またいつか
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『やぁ、暴君。調子はどうだい?』
「大差ない」
“暴君”ことバーソロミュー・くまは、目の前の男にそう答えた。
水色の髪に色素の薄い肌を持つその男は、それは良かったと手に持っていた本を閉じ、柔和な笑顔をくまに見せる。
くまは今、政府のお抱え科学者、ペガパンクとある取り決めをし、身体を“人間兵器へ改造”する約束をしていた。
そして一昨日、“改造”の第二段階を終えたところだった。
「お前はどうなんだ? ルカ」
『僕は平気だよ』
水色の髪の男、ルカはまた笑顔を見せる。
詳しくは知らないが、このルカも“何か”と引き換えに自身の身体をペガパンク差し出しているそうだ。つまり、自分と同じ境遇。しかし、自分と“同じ改造”ではないらしいことは、よくわかっていた。
なんせルカは線の細い。女と見間違えるくらい細い。そんな奴が、自分と同じ改造に耐えられるとは到底考えられない。しかし、見た目とは裏腹に、こいつの強さが異常なのも確かな事実だった。
一度目の“改造”の試運転に海賊を1つ潰して来たが、その時一緒にいたこいつは指で船を弾くだけで大破させた。ルカはこの世界では化け物……そんな類いに分類されてしまうだろう。
『暴君?』
「ああ、なんだ?」
『なんだとはひどいな。せっかく紅茶を入れたのに』
ルカはそう言うと、くまに紅茶を差し出した。紅茶など今まであまり飲んで来なかったくまだが、ルカの入れる紅茶はなんともうまかった。まさに絶妙と言える。
くまは一口紅茶を飲む。程よい熱さが紅茶の香りを引き立てとてもうまかった。
『喜んでくれて良かった』
くまは何度かルカの紅茶を口にしたが、一度も紅茶について感想言わなかった。が、ルカはいつもそう言って笑う。
『“次は”いつかな?』
「1週間後だ」
『そうか……脚かい?』
「ああ。その様だ」
『…無事に終えることを願ってる』
「……」
くまはまた一口紅茶を飲む。今のルカの言葉に答えは必要ないと思ったからだ。
『そうだ、次回はおいしいケーキでも用意しておこう』
「?」
いいことを思いついた。そんな感じの声でルカは言った。くまは首を傾げる。振り向いたルカはいたずらぽく笑った。
『暴君が“改造”に耐えた記念に』
「……おれはガキか」
『はは。暴君みたいな大きな子どもがいたら大変だ』
「フン…!」
くまは眉をひそめる。いつも無表情だが、なぜだかルカの前では自然と顔に出てしまう。くまはそんな自分の変化には気づいていないようだ。
「――今日は帰る」
くまは立ち上がりそう言った。ルカは手を振る。
『また来週』
くまは返事もせず、ドアを勢いよく開けて出て行った。ルカはその勢いでドアが完全にしまるまで、笑顔で手を振りくまを見送った。
「大差ない」
“暴君”ことバーソロミュー・くまは、目の前の男にそう答えた。
水色の髪に色素の薄い肌を持つその男は、それは良かったと手に持っていた本を閉じ、柔和な笑顔をくまに見せる。
くまは今、政府のお抱え科学者、ペガパンクとある取り決めをし、身体を“人間兵器へ改造”する約束をしていた。
そして一昨日、“改造”の第二段階を終えたところだった。
「お前はどうなんだ? ルカ」
『僕は平気だよ』
水色の髪の男、ルカはまた笑顔を見せる。
詳しくは知らないが、このルカも“何か”と引き換えに自身の身体をペガパンク差し出しているそうだ。つまり、自分と同じ境遇。しかし、自分と“同じ改造”ではないらしいことは、よくわかっていた。
なんせルカは線の細い。女と見間違えるくらい細い。そんな奴が、自分と同じ改造に耐えられるとは到底考えられない。しかし、見た目とは裏腹に、こいつの強さが異常なのも確かな事実だった。
一度目の“改造”の試運転に海賊を1つ潰して来たが、その時一緒にいたこいつは指で船を弾くだけで大破させた。ルカはこの世界では化け物……そんな類いに分類されてしまうだろう。
『暴君?』
「ああ、なんだ?」
『なんだとはひどいな。せっかく紅茶を入れたのに』
ルカはそう言うと、くまに紅茶を差し出した。紅茶など今まであまり飲んで来なかったくまだが、ルカの入れる紅茶はなんともうまかった。まさに絶妙と言える。
くまは一口紅茶を飲む。程よい熱さが紅茶の香りを引き立てとてもうまかった。
『喜んでくれて良かった』
くまは何度かルカの紅茶を口にしたが、一度も紅茶について感想言わなかった。が、ルカはいつもそう言って笑う。
『“次は”いつかな?』
「1週間後だ」
『そうか……脚かい?』
「ああ。その様だ」
『…無事に終えることを願ってる』
「……」
くまはまた一口紅茶を飲む。今のルカの言葉に答えは必要ないと思ったからだ。
『そうだ、次回はおいしいケーキでも用意しておこう』
「?」
いいことを思いついた。そんな感じの声でルカは言った。くまは首を傾げる。振り向いたルカはいたずらぽく笑った。
『暴君が“改造”に耐えた記念に』
「……おれはガキか」
『はは。暴君みたいな大きな子どもがいたら大変だ』
「フン…!」
くまは眉をひそめる。いつも無表情だが、なぜだかルカの前では自然と顔に出てしまう。くまはそんな自分の変化には気づいていないようだ。
「――今日は帰る」
くまは立ち上がりそう言った。ルカは手を振る。
『また来週』
くまは返事もせず、ドアを勢いよく開けて出て行った。ルカはその勢いでドアが完全にしまるまで、笑顔で手を振りくまを見送った。