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「“アトラス彗星”っ!!」
ババババ!!!
巨大パチンコ、カブトから4つの星が一斉に撃ち出す。
放たれた星は後ろから追ってくる海兵に正確に向かう。
『“無秩序(ケイオス)”』
追う海兵は逃げ腰の海賊が放った星の軌道を読み素早く透明なピースを軌道上に組み立てた。
カンカンカンカン
「また!!当たらねェよ、ちくしょー!!」
逃げ腰の海賊、ウソップ…いや今は仮面とマントを羽織ったみんなのヒーローそげキングである。
しかしそのヒーローも今は仮面の下で半泣き状態。また尋常でない素早さで逃げていた。
「あんの“盾中将”!!卑怯なんだよ!!
―――いや、慌てるなウソップくん。今は距離を稼いで……
――あーー!!まだかかるのかよ、あいつら!!まさかおれを置いて逃げたんじゃないだろうな!!」
頭の中でウソップとそげキングが行き来する。さっきから撃っては逃げ撃っては逃げを繰り返していた。
【ヒーローは辛いよ】
こんなことになっている原因は少し前に遡る。
「海軍だらけじゃねェか」
「嘘……なんでこんなにいるのよ!」
麦わら一味はある秋島にいた。しかし何故か海軍達がうろうろしている。
サニー号は上手く隠して来たからすぐには見つからないだろうが、船に戻るのに苦労しそうだった。
「おー危ねェ危ねェ」
「サンジ!」
ダダダッと宿屋に入ってきたのはサンジ。
「どうだったの?」
「ああ、なんか巡回らしい。ただ問題なのはあのクソ“盾”野郎の隊だってことだ。おれの顔も割れてる」
「“盾”って…」
「あの“ゼロ”の中将!?」
「あの強ェ奴か!!」
「ワカメか!!音楽家の!!」
「いやいや、海軍だから」
ルフィのすっとんきょうな言葉にウソップは突っ込みを入れる。
「なぁ、適当に抜けた方がいいんじゃねェか?」
「ダメよ!!相手の人数もわからないのよ!!しかも中将を相手になんかしてらんないわ!!」
ゾロの言葉にナミが怒鳴る。
「……ねェ、ちょっといいかしら」
沈黙を守っていたロビンが話す。
「誰かが囮になってその間にみんな船に乗ったらどうかしら?」
「お、囮~~~!?」
チョッパーは悲鳴に近い声を出す。しかしすぐに口を塞がれた。
「チョッパー黙ってろ。バレたら終わりだぞ」
「ヨホホ~恐い」
「確かに少しの間でも時間が稼げたら逃げれるわね。私は嫌だけど」
「他人任せか!!」
ナミが真剣な顔で拒否をする。ウソップはまた突っ込みを入れた。ロビンは腕を組みながら話す。
「囮になる人は私達が船に乗るまで適度に戦いながらでも“逃げ続け”ないといけない」
「えー!!全員ぶっ飛ばしたらいいじゃねェか」
「それじゃ囮にはならねェだろうが。それにあの“盾”野郎と戦闘になって誰か捕まったらどうすんだ」
「そう。アルトとの戦闘を避けるのが最優先なの。そこでおススメの人選があるんだけど」
「アン?誰だ??そんな奴いたか?」
「ええ。彼を確実に引き付けることが出来る人物が一人いるわ」
ロビンはそう言うとウソップを見た。
「え…?」
「中将、今のところ異常はありません」
『そう。後どれくらいで終わる?』
「後、4分の1程ですので20分くらいかと」
『20分ね』
アルトはそう言いながら板チョコの封をあけ、かじる。今日は中将では異例の巡回任務をこなしていた。
『はぁ…』
「中将、お疲れですか」
『いや…。巡回ってこんなに時間をかかるんだなって思ってね』
「今回は任務のついでですから余計にそう感じるんですよ。次の島が最後です」
『うん。航路の確認は出来てるよね。終わったらすぐ行こう。
で帰ったら、今回こうなった原因のクザンクンに何か奢らせよう』
「ははは。そうですね」
ロールは海兵を数人よび、指示を出す。すると、一人の海兵が走って来た。
「失礼します!!」
「どうした?」
ロールが尋ねる。
「はい!それが海賊が上陸しているという情報が入りまして」
「海賊!」
『誰かわかる?』
「はい。村人の話によると麦わらを被った男や刀を3本腰にさした……」
「『……』」
そんな特徴で思い付くのはある一味のみ。
『……麦わらクン達か』
「ガープ中将のお孫さんですね」
『ああ』
「どうします?」
『あの時みたいに見逃す訳には行かないだろうな……。
仕方ない、捕まえよう。ロールクンは海から麦わらクンの船を探して。僕は陸から行く』
「はっ!!」
「そげきのーしまでーうまれたーおれはー♪♪」
「「!!?」」
『これは……』
「どこだ?」
突然聞こえてきた歌声にアルト達同時に、聞こえてくる方向に一斉に顔を向けた。
その声は屋根の上から聞こえてくる。
「何かいるぞ!!」
「あれは…!!」
『そげキングクン…!!』
歌のフィニッシュに合わせてポーズをとっていたそげキングの姿を見て、アルトは目を輝かせた。
「はははは。やぁ、海軍の諸君。私がそげキングだ」
『本物…!!』
「!中将!?」
キラキラとした目をそげキングに向けるアルトにロールは驚く。
一方、そげキングことウソップは心臓が張り裂けそうな程バクバクしていた。
「(ヤベェ、早速あいつがいるじゃねェかー!!他の海兵もめちゃめちゃいるしよォ…!!)」
「捕まえろ!!」
「捕まえて仲間の居場所を聞き出すんだ!!」
「…うぉっほん!!さぁ、君達の相手はこのそげキングだ!!どこからでもかかってくるがいい!!」
そう口上を切ったそげキングは、しゅたたたたとその場から逃げ出した。
「「「逃げた!!」」
「早いぞ!!おい、追うんだ」
「はっ!!」
『待って』
「「??」」
「ノティ中将?」
『僕が追うよ』
「!!中将が、たかが海賊一人に」
『彼はヒーローなんだ。一人でも強いよ』
「!?……はぁ、ヒーローですか…?」
『うん。だから僕が行く。とりあえずロールクン、指示はさっきと一緒。
キミ達は海で麦わらクンの船を追って』
「……。わかりました」
『よろしく!!』
アルトはそう言うと駆け出した。
そして冒頭に戻る。
『……撃って来る軌道が的確だな…。足も速いし』
そげキングの攻撃を盾で防ぎながら、追うアルトが言う。
『戦ってくれる方が嬉しいんだけど、ちょっと止めて見るか』
アルトは手を前に出す。
『“牢(ラーゲル)”』
「ひぃ……!!!!」
『!?』
しゅたたたたたた
そげキングのスピードが上がり、アルトの盾の牢を辛うじて通り過ぎた。それを見てアルトの口は弧を描く。
『面白い…!!』
海岸に出たそげキングは後ろを見た。
「撒いたか……?さすがおれ!!まぁ、ちょっと危なかったかな。あんなんに捕まったら終わりだぜ…!!」
『早いね~そげキングクン』
「まぁな。おれ様逃げに関しては定評が………!?ってええええ!!!!」
そげキングの進行方向にアルトが立っていた。
「い、いつの間に!!!バケモンか!!!」
『いや、人間だよ』
「知ってるわ!!」
バシッと突っ込みをいれるそげキング。アルトは首を傾げた。
『あれ…?なんかこんな感じのやりとりなんかしたことあるな。
確か麦わらクン一味にいた長鼻ク……』
「うわわわ!!待て待………ウオッホン。待ちたまえ“盾中”…いやいやアルトくん」
『!!なんで僕の名を!!?』
アルトの疑問は吹っ飛び、目を輝かせた。
「(しめた…!!)…わ、私は何でも知っているのだよ!キミが私のファンだと言うこともね」
『そうなんだ!僕、キミのファンで…』
「フッフッフ~ン。みなまで言わなくていい。キミの私に対する尊敬の眼差しは伝わっているよ」
『すごい!!すごく嬉しいよ!』
「しかも今日は特別に私と出会った記念品と思い出にこれをあげよう」
『本当に!?』
「ああ、もちろん!!そこなんでだが……」
『ん?』
「キミの優しさを少し注いで私を逃がしてはくれないか?」
『……あー。んー―』
アルトは腕を組み、悩んだ。そげキングは心の中で手を合わせて願っていた。
『でも仕事だからな、難し……』
「いた!!そげキングだ!お~い!!」
『「!!」』
アルトとそげキングは海岸を見るとサニー号から大きく手をふるルフィの姿が見えた。
その後ろからアルトの艦隊がサニー号に砲弾を撃ちながら追っていた。
「あの中将がいるってことは作戦は成功か?」
「後はうそっ…じゃなくてそげキングの救出よ!フランキー!準備はいい?」
「おう!いつでもいいぜ!!」
「ルフィ!!」
「おし行くぞ!そげキング!掴まれ!!」
『させないよ』
ギュンッとルフィの手が伸びる。そしてそげキングのマントを掴んだ。アルトはそれを阻止しようと手を伸ばす。
「“二輪咲き(ドス・フルール)”」
『うわっ!』
アルトのからロビンの手が生えたかと思えばグッと抑えられた。
そのスキにそげキングがゴムの手によってサニー号に飛んでいく。
「フランキー!そげキング!!今よ」
「よし来た!行くぜ!!“風来(クード)”」
「おおし、くらえ必殺…」
『!!まさか…』
アルトを拘束していた手が消える。アルトはルフィ達がしようとしていることを理解した。
『まずい、あの距離は』
アルトはとっさに手を前に出した。
「“バースト”!!」
「“煙星”!!」
『“聖域(ジ・ハード)”…!!』
ボフンっと煙星から大量の煙が視界を遮る。それと同時にサニー号は凄まじい風圧を発射して、空を飛んで逃げた。
「「「……!?」」」
煙が晴れる。ロール達が辺りを見渡した時には麦わら一味の姿はなく、透明なピースが艦を囲っていた。
「何が…どうなって?」
「消えた…??」
『みんな無事?』
「「中将!!」」
アルトが艦に乗って来た。ロールは尋ねる。
「中将これは??麦わらの一味はどこに…!!?」
『彼らは飛んで逃げたよ』
「「「飛んで!!?」」」
『忘れてたな。前もあれで逃げられたんだ』
「追いますか?」
『いや、いい。任務に戻ろう』
「しかし……!」
『“あれ”結構飛ぶから今からじゃ追いつけない。次に会った時でいいよ』
「はい。では」
『うん、次の島に行く。みんな準備して!』
「「「はっ!!」」」
慌ただしく出港準備をする部下を見ながら、アルトはポーチから板チョコを取り出し一口かじった。そして右手に目を向ける。
『惜しかったな。次は戦えるといいけど…』
「中将それは?」
『ああ、これはね』
ロールはアルトの右手にある“パチンコ”を見て首を傾げた。アルトは表情は変わらないが、嬉しそうな声で言った。
『ヒーローからの戦利品だよ』
Fin
ババババ!!!
巨大パチンコ、カブトから4つの星が一斉に撃ち出す。
放たれた星は後ろから追ってくる海兵に正確に向かう。
『“無秩序(ケイオス)”』
追う海兵は逃げ腰の海賊が放った星の軌道を読み素早く透明なピースを軌道上に組み立てた。
カンカンカンカン
「また!!当たらねェよ、ちくしょー!!」
逃げ腰の海賊、ウソップ…いや今は仮面とマントを羽織ったみんなのヒーローそげキングである。
しかしそのヒーローも今は仮面の下で半泣き状態。また尋常でない素早さで逃げていた。
「あんの“盾中将”!!卑怯なんだよ!!
―――いや、慌てるなウソップくん。今は距離を稼いで……
――あーー!!まだかかるのかよ、あいつら!!まさかおれを置いて逃げたんじゃないだろうな!!」
頭の中でウソップとそげキングが行き来する。さっきから撃っては逃げ撃っては逃げを繰り返していた。
【ヒーローは辛いよ】
こんなことになっている原因は少し前に遡る。
「海軍だらけじゃねェか」
「嘘……なんでこんなにいるのよ!」
麦わら一味はある秋島にいた。しかし何故か海軍達がうろうろしている。
サニー号は上手く隠して来たからすぐには見つからないだろうが、船に戻るのに苦労しそうだった。
「おー危ねェ危ねェ」
「サンジ!」
ダダダッと宿屋に入ってきたのはサンジ。
「どうだったの?」
「ああ、なんか巡回らしい。ただ問題なのはあのクソ“盾”野郎の隊だってことだ。おれの顔も割れてる」
「“盾”って…」
「あの“ゼロ”の中将!?」
「あの強ェ奴か!!」
「ワカメか!!音楽家の!!」
「いやいや、海軍だから」
ルフィのすっとんきょうな言葉にウソップは突っ込みを入れる。
「なぁ、適当に抜けた方がいいんじゃねェか?」
「ダメよ!!相手の人数もわからないのよ!!しかも中将を相手になんかしてらんないわ!!」
ゾロの言葉にナミが怒鳴る。
「……ねェ、ちょっといいかしら」
沈黙を守っていたロビンが話す。
「誰かが囮になってその間にみんな船に乗ったらどうかしら?」
「お、囮~~~!?」
チョッパーは悲鳴に近い声を出す。しかしすぐに口を塞がれた。
「チョッパー黙ってろ。バレたら終わりだぞ」
「ヨホホ~恐い」
「確かに少しの間でも時間が稼げたら逃げれるわね。私は嫌だけど」
「他人任せか!!」
ナミが真剣な顔で拒否をする。ウソップはまた突っ込みを入れた。ロビンは腕を組みながら話す。
「囮になる人は私達が船に乗るまで適度に戦いながらでも“逃げ続け”ないといけない」
「えー!!全員ぶっ飛ばしたらいいじゃねェか」
「それじゃ囮にはならねェだろうが。それにあの“盾”野郎と戦闘になって誰か捕まったらどうすんだ」
「そう。アルトとの戦闘を避けるのが最優先なの。そこでおススメの人選があるんだけど」
「アン?誰だ??そんな奴いたか?」
「ええ。彼を確実に引き付けることが出来る人物が一人いるわ」
ロビンはそう言うとウソップを見た。
「え…?」
「中将、今のところ異常はありません」
『そう。後どれくらいで終わる?』
「後、4分の1程ですので20分くらいかと」
『20分ね』
アルトはそう言いながら板チョコの封をあけ、かじる。今日は中将では異例の巡回任務をこなしていた。
『はぁ…』
「中将、お疲れですか」
『いや…。巡回ってこんなに時間をかかるんだなって思ってね』
「今回は任務のついでですから余計にそう感じるんですよ。次の島が最後です」
『うん。航路の確認は出来てるよね。終わったらすぐ行こう。
で帰ったら、今回こうなった原因のクザンクンに何か奢らせよう』
「ははは。そうですね」
ロールは海兵を数人よび、指示を出す。すると、一人の海兵が走って来た。
「失礼します!!」
「どうした?」
ロールが尋ねる。
「はい!それが海賊が上陸しているという情報が入りまして」
「海賊!」
『誰かわかる?』
「はい。村人の話によると麦わらを被った男や刀を3本腰にさした……」
「『……』」
そんな特徴で思い付くのはある一味のみ。
『……麦わらクン達か』
「ガープ中将のお孫さんですね」
『ああ』
「どうします?」
『あの時みたいに見逃す訳には行かないだろうな……。
仕方ない、捕まえよう。ロールクンは海から麦わらクンの船を探して。僕は陸から行く』
「はっ!!」
「そげきのーしまでーうまれたーおれはー♪♪」
「「!!?」」
『これは……』
「どこだ?」
突然聞こえてきた歌声にアルト達同時に、聞こえてくる方向に一斉に顔を向けた。
その声は屋根の上から聞こえてくる。
「何かいるぞ!!」
「あれは…!!」
『そげキングクン…!!』
歌のフィニッシュに合わせてポーズをとっていたそげキングの姿を見て、アルトは目を輝かせた。
「はははは。やぁ、海軍の諸君。私がそげキングだ」
『本物…!!』
「!中将!?」
キラキラとした目をそげキングに向けるアルトにロールは驚く。
一方、そげキングことウソップは心臓が張り裂けそうな程バクバクしていた。
「(ヤベェ、早速あいつがいるじゃねェかー!!他の海兵もめちゃめちゃいるしよォ…!!)」
「捕まえろ!!」
「捕まえて仲間の居場所を聞き出すんだ!!」
「…うぉっほん!!さぁ、君達の相手はこのそげキングだ!!どこからでもかかってくるがいい!!」
そう口上を切ったそげキングは、しゅたたたたとその場から逃げ出した。
「「「逃げた!!」」
「早いぞ!!おい、追うんだ」
「はっ!!」
『待って』
「「??」」
「ノティ中将?」
『僕が追うよ』
「!!中将が、たかが海賊一人に」
『彼はヒーローなんだ。一人でも強いよ』
「!?……はぁ、ヒーローですか…?」
『うん。だから僕が行く。とりあえずロールクン、指示はさっきと一緒。
キミ達は海で麦わらクンの船を追って』
「……。わかりました」
『よろしく!!』
アルトはそう言うと駆け出した。
そして冒頭に戻る。
『……撃って来る軌道が的確だな…。足も速いし』
そげキングの攻撃を盾で防ぎながら、追うアルトが言う。
『戦ってくれる方が嬉しいんだけど、ちょっと止めて見るか』
アルトは手を前に出す。
『“牢(ラーゲル)”』
「ひぃ……!!!!」
『!?』
しゅたたたたたた
そげキングのスピードが上がり、アルトの盾の牢を辛うじて通り過ぎた。それを見てアルトの口は弧を描く。
『面白い…!!』
海岸に出たそげキングは後ろを見た。
「撒いたか……?さすがおれ!!まぁ、ちょっと危なかったかな。あんなんに捕まったら終わりだぜ…!!」
『早いね~そげキングクン』
「まぁな。おれ様逃げに関しては定評が………!?ってええええ!!!!」
そげキングの進行方向にアルトが立っていた。
「い、いつの間に!!!バケモンか!!!」
『いや、人間だよ』
「知ってるわ!!」
バシッと突っ込みをいれるそげキング。アルトは首を傾げた。
『あれ…?なんかこんな感じのやりとりなんかしたことあるな。
確か麦わらクン一味にいた長鼻ク……』
「うわわわ!!待て待………ウオッホン。待ちたまえ“盾中”…いやいやアルトくん」
『!!なんで僕の名を!!?』
アルトの疑問は吹っ飛び、目を輝かせた。
「(しめた…!!)…わ、私は何でも知っているのだよ!キミが私のファンだと言うこともね」
『そうなんだ!僕、キミのファンで…』
「フッフッフ~ン。みなまで言わなくていい。キミの私に対する尊敬の眼差しは伝わっているよ」
『すごい!!すごく嬉しいよ!』
「しかも今日は特別に私と出会った記念品と思い出にこれをあげよう」
『本当に!?』
「ああ、もちろん!!そこなんでだが……」
『ん?』
「キミの優しさを少し注いで私を逃がしてはくれないか?」
『……あー。んー―』
アルトは腕を組み、悩んだ。そげキングは心の中で手を合わせて願っていた。
『でも仕事だからな、難し……』
「いた!!そげキングだ!お~い!!」
『「!!」』
アルトとそげキングは海岸を見るとサニー号から大きく手をふるルフィの姿が見えた。
その後ろからアルトの艦隊がサニー号に砲弾を撃ちながら追っていた。
「あの中将がいるってことは作戦は成功か?」
「後はうそっ…じゃなくてそげキングの救出よ!フランキー!準備はいい?」
「おう!いつでもいいぜ!!」
「ルフィ!!」
「おし行くぞ!そげキング!掴まれ!!」
『させないよ』
ギュンッとルフィの手が伸びる。そしてそげキングのマントを掴んだ。アルトはそれを阻止しようと手を伸ばす。
「“二輪咲き(ドス・フルール)”」
『うわっ!』
アルトのからロビンの手が生えたかと思えばグッと抑えられた。
そのスキにそげキングがゴムの手によってサニー号に飛んでいく。
「フランキー!そげキング!!今よ」
「よし来た!行くぜ!!“風来(クード)”」
「おおし、くらえ必殺…」
『!!まさか…』
アルトを拘束していた手が消える。アルトはルフィ達がしようとしていることを理解した。
『まずい、あの距離は』
アルトはとっさに手を前に出した。
「“バースト”!!」
「“煙星”!!」
『“聖域(ジ・ハード)”…!!』
ボフンっと煙星から大量の煙が視界を遮る。それと同時にサニー号は凄まじい風圧を発射して、空を飛んで逃げた。
「「「……!?」」」
煙が晴れる。ロール達が辺りを見渡した時には麦わら一味の姿はなく、透明なピースが艦を囲っていた。
「何が…どうなって?」
「消えた…??」
『みんな無事?』
「「中将!!」」
アルトが艦に乗って来た。ロールは尋ねる。
「中将これは??麦わらの一味はどこに…!!?」
『彼らは飛んで逃げたよ』
「「「飛んで!!?」」」
『忘れてたな。前もあれで逃げられたんだ』
「追いますか?」
『いや、いい。任務に戻ろう』
「しかし……!」
『“あれ”結構飛ぶから今からじゃ追いつけない。次に会った時でいいよ』
「はい。では」
『うん、次の島に行く。みんな準備して!』
「「「はっ!!」」」
慌ただしく出港準備をする部下を見ながら、アルトはポーチから板チョコを取り出し一口かじった。そして右手に目を向ける。
『惜しかったな。次は戦えるといいけど…』
「中将それは?」
『ああ、これはね』
ロールはアルトの右手にある“パチンコ”を見て首を傾げた。アルトは表情は変わらないが、嬉しそうな声で言った。
『ヒーローからの戦利品だよ』
Fin