宝の詩
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【繋輪】
空に飛び立つ虹色の球体。
風に煽られる事もなく空高く泳ぐシャボン玉。
始める夢から醒めるまで繋いだ手を皆で
「船長ー、そろそろ浮上しますよー」
操作室から顔を覗かせたキャスケットの言葉にローより早くフェクトが嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。
潜水して早1週間、フェクトが絶えられるギリギリの潜水期間だ。
火の光を浴びる事の無い海底では息が詰まると項垂れる彼をクルー達はよく知っている。
「やっと外やぁ。深海魚になってまうとこやった」
「アイアイ、その言葉聞き飽きたよ」
「フェクト、さっさとカードを選べ。遊んでやらねぇぞ」
キャスケットの言葉に一切相槌を打たずにローはゲームを止めたフェクトの足を蹴る。
小さく痛ぇ。と言いながらローのカードから一枚カードを啄ばむ。
「……義手を付けろよ……」
「せやから壊れてるんやって。バターナイフで取った方が良かったん?」
器用に手首で押し広げたカードをベポに向ければ呆れた顔でローが溜息を吐く。
「お前の涎だらけのカードを触る俺の身になれよ…」
圧迫感の中、体が水面から浮かび上がるような感覚に船員たちは襲われる。
ガタガタとテーブルに置いてあったコップが揺れ、足元に振動が伝わってきた。
「外やぁあ!!!!!」
ゲームも途中でフェクトは浮上完了のパトライトが点灯したのを見て一目散にハッチへと駆けだして行った。
自由奔放なフェクトの行動にベポはローを見やれば怒るでもなくテーブルにカードを投げ捨て同じようにハッチへと向かっていく。
投げ捨てられたカードを拾い上げながらベポは逸る気持ちを抑えて片付けに勤しんだ。
「外、外、そーーーーーとぉぉーーーーー」
ハッチの開口に励むペンギンの後ろで体を揺らしフェクトは今か今かと待ち詫びる。
空気の抜ける音と共に眩しい日差しが戦艦へと降り注ぎ真っ青な青空がそこに広がっていた。
「外ぉぉおおおぐぇっ!!!」
ペンギンを押し出す勢いで梯子に手を掛けるが首に巻いていたマフラーが反対方向に引っ張られる。
仰向けになった視界に入ったのは無表情に佇むローだった。
「じ…じぬ…!!」
「………」
地面に手が届かない亀の様に手をバタつかせるがローは容赦無しにマフラーを後ろへと引く。
ローの方がフェクトより梯子に近付いたところでやっと解放された。
酸欠で顔を真っ赤にしながらも外、光を求め梯子を登ると爽やかな風がフェクトを撫でる。
「んーーーーー。良い天気やぁ…ってかキャプテン!!!」
理不尽な彼の行動を気持ちの良い風に攫われるところだった。
小さく伸びをしているローの方へと近寄ると何だ。と首を傾げられる。
「自分、マジ酷いやろ!!危うく昇天するとこやったわ!!」
「そうしたら何時でも青い空が見れるな」
皮肉交じりにローが笑うと返す言葉が見つからないのか歯を食いしばる。
気候は初夏と言ったところか、日差しが若干暑いがそれを相殺するように流れる風は冷たい。
「もぉ、酷いよぉ。キャプテン、フェクト」
ハッチから出てきたのはベポで、よじ登る時に濡れた手をツナギで拭っていた。
光を求めるかのようにクルー達は次々に外へと出てくる。
その中にバケツを持ったキャスケットが見えフェクトが近寄ればニヤッと歯を見せて笑いかけてきた。
「キャス、ソレなんや?」
「前、お前が気に入ってたシャボン玉」
バケツに入った液体は太陽の光を受けマーブル状に虹色を輝かせていた。
歪んだ水面に映るフェクトの顔は好奇心と喜びに満ち溢れキャスケットの首に腕を回す。
「最っ高や!!キャス最高ぉ!!!」
「わ、分かった、分かったから離れろ!!零れるっ」
小さな小瓶にシャボン玉の液を分け入れ、ストローを差しフェクトに渡せば、子供のような笑顔を称え受け取る。
空へと吹くと小さなシャボン玉がフワフワと空を泳いだ。
「アイアイー」
ベポはシャボン玉をジッと見つめ、突如猫パンチをするが捕まるものかとシャボン玉は空高く逃げてゆく。
背伸びをするまでもなく新しくフェクトが吹いたシャボン玉がベポの横をすり抜ければ嬉しそうにシャボン玉を追いかけていった。
「キャプテンも遊ぼうやー」
「ガキか」
「ガキや。くらえ!」
ローの正面に屈み、顔面めがけシャボン玉を発射する。
シャボン玉の向こうでローの目が丸くなったのが見えた。
「テメッ!!!!」
伸びてきた腕から逃れるとフェクトは立ち上がりその場から逃げだした。
青筋を立てたローが追いかけようとするが
ズルッ!!!
フェクトが逃げる時にコボしたシャボン液に足を掬われる。
尻餅をつく手前で体制を立て直すが、ニヤニヤと笑うフェクトが傾いた視線の先に居た。
ご満悦そうに弧を描いた口からシャボン玉をポコポコ生み出している。
「……ぷっ」
「あ゛ぁ!?ペンギン、今テメェ笑ったな…」
「え…ぁ…いや…」
怒りの矛先を向けられたペンギンは小さく否定を述べてみるがローはそんなこと関係なしに近寄ってくる。
完全に八つ当たりのターゲットにされてしまったと心の中で慌てるがどんな言葉を並べようと彼の心には響かないだろう。
八つ当たりにされない限りは彼は満足しない。
「………」
ここは逃げるが勝ちと走り逃げれば後ろからヒールが鉄を蹴る音が聞こえる。
「フェクト、お前が悪い。キャプテンに謝れ!!」
「えー。わい、キャプテンの情けないずっこけに笑った覚えありませーん」
「…………」
「いやいやいや!!!お前笑ってただろ、目がニヤ付いてたぞ!!」
フェクトに矛先を替えさせようと彼の元へと走るが、ペンギンの考えを呼んだのかフェクトもまた走り出す。
ペンギンとさほど離れもしないが近付きもしない微妙な距離。
走るペースを調節してペンギンが疲れるのをフェクトが待っているような行動にペンギンは顔色が悪くなる。
(コイツ…遊んでる!!!!)
心の中で毒づけばシャボン玉を発射しながら器用に走り続けるフェクトが振り返えった。
思った通り、先程の様なニヤ付いた顔をしている。
「キャプテン!悪いのはフェクトですよ!!?」
「うっはー!ワイ悪ぅないし!!!」
「テメェ等同罪だ!こんなおもちゃ渡した…キャスケット!!テメェもだ!!!!」
「えぇええええ!!!!?」
我関せずと、巨大シャボン玉を作って遊んでいたキャスケットに火の粉がかかる。
隣でシャボン玉に猫パンチを仕掛けているベポは首を傾げただけで直ぐに遊びに戻った。
本能には勝てないのか、自分の目の前で起きている寸劇には興味と善意は湧かないらしい。
「確かに!ワイにシャボン玉渡したキャスケットが悪ぃわ!!」
ゲラゲラ笑うフェクトにキャスケットが喧しく文句を垂れる。
甲板をグルグルと逃げ惑えばフェクトがキャスケットのポケットに手首を突っ込み突如、ベポの方へと方向転換する。
「わっ!!ちょ、バカっ!!!」
「急にとま・る・な!!!!」
「!!!!!!?」
バランスを崩されたキャスケットがフェクトに倒れ込み、その後を追っていたペンギン、ローは止まることができずに突っ込んでくる。
4発の弾丸をもろに食らったシロクマはどうすることもできずに仰向けのまま甲板に倒れ込んだ。
足も手も四方八方に飛び出した人の小山から人早く抜け出したのは最上部に居たローだった。
「…クソッ…」
モゾモゾと尻を左右に振ってキャスケットとペンギンから抜け出そうとするフェクトのケツを引っ叩くとくぐもった悲鳴が聞こえた。
ペンギンとキャスケットが甲板に転がればやっと解放されたフェクトも同じように仰向けになる。
「ひっくっ」
小さくシャックリをすると小さなシャボン玉がフェクトの口から出てきた。
その光景に笑い声が漏れる。
「ちょっ。フェクトお前シャボン液飲んだのか?」
「アイアイ、大丈夫?」
「幼児用で飲んでも平気な奴買っといてよかったな」
「……バカか」
ローは鼻で笑いながらフェクトの頭を小突く。
小刻みに腹部が揺れ、笑いを堪えているようだった。
「なぁんか、気が抜けるわぁ」
「右に同じく」
「アイーーー」
「敵船がないからって気を抜きすぎだぞ。お前ら」
「ええやーん。ピリピリしとっても楽しゅぅないんやから」
何だかんだ言いながら誰一人として起きあがろうとしないのは暖かい太陽光と、涼しいそよ風が心を和ませるからかもしれない。
隣で寝ていたローの手に手首を乗せると小さく握り返される。
隣にいたキャスケットにも同じように手首を乗せるとニッと笑いかけられた。
首を動かしてみるとキャスケットとペンギン、ペンギンとベポ、ベポとローと互いの手を繋いでいた。
和やかな太陽の陽気と手首から伝わる二つの体温にフェクトはゆっくりと瞳を閉じた。
「幸せやぁ」
呟いた言葉に誰もが皆小さく頷き、次第に規則正しい寝息が甲板から聞こえ始まる。
起きるまで皆が手を繋いでいるか、フェクトの破滅的な寝像の悪さに均衡が破られるのか…。
安泰と静寂に包まれた彼等は知る由もない。
↓:送りつけた素敵サイト様:↓
月と奏でる物語
∟【管理人】神有 悠様
************
kReyさん!とっても素敵なお話、ありがとうございました!!
フェクトくんの関西系の喋りが親しみやすくて好きですww
いつも文章が素敵でほれぼれします(´Д`=)ホワホワシテマス…ww
本当にありがとうございました!これからもよろしくお願いしますね!!
空に飛び立つ虹色の球体。
風に煽られる事もなく空高く泳ぐシャボン玉。
始める夢から醒めるまで繋いだ手を皆で
「船長ー、そろそろ浮上しますよー」
操作室から顔を覗かせたキャスケットの言葉にローより早くフェクトが嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。
潜水して早1週間、フェクトが絶えられるギリギリの潜水期間だ。
火の光を浴びる事の無い海底では息が詰まると項垂れる彼をクルー達はよく知っている。
「やっと外やぁ。深海魚になってまうとこやった」
「アイアイ、その言葉聞き飽きたよ」
「フェクト、さっさとカードを選べ。遊んでやらねぇぞ」
キャスケットの言葉に一切相槌を打たずにローはゲームを止めたフェクトの足を蹴る。
小さく痛ぇ。と言いながらローのカードから一枚カードを啄ばむ。
「……義手を付けろよ……」
「せやから壊れてるんやって。バターナイフで取った方が良かったん?」
器用に手首で押し広げたカードをベポに向ければ呆れた顔でローが溜息を吐く。
「お前の涎だらけのカードを触る俺の身になれよ…」
圧迫感の中、体が水面から浮かび上がるような感覚に船員たちは襲われる。
ガタガタとテーブルに置いてあったコップが揺れ、足元に振動が伝わってきた。
「外やぁあ!!!!!」
ゲームも途中でフェクトは浮上完了のパトライトが点灯したのを見て一目散にハッチへと駆けだして行った。
自由奔放なフェクトの行動にベポはローを見やれば怒るでもなくテーブルにカードを投げ捨て同じようにハッチへと向かっていく。
投げ捨てられたカードを拾い上げながらベポは逸る気持ちを抑えて片付けに勤しんだ。
「外、外、そーーーーーとぉぉーーーーー」
ハッチの開口に励むペンギンの後ろで体を揺らしフェクトは今か今かと待ち詫びる。
空気の抜ける音と共に眩しい日差しが戦艦へと降り注ぎ真っ青な青空がそこに広がっていた。
「外ぉぉおおおぐぇっ!!!」
ペンギンを押し出す勢いで梯子に手を掛けるが首に巻いていたマフラーが反対方向に引っ張られる。
仰向けになった視界に入ったのは無表情に佇むローだった。
「じ…じぬ…!!」
「………」
地面に手が届かない亀の様に手をバタつかせるがローは容赦無しにマフラーを後ろへと引く。
ローの方がフェクトより梯子に近付いたところでやっと解放された。
酸欠で顔を真っ赤にしながらも外、光を求め梯子を登ると爽やかな風がフェクトを撫でる。
「んーーーーー。良い天気やぁ…ってかキャプテン!!!」
理不尽な彼の行動を気持ちの良い風に攫われるところだった。
小さく伸びをしているローの方へと近寄ると何だ。と首を傾げられる。
「自分、マジ酷いやろ!!危うく昇天するとこやったわ!!」
「そうしたら何時でも青い空が見れるな」
皮肉交じりにローが笑うと返す言葉が見つからないのか歯を食いしばる。
気候は初夏と言ったところか、日差しが若干暑いがそれを相殺するように流れる風は冷たい。
「もぉ、酷いよぉ。キャプテン、フェクト」
ハッチから出てきたのはベポで、よじ登る時に濡れた手をツナギで拭っていた。
光を求めるかのようにクルー達は次々に外へと出てくる。
その中にバケツを持ったキャスケットが見えフェクトが近寄ればニヤッと歯を見せて笑いかけてきた。
「キャス、ソレなんや?」
「前、お前が気に入ってたシャボン玉」
バケツに入った液体は太陽の光を受けマーブル状に虹色を輝かせていた。
歪んだ水面に映るフェクトの顔は好奇心と喜びに満ち溢れキャスケットの首に腕を回す。
「最っ高や!!キャス最高ぉ!!!」
「わ、分かった、分かったから離れろ!!零れるっ」
小さな小瓶にシャボン玉の液を分け入れ、ストローを差しフェクトに渡せば、子供のような笑顔を称え受け取る。
空へと吹くと小さなシャボン玉がフワフワと空を泳いだ。
「アイアイー」
ベポはシャボン玉をジッと見つめ、突如猫パンチをするが捕まるものかとシャボン玉は空高く逃げてゆく。
背伸びをするまでもなく新しくフェクトが吹いたシャボン玉がベポの横をすり抜ければ嬉しそうにシャボン玉を追いかけていった。
「キャプテンも遊ぼうやー」
「ガキか」
「ガキや。くらえ!」
ローの正面に屈み、顔面めがけシャボン玉を発射する。
シャボン玉の向こうでローの目が丸くなったのが見えた。
「テメッ!!!!」
伸びてきた腕から逃れるとフェクトは立ち上がりその場から逃げだした。
青筋を立てたローが追いかけようとするが
ズルッ!!!
フェクトが逃げる時にコボしたシャボン液に足を掬われる。
尻餅をつく手前で体制を立て直すが、ニヤニヤと笑うフェクトが傾いた視線の先に居た。
ご満悦そうに弧を描いた口からシャボン玉をポコポコ生み出している。
「……ぷっ」
「あ゛ぁ!?ペンギン、今テメェ笑ったな…」
「え…ぁ…いや…」
怒りの矛先を向けられたペンギンは小さく否定を述べてみるがローはそんなこと関係なしに近寄ってくる。
完全に八つ当たりのターゲットにされてしまったと心の中で慌てるがどんな言葉を並べようと彼の心には響かないだろう。
八つ当たりにされない限りは彼は満足しない。
「………」
ここは逃げるが勝ちと走り逃げれば後ろからヒールが鉄を蹴る音が聞こえる。
「フェクト、お前が悪い。キャプテンに謝れ!!」
「えー。わい、キャプテンの情けないずっこけに笑った覚えありませーん」
「…………」
「いやいやいや!!!お前笑ってただろ、目がニヤ付いてたぞ!!」
フェクトに矛先を替えさせようと彼の元へと走るが、ペンギンの考えを呼んだのかフェクトもまた走り出す。
ペンギンとさほど離れもしないが近付きもしない微妙な距離。
走るペースを調節してペンギンが疲れるのをフェクトが待っているような行動にペンギンは顔色が悪くなる。
(コイツ…遊んでる!!!!)
心の中で毒づけばシャボン玉を発射しながら器用に走り続けるフェクトが振り返えった。
思った通り、先程の様なニヤ付いた顔をしている。
「キャプテン!悪いのはフェクトですよ!!?」
「うっはー!ワイ悪ぅないし!!!」
「テメェ等同罪だ!こんなおもちゃ渡した…キャスケット!!テメェもだ!!!!」
「えぇええええ!!!!?」
我関せずと、巨大シャボン玉を作って遊んでいたキャスケットに火の粉がかかる。
隣でシャボン玉に猫パンチを仕掛けているベポは首を傾げただけで直ぐに遊びに戻った。
本能には勝てないのか、自分の目の前で起きている寸劇には興味と善意は湧かないらしい。
「確かに!ワイにシャボン玉渡したキャスケットが悪ぃわ!!」
ゲラゲラ笑うフェクトにキャスケットが喧しく文句を垂れる。
甲板をグルグルと逃げ惑えばフェクトがキャスケットのポケットに手首を突っ込み突如、ベポの方へと方向転換する。
「わっ!!ちょ、バカっ!!!」
「急にとま・る・な!!!!」
「!!!!!!?」
バランスを崩されたキャスケットがフェクトに倒れ込み、その後を追っていたペンギン、ローは止まることができずに突っ込んでくる。
4発の弾丸をもろに食らったシロクマはどうすることもできずに仰向けのまま甲板に倒れ込んだ。
足も手も四方八方に飛び出した人の小山から人早く抜け出したのは最上部に居たローだった。
「…クソッ…」
モゾモゾと尻を左右に振ってキャスケットとペンギンから抜け出そうとするフェクトのケツを引っ叩くとくぐもった悲鳴が聞こえた。
ペンギンとキャスケットが甲板に転がればやっと解放されたフェクトも同じように仰向けになる。
「ひっくっ」
小さくシャックリをすると小さなシャボン玉がフェクトの口から出てきた。
その光景に笑い声が漏れる。
「ちょっ。フェクトお前シャボン液飲んだのか?」
「アイアイ、大丈夫?」
「幼児用で飲んでも平気な奴買っといてよかったな」
「……バカか」
ローは鼻で笑いながらフェクトの頭を小突く。
小刻みに腹部が揺れ、笑いを堪えているようだった。
「なぁんか、気が抜けるわぁ」
「右に同じく」
「アイーーー」
「敵船がないからって気を抜きすぎだぞ。お前ら」
「ええやーん。ピリピリしとっても楽しゅぅないんやから」
何だかんだ言いながら誰一人として起きあがろうとしないのは暖かい太陽光と、涼しいそよ風が心を和ませるからかもしれない。
隣で寝ていたローの手に手首を乗せると小さく握り返される。
隣にいたキャスケットにも同じように手首を乗せるとニッと笑いかけられた。
首を動かしてみるとキャスケットとペンギン、ペンギンとベポ、ベポとローと互いの手を繋いでいた。
和やかな太陽の陽気と手首から伝わる二つの体温にフェクトはゆっくりと瞳を閉じた。
「幸せやぁ」
呟いた言葉に誰もが皆小さく頷き、次第に規則正しい寝息が甲板から聞こえ始まる。
起きるまで皆が手を繋いでいるか、フェクトの破滅的な寝像の悪さに均衡が破られるのか…。
安泰と静寂に包まれた彼等は知る由もない。
↓:送りつけた素敵サイト様:↓
月と奏でる物語
∟【管理人】神有 悠様
************
kReyさん!とっても素敵なお話、ありがとうございました!!
フェクトくんの関西系の喋りが親しみやすくて好きですww
いつも文章が素敵でほれぼれします(´Д`=)ホワホワシテマス…ww
本当にありがとうございました!これからもよろしくお願いしますね!!