拍手アンケート第一弾
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【赤髪と渡り鳥】
ある街の広場。 そこには多くの人だかりが出来ていた。
その輪の中心には少し派手な仮面を着けた青年、ジンが紙を駆使しながらマジックを披露していた。
広場は拍手に包まれる。
『本日は僕のマジックショーにお越し頂きありがとうございました!』
ジンは帽子をとり、観客にお礼を言う。
「ほぉ~~~上手いもんだ。楽しかった!!」
「結局ずっと居たな」
人だかりの最後尾に居たのは、炎のように赤い髪を持つ“赤髪”のシャンクス。
近くには副船長のベンがしばしシャンクスに呆れながら答える。
「いやぁ、マジックってのはおもしろいな―。なぁ、ベン。マジシャンが仲間ってのも楽しそうだな」
「………シャンクス。奴はたぶん、海賊だぞ」
「えっ!?あんな奴いたか?」
ベンの言葉にシャンクスは目を丸くする。
「この前、手配書にいただろう。4億8千万ベリーの“渡り鳥”。
格好が似てるし、あのシルバーピンクの髪は滅多にないから、たぶん間違いないだろう」
「へぇ“渡り鳥”かぁ~~。ふーん」
「……あいつは一匹狼だと聞いてる。仲間にはならんと思うぞ」
「え―――っ!!?」
ベンの言葉に落胆するシャンクス。しかし諦めがつかずジンに目を向ける。
ベンは、はぁっとため息をつき、勝手にしろっとみんながいる飲み屋に行ってしまった。
観客が散り、ジンはマジックの道具や仮面をカバンにしまう。そして裏路地へ歩いて行った。
『今回はなかなか稼げましたね。これで宿代は確保出来ました』
ジンは上機嫌に歩く。すると裏路地の十字路で殺気を纏う気配を感じる。
『ざっと20人くらいでしょうか…』
ジンはカバンを地面に置く。
『隠れて居ないで出てきたらどうです?』
「ほう、バレてたか。さすがというべきか」
リーダー格と思われる男をはじめわらわらと賞金稼ぎ達が現れる。ジンは囲まれた。
「てめえ、4億8千万ベリーの“渡り鳥”だな」
『………だったら何でしょうか?』
ジンは気分を害したようにため息をつく。
「おれ達は賞金稼ぎだ!!殺されたくなきゃ大人しくお縄につきな」
「おれ達に会った不幸を呪うんだな」
(面倒ですね。逃げるべきでしょうか…)
ジンは考えたが地面に置いたカバンの存在を思い出す。
カバンを持って消えることは出来ない。
「へへ。さすがの“渡り鳥”もこの人数じゃ恐くて動けねェか?」
『…御託は結構です。始めるなら始めましょう』
シルクハットをなおしながら平然と言うジン。それにムカッとした賞金稼ぎ達。
リーダー格の男が剣を振り上げた。
「やっちまぇ!!!」
男達がジンに襲いかかる。
『オリジンペーパー(原点の紙) フォーム:フィクルチェイン(気ままな鎖)』
ジンは両手を前に出し、手から紙を出す。紙はみるみる双剣を形どり、その双剣は鎖で繋がれている。
ジンは襲ってきた賞金稼ぎを一人ずつ薙ぎ払う。
10人程薙ぎ払ったところでジンはふぅと息をつく。
(ラチがあきませんね…)
ジンが次の行動を考えていたその時、後ろで賞金稼ぎが、低い悲鳴をあげ倒れる。
ジンは後ろに目を向けた。
『………?』
「多勢に無勢だな。手を貸すよ」
シャンクスが賞金稼ぎを軽くノシながらジンに歩み寄る。
ジンは目の前の人物に目を見張った。
『まさか“赤髪”のシャンクス…!!?』
ジンの言葉にジンを囲んでいる賞金稼ぎは驚き口々に喋る。
「赤髪!!?」
「あの四皇の……!!?」
「なんでこんな所に…!?」
「まだやるか?」
ギラッと睨みを効かせたシャンクス。
すると残った泡を吹きながら賞金稼ぎがバタバタと気絶し、倒れた。
ジンはビリビリと何かを感じたが意識は保っていた。
「少し威嚇しただけなんだが…」
シャンクスはやってしまったなぁっというような顔をする。
そして改めてジンに向き直った。
「よう!面白い能力を持ってんな」
『今のは…』
ジンは勝手に気絶した賞金稼ぎ達を見ながら言う。
「ああ、“覇気”と言うやつだ。気にすんな、それより大丈夫か?」
『は、はい。おかげさまで…ありがとうございます』
ジンは帽子を取り、深く頭を下げる。
「気にすんなって。それより、自己紹介しよう」
『はい。僕はクロスロード・ジンと言います、よろしくお願いします』
「おう、おれはシャンクスだ。よろしく!」
握手を交わす二人。
「…………」
『………?あの…』
シャンクスは握手したままジンの顔をじぃー―と見る。
「写真より綺麗だな」
『…ご存知でしたか。光栄です』
ニコッと笑うジン。
「なぁ、ジン。良かったら今から一緒に呑まねぇか?」
『え?そんな、ご迷惑では……』
「そんなことねぇよ!!せっかくこのでかい海で出会ったんだ!!呑もう!!!」
ガシッとシャンクスに腕を掴まれ半ば引きずられるように連れてかれたジンだった。
カランカラン
シャンクスは酒場のドアを開ける。中では“赤髪”のクルーたちが既に出来上がっていた。
「頭、おせぇ!!」
「女連れですか?珍しい」
シャンクスの隣にいるジンを見たクルーは沸く。ジンは苦笑する。
ベンがクルー達を制止、ジンの前に立つ。
「うちの船長とクルーが失礼をしてすまないな」
『いえ、失礼だなんて。貴方が“赤髪”の副船長ベン・ベックマンさんですね。
クロスロード・ジンです。よろしくお願いします』
「丁寧にどうも。クルーにも見習わせたいな」
握手を交わすベンとジン。ベンの迷惑発言に少し機嫌を悪くしたシャンクスはジンの肩を抱く。
「ほら、ジン。あっちの席に行こう」
『は、はい』
ベンは口角をあげシャンクスを笑い、酒の席へ戻った。
シャンクスとジンはクルー達から少し離れた所へ座る。
酒が運ばれて来た。
「まぁ、呑め!おれの奢りだ!!」
『ありがとうございます。頂きます』
グラスをカチャと合わせ乾杯する二人。
「お前のマジックすごくおもしろかったぞ。上手いもんだなぁ―」
『見てて下さったんですか!?とても嬉しいです』
ジンは笑う。シャンクスも嬉しそうにマジック談義に花を咲かせる。
一通り話終え、シャンクスは酒をおかわりする。
「なぁ、ジンお前はいつから海に出たんだ?」
『そうですね。すぐにグランドラインに入ったので3年前くらいでしょうか』
「ずっと一人海賊なのか?」
『はい。一人で旅をしています』
「なぁ、ジン!!おれ達の仲間にならないか?」
『!!?』
「仲間はいいぞ!喜びや苦しみだって共に分かち合える。一人より旅が何倍も楽しくなるぞ!」
『……嬉しい申し出ですが、ご遠慮します』
「えぇ―――!!」
シャンクスはがっかりするジンはすいませんと静かに謝る。
「謝る必要はねぇよ。でも、なんで仲間を作らないんだ?」
『昔は居たんですが…今は作らないようにしてるだけです』
「………ジン。お前いくつだ?」
『………?』
急に話題が変わったのでジンはシャンクスに目を向ける。
『確か、18です』
「18か…じゃあ、ルフィよりひとつ上くらいか」
『……ルフィ?』
「ああ。“麦わらのルフィ”イーストブルーのある村におれ達が滞在してた時に出会ったガキなんだが、海賊王になるって、今は海賊してるみたいだ」
『嬉しそうですね』
「まぁな、あいつはいい海賊になる。おれはルフィに未来を賭けてきたんだ」
『………』
嬉しそうに語るシャンクス。
ジンは目をシャンクスの左手に向ける。あるはずの手がないのは感じていたが敢えて聞かなかった。
「だから、なんだ…ジンはおれ達と旅をするより、ルフィ達と旅をする方がいいかもしれないな」
『…??』
「ルフィならジンも心を開けれる。おれじゃ無理だ」
『……閉じているつもりはないのですが』
ジンはニコッと笑う。
しかしシャンクスはじっとジンを見て、おもむろに頭に手を置きガシガシと撫でる。
ジンはびっくりした。
「何があったかは知らないが、あまり自分の中に入りすぎてはいけないぞ、ジン」
『………』
「お前にやれることがまだまだそこらじゅうに散らばってるんだ。生き急ぐ必要はない」
『シャンクス…さん』
「ほら、呑めよ!仲間にはなれねぇが今日1日くらい一緒に楽しもうぜ!」
シャンクスの言葉に頷き、ジンとシャンクス、そしてクルー達と一夜限りの宴を楽しんだ。
次の日
「ジン、もう行くのか?」
『おはようございます、ベンさん。
はい、そろそろ出発です。商船が乗せてくれるということなので』
「ジン……待て…なんならおれの船で……」
『……おはようございます、シャンクスさん。二日酔い大丈夫ですか…??』
ジンが水をシャンクスに手渡しながら笑う。
「まさかジンがあんな、酒豪だったとは思わなかった…」
シャンクスはすっかり二日酔いのようでへばっている。一方ジンはシャンクス以上飲んだのに関わらずケロッとしている。
『たまたまですよ』
ジンは笑う。
「乗ってかねぇの?」
『遠慮しておきます。離れるのが惜しくなりそうなので』
「そりゃ大歓迎な話だ」
ジンは本当に後ろ髪を引かれる気分だった。 ジンは気持ちが揺らがないように努める。
『では、行きますね』
「おう、同じ海にいるんだ。また会おうな」
『はい、もちろんです』
「ルフィに会ったらよろしく言っといてくれ!まぁ、おれとジンどっちが先に会うかわかんねぇが」
『わかりました。お会いしたらお伝えします。
シャンクスさんのお話で僕も“麦わら”のルフィさんに会ってみたくなりました』
「いいじゃねぇか。もしかしたら次に会うときはジンはルフィの船にいるかもな」
『ははは。そうなれば面白いですね』
二人は笑う。ベンも静かに笑った。
ジンは金時計を見る。まもなく出港の時間。
『それでは、シャンクスさん。ベンさん。お世話になりました!
またいつかお会いしましょう』
ジンは帽子を上げお辞儀をする。
シャンクスは手を出し握手を求め、ジンは応えた。
ジンが出港する。シャンクスは静かになった港を見ていた。
「シャンクス、出港だ」
「おう」
「ジンが仲間にならなくて残念だったな」
「……まぁな。でもいいさ。あいつはあいつの旅がある。いつか気の合う仲間が見つかるさ」
END
ある街の広場。 そこには多くの人だかりが出来ていた。
その輪の中心には少し派手な仮面を着けた青年、ジンが紙を駆使しながらマジックを披露していた。
広場は拍手に包まれる。
『本日は僕のマジックショーにお越し頂きありがとうございました!』
ジンは帽子をとり、観客にお礼を言う。
「ほぉ~~~上手いもんだ。楽しかった!!」
「結局ずっと居たな」
人だかりの最後尾に居たのは、炎のように赤い髪を持つ“赤髪”のシャンクス。
近くには副船長のベンがしばしシャンクスに呆れながら答える。
「いやぁ、マジックってのはおもしろいな―。なぁ、ベン。マジシャンが仲間ってのも楽しそうだな」
「………シャンクス。奴はたぶん、海賊だぞ」
「えっ!?あんな奴いたか?」
ベンの言葉にシャンクスは目を丸くする。
「この前、手配書にいただろう。4億8千万ベリーの“渡り鳥”。
格好が似てるし、あのシルバーピンクの髪は滅多にないから、たぶん間違いないだろう」
「へぇ“渡り鳥”かぁ~~。ふーん」
「……あいつは一匹狼だと聞いてる。仲間にはならんと思うぞ」
「え―――っ!!?」
ベンの言葉に落胆するシャンクス。しかし諦めがつかずジンに目を向ける。
ベンは、はぁっとため息をつき、勝手にしろっとみんながいる飲み屋に行ってしまった。
観客が散り、ジンはマジックの道具や仮面をカバンにしまう。そして裏路地へ歩いて行った。
『今回はなかなか稼げましたね。これで宿代は確保出来ました』
ジンは上機嫌に歩く。すると裏路地の十字路で殺気を纏う気配を感じる。
『ざっと20人くらいでしょうか…』
ジンはカバンを地面に置く。
『隠れて居ないで出てきたらどうです?』
「ほう、バレてたか。さすがというべきか」
リーダー格と思われる男をはじめわらわらと賞金稼ぎ達が現れる。ジンは囲まれた。
「てめえ、4億8千万ベリーの“渡り鳥”だな」
『………だったら何でしょうか?』
ジンは気分を害したようにため息をつく。
「おれ達は賞金稼ぎだ!!殺されたくなきゃ大人しくお縄につきな」
「おれ達に会った不幸を呪うんだな」
(面倒ですね。逃げるべきでしょうか…)
ジンは考えたが地面に置いたカバンの存在を思い出す。
カバンを持って消えることは出来ない。
「へへ。さすがの“渡り鳥”もこの人数じゃ恐くて動けねェか?」
『…御託は結構です。始めるなら始めましょう』
シルクハットをなおしながら平然と言うジン。それにムカッとした賞金稼ぎ達。
リーダー格の男が剣を振り上げた。
「やっちまぇ!!!」
男達がジンに襲いかかる。
『オリジンペーパー(原点の紙) フォーム:フィクルチェイン(気ままな鎖)』
ジンは両手を前に出し、手から紙を出す。紙はみるみる双剣を形どり、その双剣は鎖で繋がれている。
ジンは襲ってきた賞金稼ぎを一人ずつ薙ぎ払う。
10人程薙ぎ払ったところでジンはふぅと息をつく。
(ラチがあきませんね…)
ジンが次の行動を考えていたその時、後ろで賞金稼ぎが、低い悲鳴をあげ倒れる。
ジンは後ろに目を向けた。
『………?』
「多勢に無勢だな。手を貸すよ」
シャンクスが賞金稼ぎを軽くノシながらジンに歩み寄る。
ジンは目の前の人物に目を見張った。
『まさか“赤髪”のシャンクス…!!?』
ジンの言葉にジンを囲んでいる賞金稼ぎは驚き口々に喋る。
「赤髪!!?」
「あの四皇の……!!?」
「なんでこんな所に…!?」
「まだやるか?」
ギラッと睨みを効かせたシャンクス。
すると残った泡を吹きながら賞金稼ぎがバタバタと気絶し、倒れた。
ジンはビリビリと何かを感じたが意識は保っていた。
「少し威嚇しただけなんだが…」
シャンクスはやってしまったなぁっというような顔をする。
そして改めてジンに向き直った。
「よう!面白い能力を持ってんな」
『今のは…』
ジンは勝手に気絶した賞金稼ぎ達を見ながら言う。
「ああ、“覇気”と言うやつだ。気にすんな、それより大丈夫か?」
『は、はい。おかげさまで…ありがとうございます』
ジンは帽子を取り、深く頭を下げる。
「気にすんなって。それより、自己紹介しよう」
『はい。僕はクロスロード・ジンと言います、よろしくお願いします』
「おう、おれはシャンクスだ。よろしく!」
握手を交わす二人。
「…………」
『………?あの…』
シャンクスは握手したままジンの顔をじぃー―と見る。
「写真より綺麗だな」
『…ご存知でしたか。光栄です』
ニコッと笑うジン。
「なぁ、ジン。良かったら今から一緒に呑まねぇか?」
『え?そんな、ご迷惑では……』
「そんなことねぇよ!!せっかくこのでかい海で出会ったんだ!!呑もう!!!」
ガシッとシャンクスに腕を掴まれ半ば引きずられるように連れてかれたジンだった。
カランカラン
シャンクスは酒場のドアを開ける。中では“赤髪”のクルーたちが既に出来上がっていた。
「頭、おせぇ!!」
「女連れですか?珍しい」
シャンクスの隣にいるジンを見たクルーは沸く。ジンは苦笑する。
ベンがクルー達を制止、ジンの前に立つ。
「うちの船長とクルーが失礼をしてすまないな」
『いえ、失礼だなんて。貴方が“赤髪”の副船長ベン・ベックマンさんですね。
クロスロード・ジンです。よろしくお願いします』
「丁寧にどうも。クルーにも見習わせたいな」
握手を交わすベンとジン。ベンの迷惑発言に少し機嫌を悪くしたシャンクスはジンの肩を抱く。
「ほら、ジン。あっちの席に行こう」
『は、はい』
ベンは口角をあげシャンクスを笑い、酒の席へ戻った。
シャンクスとジンはクルー達から少し離れた所へ座る。
酒が運ばれて来た。
「まぁ、呑め!おれの奢りだ!!」
『ありがとうございます。頂きます』
グラスをカチャと合わせ乾杯する二人。
「お前のマジックすごくおもしろかったぞ。上手いもんだなぁ―」
『見てて下さったんですか!?とても嬉しいです』
ジンは笑う。シャンクスも嬉しそうにマジック談義に花を咲かせる。
一通り話終え、シャンクスは酒をおかわりする。
「なぁ、ジンお前はいつから海に出たんだ?」
『そうですね。すぐにグランドラインに入ったので3年前くらいでしょうか』
「ずっと一人海賊なのか?」
『はい。一人で旅をしています』
「なぁ、ジン!!おれ達の仲間にならないか?」
『!!?』
「仲間はいいぞ!喜びや苦しみだって共に分かち合える。一人より旅が何倍も楽しくなるぞ!」
『……嬉しい申し出ですが、ご遠慮します』
「えぇ―――!!」
シャンクスはがっかりするジンはすいませんと静かに謝る。
「謝る必要はねぇよ。でも、なんで仲間を作らないんだ?」
『昔は居たんですが…今は作らないようにしてるだけです』
「………ジン。お前いくつだ?」
『………?』
急に話題が変わったのでジンはシャンクスに目を向ける。
『確か、18です』
「18か…じゃあ、ルフィよりひとつ上くらいか」
『……ルフィ?』
「ああ。“麦わらのルフィ”イーストブルーのある村におれ達が滞在してた時に出会ったガキなんだが、海賊王になるって、今は海賊してるみたいだ」
『嬉しそうですね』
「まぁな、あいつはいい海賊になる。おれはルフィに未来を賭けてきたんだ」
『………』
嬉しそうに語るシャンクス。
ジンは目をシャンクスの左手に向ける。あるはずの手がないのは感じていたが敢えて聞かなかった。
「だから、なんだ…ジンはおれ達と旅をするより、ルフィ達と旅をする方がいいかもしれないな」
『…??』
「ルフィならジンも心を開けれる。おれじゃ無理だ」
『……閉じているつもりはないのですが』
ジンはニコッと笑う。
しかしシャンクスはじっとジンを見て、おもむろに頭に手を置きガシガシと撫でる。
ジンはびっくりした。
「何があったかは知らないが、あまり自分の中に入りすぎてはいけないぞ、ジン」
『………』
「お前にやれることがまだまだそこらじゅうに散らばってるんだ。生き急ぐ必要はない」
『シャンクス…さん』
「ほら、呑めよ!仲間にはなれねぇが今日1日くらい一緒に楽しもうぜ!」
シャンクスの言葉に頷き、ジンとシャンクス、そしてクルー達と一夜限りの宴を楽しんだ。
次の日
「ジン、もう行くのか?」
『おはようございます、ベンさん。
はい、そろそろ出発です。商船が乗せてくれるということなので』
「ジン……待て…なんならおれの船で……」
『……おはようございます、シャンクスさん。二日酔い大丈夫ですか…??』
ジンが水をシャンクスに手渡しながら笑う。
「まさかジンがあんな、酒豪だったとは思わなかった…」
シャンクスはすっかり二日酔いのようでへばっている。一方ジンはシャンクス以上飲んだのに関わらずケロッとしている。
『たまたまですよ』
ジンは笑う。
「乗ってかねぇの?」
『遠慮しておきます。離れるのが惜しくなりそうなので』
「そりゃ大歓迎な話だ」
ジンは本当に後ろ髪を引かれる気分だった。 ジンは気持ちが揺らがないように努める。
『では、行きますね』
「おう、同じ海にいるんだ。また会おうな」
『はい、もちろんです』
「ルフィに会ったらよろしく言っといてくれ!まぁ、おれとジンどっちが先に会うかわかんねぇが」
『わかりました。お会いしたらお伝えします。
シャンクスさんのお話で僕も“麦わら”のルフィさんに会ってみたくなりました』
「いいじゃねぇか。もしかしたら次に会うときはジンはルフィの船にいるかもな」
『ははは。そうなれば面白いですね』
二人は笑う。ベンも静かに笑った。
ジンは金時計を見る。まもなく出港の時間。
『それでは、シャンクスさん。ベンさん。お世話になりました!
またいつかお会いしましょう』
ジンは帽子を上げお辞儀をする。
シャンクスは手を出し握手を求め、ジンは応えた。
ジンが出港する。シャンクスは静かになった港を見ていた。
「シャンクス、出港だ」
「おう」
「ジンが仲間にならなくて残念だったな」
「……まぁな。でもいいさ。あいつはあいつの旅がある。いつか気の合う仲間が見つかるさ」
END