねる。
とりあえず後ろを振り返り、レニーに尋ねた。
「なぁ、レニーどういう……って!!」
尋ねようとしたエースの目の前でレニーは蝙蝠から霧になり、さらに人形へ姿を変える。 黒い霧から現れたのは銀髪に整った顔、サファイアの瞳を持った青年。
「……」
『“火”の小僧、暇潰しに付き合わせて悪かったな』
「へっ……?は?」
『なんじゃ?間抜けな顔をして』
「いや、え??は??ハァァァァ!!?」
エースの叫び声がモビーディックに響いた。
【見かけに騙されるな!!】
『騒がしいのォ』
「人??さっきの蝙蝠は??」
『あれは“仮”の姿じゃ』
「??レニーは能力者なのか??」
『相違ない。だが、蝙蝠(アレ)は我が血族の力。能力は関係ない』
「血族……??ってかオヤジの知り合いにしては若すぎねェ??どう見てもおれと同じくらい…」
「エース。そいつ、見かけは若ェが1000超えてるぜ」
「せ…1000!?」
「レニーは“吸血鬼”なんだよい」
「“吸血鬼”!!?それおとぎ話じゃ…」
『……。まぁ20そこらの小僧ではすぐ理解出来ぬだろう。仕方ない“鳥”と“フランスパン”。主らが説明しておけ』
レニーはビシッと二人に指をさした。マルコはカッとなる。
「“鳥”じゃねェ!!おれは“マルコ”だって言ってんだよい!!」
「ちょ…おれ……“フランスパン”って認識なの……?まじで?」
「??」
『――ニューゲイト、さっさと部屋へ案内しろ』
「おう、そうだったな」
白ひげが部屋に向かう。背をむける前にレニーは放心状態のエースに言った。
『しばらくこの船の世話になる。また暇の相手を頼むぞ、“エース”』
「えっ……あ、ああ」
レニーはエースの返事を聞くと、白ひげ共に部屋へ入って行った。
「????」
「エース?」
「????」
エースの頭から白い蒸気が出る。考えすぎて逆に真っ白になったようでマルコの呼び声にも反応しない。
「あー……見事にショートしてるよい。仕方ねェな。サッチ、エースに奴のこと説明するよ……い?」
マルコはサッチに声を掛けながら首を傾げた。サッチは甲板に膝を抱えてどんよりしていたからだ。
「サッチ……??」
「出逢って20年以上も経ってんのに未だにおれは“フランスパン”……生き物ですらねェ…。
おれなんか……チーズにフォンデュされて食われればいいんだ……」
「……」
マルコはサッチからエースに視線を移す。エースは未だに頭から蒸気を出していた。
「(プシュー-……)」
「…ガーリックバター塗られて焼かれたらいいんだ……(イジイジ)」
「……。こいつら…果てしなく面倒だよい」
マルコは盛大にため息をついた。
fin
あとがき
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
素敵な贈り物のお返しが粗品になってしまいましたが…kReyさんに捧げます!
エースでギャグ指定。果たせましたでしょうか……??
関西人のくせに、ギャグセンスにまったく自信がありませんww
しかもエースだけでなく白ひげクルーまで登場させてしまいましたww
ご期待に添えたかわかりませんが、ひと時でも楽しんで頂けたら幸いです(^^)
これからもよろしくお願いします!!
それでは!
神有 悠
「暇だなァ……」
モビーディック号の白くじらを模したビークヘッドの上で海を眺めるは、白ひげ二番隊隊長“火拳”のエース。今日は船番らしい。
「なんだ、あれ……」
エースは少し先に浮かぶ黒い点を見つめた。
「鳥にしては小せェな。なんか黒いし……」
じーぃっと見ていると、丸いフォルムに羽根らしきものが生えているのがわかった。
「なァんだ蝙蝠か。………って!!こっちに近付いて来てんじゃねェか!」
蝙蝠と判別出来たのはそれがまっすぐこちらに向かって来ているからだった。
まもなく蝙蝠はエースの目の前にやって来る。
「……?」
エースは首を傾げた。目の前の蝙蝠はエースの前でパタパタと羽根を動かしながらその場に留まっている。まるでエースを品定めしているようだ。
「……なんか、まるっこくてかわいいな」
エースは好奇心で蝙蝠に手を伸ばす。
『容易く触れるでないぞ、小僧』
「うわっ!!」
突然話し出した蝙蝠にエースは驚き、飛び退いた。
「こ…蝙蝠がしゃべった!!」
『……悪いか?』
「いや、悪かねェけど!!びびるだろ」
『肝が小さい奴じゃな』
「いやいや!!」
エースは首をブンブンと振った。
『……まぁ、よい。ニューゲイトの若僧はおるか?』
「?オヤジ…?」
『そうじゃ。我はやつに会いに来た』
「蝙蝠が??」
『……悪いか?』
「いや……ってオヤジに蝙蝠の知り合いなんていたのか??」
『我が先に尋ねておる。答えよ。ニューゲイトの若僧はどこじゃ?』
「……(なんか高圧的な蝙蝠だな…)。オヤジは今船を降りてるぜ。街に行ってる」
『…あやつ、我を呼び出しておいて』
「……」
『ならば、“鳥”は?“石”でも“フランスパン”でも構わん』
「“鳥”??ああ、マルコか。“石”はジョズだよな…。“フランスパン”って??」
『おるじゃろ。小うるさいのが』
「……(誰だ??フランスパンって…?)。蝙蝠はみんなの知り合いなのか?」
『小僧共はオマケじゃがな』
「……(何者だ?この蝙蝠)。みんなも街だ。今、船にいるのはおれの隊だけ」
『隊?……ほう、小僧も隊長か』
「ん?ああ…って!!小僧じゃねェ。おれはエースだ!」
『エース……そうか。主が白ひげの“火”か』
「おれを知ってんのか??」
『新聞をにぎわしておるからのォ』
「……(蝙蝠でも新聞読むんだな……)。――なぁ、蝙蝠!!」
『なんじゃ?』
「お前、名前なんて言うんだ??あるんだろ?」
『……ああ。我はレニーじゃ』
「レニーか!!よろしくな、レニー!!」
『……』
レニーは沈黙した。エースが首を傾げる。
「どうした?」
『いや。主を見ておると何か懐かしい感じがしてのォ』
「そうか??どっかで会ったのかな??」
『さあな』
「まぁ、いいや。ところでレニーはオヤジとはどういう知り合いなんだ?」
『どういう??我とニューゲートの若僧は敵同士じゃよ』
「敵!?」
『我は“元”海賊じゃ』
「海賊!?蝙蝠が!!?」
「おーい、エース!!何一人で叫んでんだよい!」
「!」
エースが振り返るとマルコとサッチがいた。街から帰って来たようだ。
「マルコ!!」
「船番してたら暇すぎてバカになったのか??」
「違ェよ、サッチ!!あ、“フランスパン”ってサッチか!!」
エースはサッチの髪型を見て、納得したようにポンッと手を打った。
「!なっ!!エース!!誰が“フランスパン”だ!!飯抜きにすんぞ!!」
「ええ!!それは嫌だ!!おれはレニーがそう言ったから…」
「「レニー!?」」
マルコとサッチは驚きの声を上げる。
「あいつ、どこにいるんだよい?」
「え、ここ」
エースが蝙蝠を指差す。マルコとサッチは首を傾げた。後ろから白ひげが現れる。
「オヤジ!!」
「グラララ…なんだ早かったじゃねェか」
エースの近くで飛ぶ蝙蝠を見て白ひげが喋る。レニーは悪態をついた。
『我は刻限通りに来た。若僧の分際で我を待たすとは身の程を知れ』
「ああ…」
「その物言い…間違いなくレニーだよい」
「やっぱみんな知ってるんだな。この蝙蝠!」
エースは興味深げにマルコ達を見る。一方のマルコとサッチは肩を落とした。
「いや……知ってるもなにも……」
「??」
「相変わらず、お前は怖いもん知らずだよい」
「??なんだ??」
エースは首を傾げる。白ひげは笑った。
『笑うな、若僧が』
「フン。てめェがそんなナリだからじゃねェか」
『クルーを驚かさぬように蝙蝠(コレ)で来いと言うたのは主じゃぞ』
「そうだったか?」
『……まったく。もうよい』
「え?…え?みんななんの話してんだ?」
エースは一人ついて行けず頭をひねる。
とりあえず後ろを振り返り、レニーに尋ねた。
「なぁ、レニーどういう……って!!」
尋ねようとしたエースの目の前でレニーは蝙蝠から霧になり、さらに人形へ姿を変える。 黒い霧から現れたのは銀髪に整った顔、サファイアの瞳を持った青年。
「……」
『“火”の小僧、暇潰しに付き合わせて悪かったな』
「へっ……?は?」
『なんじゃ?間抜けな顔をして』
「いや、え??は??ハァァァァ!!?」
エースの叫び声がモビーディックに響いた。
【見かけに騙されるな!!】
『騒がしいのォ』
「人??さっきの蝙蝠は??」
『あれは“仮”の姿じゃ』
「??レニーは能力者なのか??」
『相違ない。だが、蝙蝠(アレ)は我が血族の力。能力は関係ない』
「血族……??ってかオヤジの知り合いにしては若すぎねェ??どう見てもおれと同じくらい…」
「エース。そいつ、見かけは若ェが1000超えてるぜ」
「せ…1000!?」
「レニーは“吸血鬼”なんだよい」
「“吸血鬼”!!?それおとぎ話じゃ…」
『……。まぁ20そこらの小僧ではすぐ理解出来ぬだろう。仕方ない“鳥”と“フランスパン”。主らが説明しておけ』
レニーはビシッと二人に指をさした。マルコはカッとなる。
「“鳥”じゃねェ!!おれは“マルコ”だって言ってんだよい!!」
「ちょ…おれ……“フランスパン”って認識なの……?まじで?」
「??」
『――ニューゲイト、さっさと部屋へ案内しろ』
「おう、そうだったな」
白ひげが部屋に向かう。背をむける前にレニーは放心状態のエースに言った。
『しばらくこの船の世話になる。また暇の相手を頼むぞ、“エース”』
「えっ……あ、ああ」
レニーはエースの返事を聞くと、白ひげ共に部屋へ入って行った。
「????」
「エース?」
「????」
エースの頭から白い蒸気が出る。考えすぎて逆に真っ白になったようでマルコの呼び声にも反応しない。
「あー……見事にショートしてるよい。仕方ねェな。サッチ、エースに奴のこと説明するよ……い?」
マルコはサッチに声を掛けながら首を傾げた。サッチは甲板に膝を抱えてどんよりしていたからだ。
「サッチ……??」
「出逢って20年以上も経ってんのに未だにおれは“フランスパン”……生き物ですらねェ…。
おれなんか……チーズにフォンデュされて食われればいいんだ……」
「……」
マルコはサッチからエースに視線を移す。エースは未だに頭から蒸気を出していた。
「(プシュー-……)」
「…ガーリックバター塗られて焼かれたらいいんだ……(イジイジ)」
「……。こいつら…果てしなく面倒だよい」
マルコは盛大にため息をついた。
fin
あとがき
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
素敵な贈り物のお返しが粗品になってしまいましたが…kReyさんに捧げます!
エースでギャグ指定。果たせましたでしょうか……??
関西人のくせに、ギャグセンスにまったく自信がありませんww
しかもエースだけでなく白ひげクルーまで登場させてしまいましたww
ご期待に添えたかわかりませんが、ひと時でも楽しんで頂けたら幸いです(^^)
これからもよろしくお願いします!!
それでは!
神有 悠