宝の詩
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――テメェはただ俺だけ楽しませてりゃいいんだよ。
そんなことを不遜に言い放つこの男を更正させる、力なんて俺にはない。
『枯れ逝く大地に落つ雨』
王下七武海が一人、サー・クロコダイル。
彼は今ある計画を実現させるべく『B.W』という秘密結社を立ち上げて人手を集め出している。
何を始めようというのか。
――ただ一つ、わかるのはそれが決して好ましいものでない、ということだけだ。
―――
その国を訪れたのは偶然。
その偶然が最悪だった。
船を下り向かうあてもなく砂漠の荒野を行く。この国での重要な足である駱駝に乗りローブを身に纏った姿でオアシスを目指した。
昼は体力を温存しながら、夜にペースを早めて。そうすれば数日で着く。
異変が起きたのは二日目の夜だ。
(――何だ…?)
駱駝もその微かな異変を感じて、怯えたように歩みを止めた。
「お前は直ぐに街に戻れ。ここまでありがとうな。」
砂地へ降りて、駱駝を撫でてやる。
言葉を理解したように澄んだ瞳が見つめてくるのを、笑みで返して促す。
「…いい子だ。」
走り去る姿を見送ると、向かっていた方向をじっと見据える。
違和感の正体はすぐに理解した。
(砂嵐…こんな夜にか?)
しかも、常人なら気付かないだろうが、これはただの砂嵐などではない。
双眸を細め、発生したそれを睨みつけた。
ざぁっ…と砂が人型を形成していく。
――現れたのは闇色の男。
「――ほぅ…
只モンじゃねェようだな。気付いてたか。」
「…成る程。悪魔の実の能力か。」
「ご明答。」
クッ、と喉を震わせて葉巻をくわえる男。顔に大きな傷をもち左手には義手代わりのいやにでかいフック。
明らかにいい人間ではなさそうなその男に対して警戒は解かないまま、それでも逃げの体勢を取ることはない。
月明かりが煌々と照らすのは砂漠と二人のみだ。
「大した度胸だ、俺が恐ろしいとは思わねェのか。」
「恐ろしいというよりは…奇妙な奴だと思うがな。」
「クク…その上クソ生意気ときた。嫌いじゃねェぜ?」
そう言って、体の一部がサラサラと砂へと変化していく。
脳で理解する前に、咄嗟に傘で右方からの攻撃を防いだが、息つく間も与えず四方から砂の針が襲い掛かった。
「クッ…ハ、ハハハ…!大した奴だ!少しくらい顔を見せたらどうだ?大人しくしていれば怪我はねェぜ…!」
「っ…は、冗談!何で砂漠の真ん中で、追いはぎに遭わなきゃならねぇんだ…」
足場も悪く体力も慣れない気候で削られている。
…防戦一方、だ。
その余裕のなさが命取りとなり、意識が疎かになっていた足元の砂が絡み付いて、バランスが崩れた。
傘が手から離れたのを視界の端に捉え舌打ちが漏れる。
「……ッ、く…!」
その一瞬の隙をつかれて、一気に距離を詰めてきた男に砂上へと押し倒された。
右手で首を掴み、フックがフードをゆっくりと払った。
「中々綺麗な顔をしてるじゃねェか…お前、俺の所に来い。いずれ…この国だけじゃなく、世界すら俺のものになる。
派手なショーを見せてやるぜェ…?」
煙を吹き掛けられて眉を顰めると、嘲笑を浮かべてやった。
「そんな下品なショーに興味はない。…が、俺に拒否権はないんだろ?逃がす気もない癖に。」
「よォくわかってんじゃねェか…賢い奴は好きだぜ?」
首を締め上げていた手が肩を押さえつけて。逃げることすら許さず、まるで契約の刻印を刻むように首筋に鋭い痛みが走った。
「俺から逃げてェなら俺を殺して逃げるんだな。」
月を背に言い放つこの男は死など見えていない。
本当の『死』の恐怖を知らない。
自分が最強だとでもいうのか。誰も自分を越えることが出来ないという自信があるからか。
自分の血のついた唇を舐める、男を哀れむように見上げながら。
「俺には…あんたの破滅しか見えないよ。」
「生意気も度が過ぎると俺の機嫌を損ねるぜ?
俺はサー・クロコダイル。…その名前を頭に刻み付けておけ。」
どこまでも盲目なこの男を諭した所でどうにもならない。
更正させるだけの力がない。
願わくば…この男の野望が叶わぬよう――
-fin-
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キョウくんがめちゃかっこいい(´▽`)!!
こういうシリアスもの物凄い好きですwwほんとありがとうございました!!
クロコダイルってなんか正当な、真っ当な悪党って感じで好きですww
そんな訳でリクエストしちゃったんですが…ww
キオナさんとこのキョウくんとキオナさんの文章で癒されて触発されて!!
執筆したくなりますね~ほんといいな、このシリアス感…!!