拍手アンケート第二弾
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【マイ・ヒーロー】
「急がなくっちゃ!!」
ナナシは走っていた。約束の時間はとうに過ぎいる、あの人が広場で待ってるはずだ。
あの人と出会ったのは3日前。広場でマジックショーが行われていたのを見に行ったのがきっかけだった。
「すごい!!こんなマジックショー見たことない……!!」
私はマジックショーに釘付けだった。何より仮面の人に。顔は見えないのに…惹かれていた。
でも、私はショーが終わり、子供達や女性に囲まれる仮面の人を遠くから見ているしか出来なかった。
「えっ…!?」
仮面の人が私を見た気がした。気のせいだろうか……
何より、“少し待って”と言っている様に見えたのだ。
広場は徐々にいつもの平穏に戻り、人はまばらになった。
「勘違いよね……やっぱり。帰ろう」
私は広場に背を向け歩き出そうとしていた。
『お待たせ致しました』
「!!?」
ナナシが声に振り返ると仮面を外した、あの人が居た。
右側を覆う眼帯が一瞬違和感を感じさせるが、柔らかい表情に目を奪われた。
「なんで……??いつの間に…!?」
『マジシャンですから』
ナナシの驚いた顔にジンは微笑む。
『さっきのメッセージが届いていて良かったです。僕はジンと言います。貴女は?』
「えっ……と私はナナシです」
『ナナシさん。素敵なお名前ですね』
「……そうです…か?」
『ええ』
「あの……なんで私に…??」
『……。ああ、それは貴女が凄く輝いた瞳で僕のマジックを見て下さったからです』
「嘘……見てたの!!?」
ナナシは顔が赤くなった。恥ずかしい所を見られた気がしたからだ。
『はい。とても嬉しかったのでお声をかけさせて頂きました』
「……はぁ」
『よろしければ、お食事でもご一緒にと思いまして』
「……ほ、本当に!!?」
ナナシはびっくりした。そっと手が差しのべられる。
『では、決まりですね。参りましょうか』
ジンは優しい笑顔でナナシの手を引いた。
そしてその日は食事を楽しみ、3日後の今日、デートの約束をしたのだった。
「待ちくたびれてるかな……」
ナナシは足を早める。
「そうだ、この路地…近道のハズね」
ナナシは広場の近道となる路地に入り込んだ。
ここは裏路地。表の様な賑やかさは伺えない。治安がいいとは言えず、普段ならば絶対通らない道だ。
ナナシは少し走ってから、ふと止まった。
「やばい……」
囲まれてる…。ナナシは辺りを見渡した。
「ねェちゃん何急いでんだい?」
「こんな路地に来て、簡単に出れると思ってんのかい?」
5人程の男に囲まれた。ナナシは息を整えながら状況の悪さに奥歯を噛み締める。
「どうしよう……」
ジリジリと詰め寄られる。ナナシは振り切ろうと思い切ってダッと駆け出す。
「おっと、逃げるなよ」
しかし、男の一人にガシッと腕を掴まれた。
「は、離して!!触らないで!!」
ナナシは抵抗する。
「静かにしねェか!!」
バチンッ!!
「痛っ!!」
ナナシは殴られた頬に手をあてる。
「嫌っ……!!助けて!!助けて!!ジン!!!!」
『はい、ナナシ。今、お助け致します!』
「「「!!?」」」
「痛ェ……!!」
『彼女をお離しください』
「嘘……!?」
ジンはナナシと男の間に割って入り、ナナシの手を握っていた男の手を締め上げていた。
男達に向けるジンの視線や声はひどく冷たい。
「何者だ、てめェは!!!」
「痛ェ、離せよ!!」
『ナナシさん、少し目を瞑っていて頂けますか……?』
「??」
『すぐ、終わりますから』
途端にあの優しい顔でジンはナナシに笑いかける。
ナナシは頷き、目を閉じた。
「てめェ、離せって……!?」
ガシャン!!っとジンに締め上げられていた男は吹っ飛ばされ、失神した。
ジンは両手を前に出し、紙のステッキを精製する。
『さて、皆さん。お覚悟を……!!』
ジンは笑った。
数分後……
『もう目を開けていいですよ、ナナシさん』
「………」
ナナシは目を開ける。男達は逃げたのか、もう居なかった。
「……あ、ありがとう」
ジンは手を差しのべる。ナナシが手を取るとすっと引き、立たせる。
そしてそのまま抱き締めた。
『良かった……心配しました』
ギュッと抱き締められたナナシは顔を赤くしていたが、本当に心配していた様でジンの手が強張っていた。
ナナシは安心して涙が出る。ナナシはジンにギュッと抱きついた。
「……ジン!!怖かった……怖かったよ」
『……はい。怖かったですよね…しかしもう、大丈夫です』
ジンはナナシの頭を撫でる。
ナナシはジンの胸で涙を流した。
少し経ってナナシは大分落ち着いた。
ジンは抱き締めるのを緩めて、ナナシの顔を見た。
『……こんな時にこんなことを言うのはとても気が引けるのですが…』
「……?」
ジンの言葉にナナシは涙で赤くなった目を青い目に向ける。
『今日僕はここから発たなければいけません』
「……えっ!?」
ナナシは落胆の表情になった。ジンは申し訳なさそうに続ける。
『出発日は前々から決まって居ました…』
「そんな…!?」
せっかく出逢えたのに……もうお別れなの……??
ナナシはまた涙を流す。ジンは慌てた。
『ナナシさん…泣かないでください。まだ続きがあるのです』
「………?」
ジンはそう言うと少し困った様に笑う。
『ただ……これを言うと貴女を困らせてしまうかもしれません』
「……言って」
『ナナシさん…?』
「言って。私、聞きたい」
ジンはナナシの言葉に驚き目を見開く。それから笑った。
『では、言いましょう。
僕と共に…来ていただけませんか…?』
「!!」
ジンは続ける。
『海は決して安全な場所ではありません。……しかし僕は貴女の側に居たいのです』
「………」
『一目見た時から好きでした。お話をしてさらに好きになりました。……愛しています』
ジンの真剣な瞳がナナシを捕らえて離れない。
『一緒に来ていただけませんか…?』
ナナシはジンの言葉に笑顔で頷いた。
fin
「急がなくっちゃ!!」
ナナシは走っていた。約束の時間はとうに過ぎいる、あの人が広場で待ってるはずだ。
あの人と出会ったのは3日前。広場でマジックショーが行われていたのを見に行ったのがきっかけだった。
「すごい!!こんなマジックショー見たことない……!!」
私はマジックショーに釘付けだった。何より仮面の人に。顔は見えないのに…惹かれていた。
でも、私はショーが終わり、子供達や女性に囲まれる仮面の人を遠くから見ているしか出来なかった。
「えっ…!?」
仮面の人が私を見た気がした。気のせいだろうか……
何より、“少し待って”と言っている様に見えたのだ。
広場は徐々にいつもの平穏に戻り、人はまばらになった。
「勘違いよね……やっぱり。帰ろう」
私は広場に背を向け歩き出そうとしていた。
『お待たせ致しました』
「!!?」
ナナシが声に振り返ると仮面を外した、あの人が居た。
右側を覆う眼帯が一瞬違和感を感じさせるが、柔らかい表情に目を奪われた。
「なんで……??いつの間に…!?」
『マジシャンですから』
ナナシの驚いた顔にジンは微笑む。
『さっきのメッセージが届いていて良かったです。僕はジンと言います。貴女は?』
「えっ……と私はナナシです」
『ナナシさん。素敵なお名前ですね』
「……そうです…か?」
『ええ』
「あの……なんで私に…??」
『……。ああ、それは貴女が凄く輝いた瞳で僕のマジックを見て下さったからです』
「嘘……見てたの!!?」
ナナシは顔が赤くなった。恥ずかしい所を見られた気がしたからだ。
『はい。とても嬉しかったのでお声をかけさせて頂きました』
「……はぁ」
『よろしければ、お食事でもご一緒にと思いまして』
「……ほ、本当に!!?」
ナナシはびっくりした。そっと手が差しのべられる。
『では、決まりですね。参りましょうか』
ジンは優しい笑顔でナナシの手を引いた。
そしてその日は食事を楽しみ、3日後の今日、デートの約束をしたのだった。
「待ちくたびれてるかな……」
ナナシは足を早める。
「そうだ、この路地…近道のハズね」
ナナシは広場の近道となる路地に入り込んだ。
ここは裏路地。表の様な賑やかさは伺えない。治安がいいとは言えず、普段ならば絶対通らない道だ。
ナナシは少し走ってから、ふと止まった。
「やばい……」
囲まれてる…。ナナシは辺りを見渡した。
「ねェちゃん何急いでんだい?」
「こんな路地に来て、簡単に出れると思ってんのかい?」
5人程の男に囲まれた。ナナシは息を整えながら状況の悪さに奥歯を噛み締める。
「どうしよう……」
ジリジリと詰め寄られる。ナナシは振り切ろうと思い切ってダッと駆け出す。
「おっと、逃げるなよ」
しかし、男の一人にガシッと腕を掴まれた。
「は、離して!!触らないで!!」
ナナシは抵抗する。
「静かにしねェか!!」
バチンッ!!
「痛っ!!」
ナナシは殴られた頬に手をあてる。
「嫌っ……!!助けて!!助けて!!ジン!!!!」
『はい、ナナシ。今、お助け致します!』
「「「!!?」」」
「痛ェ……!!」
『彼女をお離しください』
「嘘……!?」
ジンはナナシと男の間に割って入り、ナナシの手を握っていた男の手を締め上げていた。
男達に向けるジンの視線や声はひどく冷たい。
「何者だ、てめェは!!!」
「痛ェ、離せよ!!」
『ナナシさん、少し目を瞑っていて頂けますか……?』
「??」
『すぐ、終わりますから』
途端にあの優しい顔でジンはナナシに笑いかける。
ナナシは頷き、目を閉じた。
「てめェ、離せって……!?」
ガシャン!!っとジンに締め上げられていた男は吹っ飛ばされ、失神した。
ジンは両手を前に出し、紙のステッキを精製する。
『さて、皆さん。お覚悟を……!!』
ジンは笑った。
数分後……
『もう目を開けていいですよ、ナナシさん』
「………」
ナナシは目を開ける。男達は逃げたのか、もう居なかった。
「……あ、ありがとう」
ジンは手を差しのべる。ナナシが手を取るとすっと引き、立たせる。
そしてそのまま抱き締めた。
『良かった……心配しました』
ギュッと抱き締められたナナシは顔を赤くしていたが、本当に心配していた様でジンの手が強張っていた。
ナナシは安心して涙が出る。ナナシはジンにギュッと抱きついた。
「……ジン!!怖かった……怖かったよ」
『……はい。怖かったですよね…しかしもう、大丈夫です』
ジンはナナシの頭を撫でる。
ナナシはジンの胸で涙を流した。
少し経ってナナシは大分落ち着いた。
ジンは抱き締めるのを緩めて、ナナシの顔を見た。
『……こんな時にこんなことを言うのはとても気が引けるのですが…』
「……?」
ジンの言葉にナナシは涙で赤くなった目を青い目に向ける。
『今日僕はここから発たなければいけません』
「……えっ!?」
ナナシは落胆の表情になった。ジンは申し訳なさそうに続ける。
『出発日は前々から決まって居ました…』
「そんな…!?」
せっかく出逢えたのに……もうお別れなの……??
ナナシはまた涙を流す。ジンは慌てた。
『ナナシさん…泣かないでください。まだ続きがあるのです』
「………?」
ジンはそう言うと少し困った様に笑う。
『ただ……これを言うと貴女を困らせてしまうかもしれません』
「……言って」
『ナナシさん…?』
「言って。私、聞きたい」
ジンはナナシの言葉に驚き目を見開く。それから笑った。
『では、言いましょう。
僕と共に…来ていただけませんか…?』
「!!」
ジンは続ける。
『海は決して安全な場所ではありません。……しかし僕は貴女の側に居たいのです』
「………」
『一目見た時から好きでした。お話をしてさらに好きになりました。……愛しています』
ジンの真剣な瞳がナナシを捕らえて離れない。
『一緒に来ていただけませんか…?』
ナナシはジンの言葉に笑顔で頷いた。
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