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【あおいかんざし】
「はぁい、出来たわよ」
「とってもよく似合うわ」
『……はぁ』
女部屋の鏡に写るのはナミとロビン笑顔、そして苦笑するジンだ。
「やっぱり、ジンには紺ね!」
「このピンクの帯も髪の色と合ってていいわね」
『……ははは。ありがとうございます』
乾いた笑いしか出ないジンは改めて、自分の姿を鏡で見る。
鏡に写るジンは髪を顔の横で適度にまとめたスタイル。
そして紺地に淡いピンクの花をあしらった“女性物”の着物を着ている。帯も淡いピンクだ。
眼帯は死守したものの、髪の色や元々の顔立ちと女性陣の化粧が相まって見事に女性の姿になっていた。
『(これ程まで完成度が高いとは……二人の技術には驚きです)』
ジンは鏡越しにナミとロビンを見る。二人は楽しそうにジンの姿を見ていた。
「あら、自分に見惚れたの?」
ロビンの笑みを含んだ言葉にジンはまた苦笑する。鏡から二人に振り返った。
『お二人のお姿に見惚れていました』
「あ、そんなこと今日言ったらダンナが怒るわよ」
「ふふ。只でさえ寒空の中待ってるんですものね」
『え……!そんなに時間経ちましたか!!?』
二人の言葉にジンは時間を見る。時刻は11時50分…約束の時間からは1時間以上経っていた。
ジンは肩を落とす。
『…困りました。こんなに待たせてしまって。怒っているでしょうね』
「ま、大丈夫でしょ。そう思うなら早く行きなさい!」
『あ…で、でもこの格好はやはり……』
ジンは女部屋から出るのを躊躇する。ナミとロビンはそんなジンを女部屋から押し出した。
「寒ぃ……。いつまでも待たせるんだ?アイツら……!!」
ズッと鼻をすすり、酒をぐいっと飲んだ。
冷たい風が吹く甲板に一人佇むゾロ。
今日はいつもの格好ではなく、羽織り袴を着ている。腰には3本の刀。右手には酒、左手には濃い青のとんぼ玉に飾りが少しついた簪を持っていた。
ガチャッと女部屋のドアが開く音が聞こえた。ゾロは甲板から女部屋の方を振り向く。
「おい、遅せェぞ!!いつまで待たせ…る…気………!!」
女部屋に向かって怒鳴ったゾロの声は徐々に消えて言った。その代わり目は大きく見開いた。
ジンは着崩さない様に、ゆっくりとしかし内心は焦りながら階段を降り、ゾロの下へ向かう。
『すいません、ゾロ。こんなにもお待たせしてしまって……』
「………」
ゾロはジンの女の姿に寒気やイライラを通り越え、固まった。
ジンはそんなゾロの側に寄り、ゾロの右手に触れる。
『冷たい……』
「!!」
ゾロはジンが、目の前にいるのを今、気付いた。
『ゾロ、本当に……ずっと外で待っていたんですね』
「あ、ま…ぁな」
『本当にすいません…!!』
「い、いや」
ジンはゾロの目を見て、謝る。ゾロは真っ赤になった顔を慌てて背けた。
「(これは予想以上だ……やべェ、かわいい…)」
ゾロは顔が真っ赤になるのを必死に抑える。ふと、左手にある物を思い出し、ジンを見た。
『すいません……サンジさんに温かいものでも頂きますか?』
「……。いらねェ」
ゾロはサンジの名が出て一瞬ムッとした顔をする。しかしすぐに気を取り直した。
『でも……』
「もういいって言ってんだろ。謝られて新年は迎えたくねェよ」
『あ……それもそうですね』
「これも渡せねェしな」
『??』
ゾロはジンに左手に持った簪を差し出す。
『これは……?』
「とんぼ玉の簪だ。たまたま見つけて……ジンに似合うと思ってな」
ゾロが照れ隠しに頬をポリポリとかく。ジンは目を見開いた。
『ゾロが……僕に?』
「ああ。気に入らねェか?」
『そんな!!嬉しい…とても嬉しいです……!!』
ジンは綺麗な笑顔で簪を見る。ゾロはそれを見てニッと口角をあげた。
『着けてもいいですか?』
「もちろんだ」
ジンは髪を崩さない様に丁寧に簪を差し込む。着物にもうまく調和し、綺麗だった。
「へェ、似合うじゃねェか」
『!!……ありがとうございます、ゾロ』
照れるジンをとても愛おしく思ったゾロ。おもむろにジンを抱き寄せた。
『!!ゾ、ゾロ!!?』
「あん?抱きしめたくなっただけだ。気にすんな」
『…はい』
ジンは微笑む。そしてしばらく互いの温もりを感じていた。
スッとゾロが抱きしめる手を緩めたのに気付き、ジンは顔をあげる。
「そろそろ行くか?せっかく着物着てるしな」
『そうですね。参りましょう、初詣に』
ジンとゾロは笑い合う。そしてゾロがジンの手を取り、二人で船を降りて行った。
「ねェ、ロビン。賭けましょうか?」
「何を?」
「“今日、二人が帰ってくるか”」
「ふふ……残念だけど賭けにはならないと思うわ」
「やっぱり?ゾロには後で報酬をもらわないとね」
二人を女部屋から見送ったナミとロビンはそんな話をしながら楽しそうに笑った。
fin
*********
一足早くお正月ネタ書かせて頂きました!
でも、“初詣”の単語がなければただの女装ネタ……ww
ゾロ×ジンの恋人設定です。ナミとロビンには友情出演してもらいました。
ゾロが簪を買い、ナミとロビンの協力で似合う様にジンに女物の着物を着せてもらったっと言う(分かりにくい……)お話。
ゾロネタ2つ目ですいません;;;お納め頂くと嬉しいです(^^)
来年度もよろしくお願いします!
神有 悠
「はぁい、出来たわよ」
「とってもよく似合うわ」
『……はぁ』
女部屋の鏡に写るのはナミとロビン笑顔、そして苦笑するジンだ。
「やっぱり、ジンには紺ね!」
「このピンクの帯も髪の色と合ってていいわね」
『……ははは。ありがとうございます』
乾いた笑いしか出ないジンは改めて、自分の姿を鏡で見る。
鏡に写るジンは髪を顔の横で適度にまとめたスタイル。
そして紺地に淡いピンクの花をあしらった“女性物”の着物を着ている。帯も淡いピンクだ。
眼帯は死守したものの、髪の色や元々の顔立ちと女性陣の化粧が相まって見事に女性の姿になっていた。
『(これ程まで完成度が高いとは……二人の技術には驚きです)』
ジンは鏡越しにナミとロビンを見る。二人は楽しそうにジンの姿を見ていた。
「あら、自分に見惚れたの?」
ロビンの笑みを含んだ言葉にジンはまた苦笑する。鏡から二人に振り返った。
『お二人のお姿に見惚れていました』
「あ、そんなこと今日言ったらダンナが怒るわよ」
「ふふ。只でさえ寒空の中待ってるんですものね」
『え……!そんなに時間経ちましたか!!?』
二人の言葉にジンは時間を見る。時刻は11時50分…約束の時間からは1時間以上経っていた。
ジンは肩を落とす。
『…困りました。こんなに待たせてしまって。怒っているでしょうね』
「ま、大丈夫でしょ。そう思うなら早く行きなさい!」
『あ…で、でもこの格好はやはり……』
ジンは女部屋から出るのを躊躇する。ナミとロビンはそんなジンを女部屋から押し出した。
「寒ぃ……。いつまでも待たせるんだ?アイツら……!!」
ズッと鼻をすすり、酒をぐいっと飲んだ。
冷たい風が吹く甲板に一人佇むゾロ。
今日はいつもの格好ではなく、羽織り袴を着ている。腰には3本の刀。右手には酒、左手には濃い青のとんぼ玉に飾りが少しついた簪を持っていた。
ガチャッと女部屋のドアが開く音が聞こえた。ゾロは甲板から女部屋の方を振り向く。
「おい、遅せェぞ!!いつまで待たせ…る…気………!!」
女部屋に向かって怒鳴ったゾロの声は徐々に消えて言った。その代わり目は大きく見開いた。
ジンは着崩さない様に、ゆっくりとしかし内心は焦りながら階段を降り、ゾロの下へ向かう。
『すいません、ゾロ。こんなにもお待たせしてしまって……』
「………」
ゾロはジンの女の姿に寒気やイライラを通り越え、固まった。
ジンはそんなゾロの側に寄り、ゾロの右手に触れる。
『冷たい……』
「!!」
ゾロはジンが、目の前にいるのを今、気付いた。
『ゾロ、本当に……ずっと外で待っていたんですね』
「あ、ま…ぁな」
『本当にすいません…!!』
「い、いや」
ジンはゾロの目を見て、謝る。ゾロは真っ赤になった顔を慌てて背けた。
「(これは予想以上だ……やべェ、かわいい…)」
ゾロは顔が真っ赤になるのを必死に抑える。ふと、左手にある物を思い出し、ジンを見た。
『すいません……サンジさんに温かいものでも頂きますか?』
「……。いらねェ」
ゾロはサンジの名が出て一瞬ムッとした顔をする。しかしすぐに気を取り直した。
『でも……』
「もういいって言ってんだろ。謝られて新年は迎えたくねェよ」
『あ……それもそうですね』
「これも渡せねェしな」
『??』
ゾロはジンに左手に持った簪を差し出す。
『これは……?』
「とんぼ玉の簪だ。たまたま見つけて……ジンに似合うと思ってな」
ゾロが照れ隠しに頬をポリポリとかく。ジンは目を見開いた。
『ゾロが……僕に?』
「ああ。気に入らねェか?」
『そんな!!嬉しい…とても嬉しいです……!!』
ジンは綺麗な笑顔で簪を見る。ゾロはそれを見てニッと口角をあげた。
『着けてもいいですか?』
「もちろんだ」
ジンは髪を崩さない様に丁寧に簪を差し込む。着物にもうまく調和し、綺麗だった。
「へェ、似合うじゃねェか」
『!!……ありがとうございます、ゾロ』
照れるジンをとても愛おしく思ったゾロ。おもむろにジンを抱き寄せた。
『!!ゾ、ゾロ!!?』
「あん?抱きしめたくなっただけだ。気にすんな」
『…はい』
ジンは微笑む。そしてしばらく互いの温もりを感じていた。
スッとゾロが抱きしめる手を緩めたのに気付き、ジンは顔をあげる。
「そろそろ行くか?せっかく着物着てるしな」
『そうですね。参りましょう、初詣に』
ジンとゾロは笑い合う。そしてゾロがジンの手を取り、二人で船を降りて行った。
「ねェ、ロビン。賭けましょうか?」
「何を?」
「“今日、二人が帰ってくるか”」
「ふふ……残念だけど賭けにはならないと思うわ」
「やっぱり?ゾロには後で報酬をもらわないとね」
二人を女部屋から見送ったナミとロビンはそんな話をしながら楽しそうに笑った。
fin
*********
一足早くお正月ネタ書かせて頂きました!
でも、“初詣”の単語がなければただの女装ネタ……ww
ゾロ×ジンの恋人設定です。ナミとロビンには友情出演してもらいました。
ゾロが簪を買い、ナミとロビンの協力で似合う様にジンに女物の着物を着せてもらったっと言う(分かりにくい……)お話。
ゾロネタ2つ目ですいません;;;お納め頂くと嬉しいです(^^)
来年度もよろしくお願いします!
神有 悠