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「右の指先に線状の痕が無数ついてるがこれはなんだ?」
『それはバイオリンの弦を抑えた痕だと思う』
「…なるほどな。お前はピアノだけでなく、バイオリンも弾けるのか」
『弾けるよ』
「バイオリンなら船に置けるな。よし、用意しよう」
『……。バイオリンは湿気に弱いからキミの船には向かないと思うけど』
「そうか、なら他に何が出来る?」
『さぁ…。僕はピアノとバイオリン以外試した覚えがないから、知らない。それより』
「それより?」
『いい加減返してくれないかな。僕の両腕』
アルトはローの船に乗っていた。いや、正確には乗せられたと言うのが正しいかもしれない。
しかも今はアルトはローの足の間に座っており、身動きが取れなくなっていた。
「断る。お前が首を縦に振るまでは返す気はない」
『キミ…僕が海軍だって理解してるのかい?』
「ああしてる。だが、関係ないだろ?」
『いやいや…関係あるだろう。敵を勧誘してどうするのさ』
アルトはローにもたれる。アルトは遠くにある自分の腕を見ながらため息をついた。
「おれはお前を気に入った。だから仲間にする。何か問題はあるのか?」
『大いに問題がある。その考えに僕の意見が何一つ入っていない』
「入ってるだろ。首を縦に振ると」
『……はぁ。何回言ってもムリだよ。それにしてもキミは、いつもこんな勧誘をしてるのかい?』
「強情な奴にはな」
『……』
「そもそもお前が海軍らしくないのがいけない。あのバーでおれにピアノを聞かせるからだ」
『らしいらしくないの問題なの?それに聞いたのはキミの勝手。僕が海軍だとわかった時点で手を引けばいいじゃないか』
「わかった時には仲間に入れるつもりだったからな。仕方ない。お前だって船に遊びに来てるだろ?」
『遊び来るのはキミがケーキをくれるからだよ』
「フッ…ケーキでいいんなら、毎日用意してやるよ」
『あー毎日か。いいな……すごく惹かれる。けど、ムリだな』
「なぜだ?海軍から海賊になるなんて別にない話じゃねェだろ」
『……そうかもね』
アルトは言葉を濁す。ローはアルトの腕を床に置くと、後ろからギュッと抱きしめた。
「……悪ィ」
『構わない。ただ僕は海軍だ。海賊にはならない』
「どうしてもか?」
『ああ。僕は彼を捕まえないといけないからね』
「妬けるな。お前にこんなに入れ込んでもらえるドレーク屋に」
『入れ込んでる?そうなのかな…。よくわからない』
「それがお前のいいところだ。おれはそこを気に入ってる」
『……変なの。僕はキミ達処刑台に送るためにいるんだよ』
「フフ…お前になら送られてもいいな」
『なら、今送ってあげようか?』
「いや、それより先におれはお前を攫って、無理やり仲間にしてやるよ」
『でも、キミはそんなことしないだろ?』
「!」
『僕はキミを“そういう海賊”だと思っているよ、ロークン』
「……チッ。だが、おれはあきらめねェぞ」
『あきらめた方がいいと思うけどなぁ』
ローはアルトを抱きしめる腕を緩め、床に置いたアルトの腕をつける。元に戻ったアルトは腕を回して調子をみた。
「近くまで送って行く」
『いいの?ありがと』
「…また来るよな?」
『……。そうだな。フレイバーの新作ケーキをくれるなら』
【敵以上、仲間未満】
アルト帰宅後。
「ベポ。フレイバーに行くぞ」
「アイアイ、キャプテン!」
fin
『それはバイオリンの弦を抑えた痕だと思う』
「…なるほどな。お前はピアノだけでなく、バイオリンも弾けるのか」
『弾けるよ』
「バイオリンなら船に置けるな。よし、用意しよう」
『……。バイオリンは湿気に弱いからキミの船には向かないと思うけど』
「そうか、なら他に何が出来る?」
『さぁ…。僕はピアノとバイオリン以外試した覚えがないから、知らない。それより』
「それより?」
『いい加減返してくれないかな。僕の両腕』
アルトはローの船に乗っていた。いや、正確には乗せられたと言うのが正しいかもしれない。
しかも今はアルトはローの足の間に座っており、身動きが取れなくなっていた。
「断る。お前が首を縦に振るまでは返す気はない」
『キミ…僕が海軍だって理解してるのかい?』
「ああしてる。だが、関係ないだろ?」
『いやいや…関係あるだろう。敵を勧誘してどうするのさ』
アルトはローにもたれる。アルトは遠くにある自分の腕を見ながらため息をついた。
「おれはお前を気に入った。だから仲間にする。何か問題はあるのか?」
『大いに問題がある。その考えに僕の意見が何一つ入っていない』
「入ってるだろ。首を縦に振ると」
『……はぁ。何回言ってもムリだよ。それにしてもキミは、いつもこんな勧誘をしてるのかい?』
「強情な奴にはな」
『……』
「そもそもお前が海軍らしくないのがいけない。あのバーでおれにピアノを聞かせるからだ」
『らしいらしくないの問題なの?それに聞いたのはキミの勝手。僕が海軍だとわかった時点で手を引けばいいじゃないか』
「わかった時には仲間に入れるつもりだったからな。仕方ない。お前だって船に遊びに来てるだろ?」
『遊び来るのはキミがケーキをくれるからだよ』
「フッ…ケーキでいいんなら、毎日用意してやるよ」
『あー毎日か。いいな……すごく惹かれる。けど、ムリだな』
「なぜだ?海軍から海賊になるなんて別にない話じゃねェだろ」
『……そうかもね』
アルトは言葉を濁す。ローはアルトの腕を床に置くと、後ろからギュッと抱きしめた。
「……悪ィ」
『構わない。ただ僕は海軍だ。海賊にはならない』
「どうしてもか?」
『ああ。僕は彼を捕まえないといけないからね』
「妬けるな。お前にこんなに入れ込んでもらえるドレーク屋に」
『入れ込んでる?そうなのかな…。よくわからない』
「それがお前のいいところだ。おれはそこを気に入ってる」
『……変なの。僕はキミ達処刑台に送るためにいるんだよ』
「フフ…お前になら送られてもいいな」
『なら、今送ってあげようか?』
「いや、それより先におれはお前を攫って、無理やり仲間にしてやるよ」
『でも、キミはそんなことしないだろ?』
「!」
『僕はキミを“そういう海賊”だと思っているよ、ロークン』
「……チッ。だが、おれはあきらめねェぞ」
『あきらめた方がいいと思うけどなぁ』
ローはアルトを抱きしめる腕を緩め、床に置いたアルトの腕をつける。元に戻ったアルトは腕を回して調子をみた。
「近くまで送って行く」
『いいの?ありがと』
「…また来るよな?」
『……。そうだな。フレイバーの新作ケーキをくれるなら』
【敵以上、仲間未満】
アルト帰宅後。
「ベポ。フレイバーに行くぞ」
「アイアイ、キャプテン!」
fin