晴れも雨も変わらない、天気なんてただの飾りだ
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ポツ…ポツ…ザァー
雨が甲板の上で弾む。さっきまでの晴れた天気が嘘の様に一気に景色が雨一色になった。
『降って来ましたね』
「そーだな」
ガツガツガツ…!!
『……』
ジンは窓から視線を戻し、目の前でピザを食べるボニーを見る。
『先程、お昼を終えたばかりのはずですが…』
「これはおやつだ!」
『……そうですか』
ジンは肩をすくめ、ピザと共に運ばれて来たコーヒーに口をつけた。そこにクルーが船長室をノックする。
「船長! 進路どうしますか?」
「んなもん航海士に聞け! それよりピザたんねェぞ!!」
「は、はい!! おい、コック!!」
クルーは慌ててキッチンに走って行った。
『……。よいのですか? 船長である貴女が陣頭指揮を取らなくても』
「いいんだよ。うちの航海士はスゲェんだ!! アタシが口なんか出す必要なんてねェよ」
『信頼されているのですね』
「あったり前だ!」
そう言うとボニーは口いっぱいにピザを口一杯に頬張る。それを6割くらい飲み込んだあたりでボニーは思い出したかのように言った。
「にしてもよォ~」
『?』
「“渡り鳥”って弱そうな名前だよなァ」
『そうですね。“大喰らい”には負けます』
「だよな! お前の懸賞金なんてあっという間に抜いてやるよ!!」
口元にケチャップをつけたままニコニコと笑うボニー。ジンはナプキンの素材で紙を精製し、ボニーの口元を優しくふいた。
「おっ、さんきゅーな!」
『いえいえ。それにしても貴女は本当にお元気ですね』
「せっかく海に出てるんだ、楽しまねェと損だろ??」
『なるほど。とても貴女らしい前向きな理由です』
「相変わらず固ェ野郎だ。にしてもてめェ、今日元気ねェよな」
『えっ…!?』
ジンは驚いた声を上げる。
「ちっとも楽しそうじゃねェ」
『……』
ジンは窓の外を見る。外は嵐のように荒れていた。
『……雨だからしょうか』
「あん?」
『自分が“紙”というのもありますが、雨には昔からいい思い出がありません』
「……」
ジンは窓の外を見ながら、シルクハットをなおす。ボニーは最後のピザを口に放り込んだ。
「バカ助だなお前」
『バカ助…ですか?』
ジンは首を傾げる。ボニーはドリンクをグイッと飲んだ後、ジンを諭すように言った。
「今降ってる雨は、てめェが言う嫌な思い出のある雨とは“違う”じゃねェか」
『!』
「それに雨はほっときゃやむんだぜ。いちいち気分悪くなってたら海賊なんてしてらんねェよ」
ジンは目を見開く。ボニーに諭されるとは思ってもみなかったからだ。ボニーは空っぽになった平皿を見ながら腕を組む。
「あ、後あれだな。雨が降ると美味いモンが育つってコックが言ってたぜ」
『……フフ』
ジンはボニーの思考のゴールが食べ物であることを貴女らしいと笑った。
【晴れも雨も変わらない、天気なんてただの飾りだ】
「おっ! やっとちゃんと笑ったか」
『ええ。ジュエリー・ボニー。貴女のおかげでこれから雨が降っても大丈夫そうです』
「へん! 今度またビービー泣いてたら引っ叩いてやるよ」
『……泣いてはいませんよ』
fin
あとがき⇒
雨が甲板の上で弾む。さっきまでの晴れた天気が嘘の様に一気に景色が雨一色になった。
『降って来ましたね』
「そーだな」
ガツガツガツ…!!
『……』
ジンは窓から視線を戻し、目の前でピザを食べるボニーを見る。
『先程、お昼を終えたばかりのはずですが…』
「これはおやつだ!」
『……そうですか』
ジンは肩をすくめ、ピザと共に運ばれて来たコーヒーに口をつけた。そこにクルーが船長室をノックする。
「船長! 進路どうしますか?」
「んなもん航海士に聞け! それよりピザたんねェぞ!!」
「は、はい!! おい、コック!!」
クルーは慌ててキッチンに走って行った。
『……。よいのですか? 船長である貴女が陣頭指揮を取らなくても』
「いいんだよ。うちの航海士はスゲェんだ!! アタシが口なんか出す必要なんてねェよ」
『信頼されているのですね』
「あったり前だ!」
そう言うとボニーは口いっぱいにピザを口一杯に頬張る。それを6割くらい飲み込んだあたりでボニーは思い出したかのように言った。
「にしてもよォ~」
『?』
「“渡り鳥”って弱そうな名前だよなァ」
『そうですね。“大喰らい”には負けます』
「だよな! お前の懸賞金なんてあっという間に抜いてやるよ!!」
口元にケチャップをつけたままニコニコと笑うボニー。ジンはナプキンの素材で紙を精製し、ボニーの口元を優しくふいた。
「おっ、さんきゅーな!」
『いえいえ。それにしても貴女は本当にお元気ですね』
「せっかく海に出てるんだ、楽しまねェと損だろ??」
『なるほど。とても貴女らしい前向きな理由です』
「相変わらず固ェ野郎だ。にしてもてめェ、今日元気ねェよな」
『えっ…!?』
ジンは驚いた声を上げる。
「ちっとも楽しそうじゃねェ」
『……』
ジンは窓の外を見る。外は嵐のように荒れていた。
『……雨だからしょうか』
「あん?」
『自分が“紙”というのもありますが、雨には昔からいい思い出がありません』
「……」
ジンは窓の外を見ながら、シルクハットをなおす。ボニーは最後のピザを口に放り込んだ。
「バカ助だなお前」
『バカ助…ですか?』
ジンは首を傾げる。ボニーはドリンクをグイッと飲んだ後、ジンを諭すように言った。
「今降ってる雨は、てめェが言う嫌な思い出のある雨とは“違う”じゃねェか」
『!』
「それに雨はほっときゃやむんだぜ。いちいち気分悪くなってたら海賊なんてしてらんねェよ」
ジンは目を見開く。ボニーに諭されるとは思ってもみなかったからだ。ボニーは空っぽになった平皿を見ながら腕を組む。
「あ、後あれだな。雨が降ると美味いモンが育つってコックが言ってたぜ」
『……フフ』
ジンはボニーの思考のゴールが食べ物であることを貴女らしいと笑った。
【晴れも雨も変わらない、天気なんてただの飾りだ】
「おっ! やっとちゃんと笑ったか」
『ええ。ジュエリー・ボニー。貴女のおかげでこれから雨が降っても大丈夫そうです』
「へん! 今度またビービー泣いてたら引っ叩いてやるよ」
『……泣いてはいませんよ』
fin
あとがき⇒