貴女が望むなら
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「ナナリー、手伝ってー!!」
「はいはぁい!」
「ナナリー!! これ直してくれ!!」
「ん…あらら、破れちゃったのね。今縫うわ」
「ナナリーちゅわ~ん!! ちょっといいかなぁ」
「ご飯の準備だね! 今行くよ」
少しおっとりしたナナリーの声が今日何度目かの返事をする。気立てがよく、それでいて可愛らしいナナリーは麦わら一味の中で最も働き者だ。
当の本人も人に頼られるのを好むので、声が掛かるのは嬉しいらしい。今もサンジに返事をすると食堂へ走って行ったくらいだ。そんなナナリーはジンと一味公認の仲で、二人は互いに愛し合い、尊敬し合う大切な存在。
『……』
「ナナリーが心配?」
『!』
ナナリーとルフィ達がわいわいとしているのを、甲板のベンチで見ているジンに声が掛かる。
『…ロビン』
ジンに声を掛けたのはロビン。その手にはジンと同じくコーヒーを持っていた。ジンは苦笑する。
『そう見えますか?』
「ええ。すごく」
ロビンの即答にジンはまた苦笑する。
「ナナリー、今日は特に忙しいそうね」
『ええ、忙しそうです』
ジンはニコニコと笑顔で言った。しかしロビンには心配の色がよく見えている。いつもはポーカーフェイスのジンが感情を隠しきれず、また隠し切れていないことに気付いていない。
「(本当に大切なのね)」
ロビンは心の中でクスッと笑う。そしてひとつの提案を思いついた。
「ねェ、ジン」
『? はい、なんでしょう?』
「ナナリーには食後、図書館の本の整理を頼むわ」
『……?』
「ナナリーは今日、不寝番だから休ませてあげて」
『……!』
そうニコッと笑うロビンにジンは静かに微笑んだ。
サニー号・図書館
「ロビーン! 来たよ!」
元気な声でガチャっと図書館のドアを開けるナナリー。しかしそこにいたのは……
『お疲れ様です。ナナリー』
「!? ジン!!」
ジンの登場に目をしばしばさせるナナリー。ジンはそんなナナリーの手をそっと取った。
『どうぞお嬢様、お手を』
「わわ!?」
ジンはナナリーの手を引くとソファに腰掛けさせた。
『紅茶を入れましょう』
ジンはそう言うとパチンと指を鳴らす。するとポンッとトレーに乗ったティーポットとティーカップが現れた。
「!! すっすごい」
ナナリーの驚きの声に微笑みを返したジンはコポポポポ…っとカップに注ぐ。そしてゆったり湯気を立てた紅茶をナナリーに差し出した。
『疲れが取れるように砂糖は多めにしています』
「ありがと…!!」
ナナリーは受け取ったカップに口をつける。ちょうど飲み頃の温度と甘さで自然と頬が緩んだ。
「ふーおいしぃ」
『喜んで頂けて光栄です』
ジンはティーセットを机に置くとナナリーの隣に座る。
「あ! ロビンは!!?」
『彼女は部屋です。ここには来ません』
「……どうして?」
『貴女を休ませたくて、僕がお願いしたのです』
ナナリーはん~っと首を傾げる。
「? 私そんなに働いているかしら?」
『ええ……。今日は特に』
「……そう? 気付かなかったわ。みんなに頼られるのが楽しかったから」
『…貴女らしいお言葉ですね』
ジンは苦笑する。ナナリーから飲み終えたティーカップを受け取り、自分の横に置くと、ナナリーを引き寄せた。
「なっ…!! ジン!?」
ナナリーはボッと顔が赤くなる。急に抱きしめられたことに気が動転してしまったのだ。
『そんな貴女を休ませるのが、僕の役目だと思っています』
「!」
ジンは耳元で囁く。
『少し休んで下さい』
「……でも」
ジンを見上げるナナリー、ジンはナナリーの口元に立てた人差し指を添えた。その指は相手に沈黙を促す。
『“でも”は禁止です。貴女が倒れでもしたら、それこそ大問題です』
「……問題? 戦闘員なんて私がいなくても」
『戦闘員だからという意味ではありません。―――貴女だからです』
「!」
『まぁ、ずっと側で看病すると言うのも悪くはないのですが』
「…!!」
ナナリーの顔が赤くなる。ジンはクスッと笑うと、ナナリーの頭を自身の膝に乗せた。
『今日ナナリーは不寝番ですよね? 不寝番の時間まで寝てください』
「あ、あのさ膝枕疲れない? 寝ろって言うなら私部屋に戻って………!!!」
ナナリーの言葉がジンの口によって飲み込まれる。その口付けはとても優しいものだった。ジンはそっとナナリーの唇から自身の唇を離すと笑う。一方ナナリーはまた一段と顔を赤くした。
「…ジン…」
『僕の側で眠って頂きたいのです。ナナリーの側にいたい、僕のわがままです』
ジンの真剣な声色と優しく頭を撫でる暖かさにナナリーは自然と笑みが零れる。
『お願い出来ませんか?』
「……」
ナナリーは顔を真っ赤にさせながら、静かに頷いた。ジンは笑顔になる。
『良かった…』
「あ、あのさ…!!」
『?』
「寝る前にもう一度だけ……キスして欲しいな」
『!』
「……なんちゃって」
ナナリーは照れ隠しに言葉を濁す。ジンは一瞬目を見張ったがすぐに優しい顔になった。
【貴女が望むなら】
『ナナリーが望んでくれるのなら、いくらでも』
「わわ! そんなに沢山は…!!」
『…ナナリー、どれくらいを想像なさったのです?』
「え!! あ……うー…。ひ、秘密……!!」
ナナリーはそう言うとキュッとジンの膝に抱きついた。
fin
「はいはぁい!」
「ナナリー!! これ直してくれ!!」
「ん…あらら、破れちゃったのね。今縫うわ」
「ナナリーちゅわ~ん!! ちょっといいかなぁ」
「ご飯の準備だね! 今行くよ」
少しおっとりしたナナリーの声が今日何度目かの返事をする。気立てがよく、それでいて可愛らしいナナリーは麦わら一味の中で最も働き者だ。
当の本人も人に頼られるのを好むので、声が掛かるのは嬉しいらしい。今もサンジに返事をすると食堂へ走って行ったくらいだ。そんなナナリーはジンと一味公認の仲で、二人は互いに愛し合い、尊敬し合う大切な存在。
『……』
「ナナリーが心配?」
『!』
ナナリーとルフィ達がわいわいとしているのを、甲板のベンチで見ているジンに声が掛かる。
『…ロビン』
ジンに声を掛けたのはロビン。その手にはジンと同じくコーヒーを持っていた。ジンは苦笑する。
『そう見えますか?』
「ええ。すごく」
ロビンの即答にジンはまた苦笑する。
「ナナリー、今日は特に忙しいそうね」
『ええ、忙しそうです』
ジンはニコニコと笑顔で言った。しかしロビンには心配の色がよく見えている。いつもはポーカーフェイスのジンが感情を隠しきれず、また隠し切れていないことに気付いていない。
「(本当に大切なのね)」
ロビンは心の中でクスッと笑う。そしてひとつの提案を思いついた。
「ねェ、ジン」
『? はい、なんでしょう?』
「ナナリーには食後、図書館の本の整理を頼むわ」
『……?』
「ナナリーは今日、不寝番だから休ませてあげて」
『……!』
そうニコッと笑うロビンにジンは静かに微笑んだ。
サニー号・図書館
「ロビーン! 来たよ!」
元気な声でガチャっと図書館のドアを開けるナナリー。しかしそこにいたのは……
『お疲れ様です。ナナリー』
「!? ジン!!」
ジンの登場に目をしばしばさせるナナリー。ジンはそんなナナリーの手をそっと取った。
『どうぞお嬢様、お手を』
「わわ!?」
ジンはナナリーの手を引くとソファに腰掛けさせた。
『紅茶を入れましょう』
ジンはそう言うとパチンと指を鳴らす。するとポンッとトレーに乗ったティーポットとティーカップが現れた。
「!! すっすごい」
ナナリーの驚きの声に微笑みを返したジンはコポポポポ…っとカップに注ぐ。そしてゆったり湯気を立てた紅茶をナナリーに差し出した。
『疲れが取れるように砂糖は多めにしています』
「ありがと…!!」
ナナリーは受け取ったカップに口をつける。ちょうど飲み頃の温度と甘さで自然と頬が緩んだ。
「ふーおいしぃ」
『喜んで頂けて光栄です』
ジンはティーセットを机に置くとナナリーの隣に座る。
「あ! ロビンは!!?」
『彼女は部屋です。ここには来ません』
「……どうして?」
『貴女を休ませたくて、僕がお願いしたのです』
ナナリーはん~っと首を傾げる。
「? 私そんなに働いているかしら?」
『ええ……。今日は特に』
「……そう? 気付かなかったわ。みんなに頼られるのが楽しかったから」
『…貴女らしいお言葉ですね』
ジンは苦笑する。ナナリーから飲み終えたティーカップを受け取り、自分の横に置くと、ナナリーを引き寄せた。
「なっ…!! ジン!?」
ナナリーはボッと顔が赤くなる。急に抱きしめられたことに気が動転してしまったのだ。
『そんな貴女を休ませるのが、僕の役目だと思っています』
「!」
ジンは耳元で囁く。
『少し休んで下さい』
「……でも」
ジンを見上げるナナリー、ジンはナナリーの口元に立てた人差し指を添えた。その指は相手に沈黙を促す。
『“でも”は禁止です。貴女が倒れでもしたら、それこそ大問題です』
「……問題? 戦闘員なんて私がいなくても」
『戦闘員だからという意味ではありません。―――貴女だからです』
「!」
『まぁ、ずっと側で看病すると言うのも悪くはないのですが』
「…!!」
ナナリーの顔が赤くなる。ジンはクスッと笑うと、ナナリーの頭を自身の膝に乗せた。
『今日ナナリーは不寝番ですよね? 不寝番の時間まで寝てください』
「あ、あのさ膝枕疲れない? 寝ろって言うなら私部屋に戻って………!!!」
ナナリーの言葉がジンの口によって飲み込まれる。その口付けはとても優しいものだった。ジンはそっとナナリーの唇から自身の唇を離すと笑う。一方ナナリーはまた一段と顔を赤くした。
「…ジン…」
『僕の側で眠って頂きたいのです。ナナリーの側にいたい、僕のわがままです』
ジンの真剣な声色と優しく頭を撫でる暖かさにナナリーは自然と笑みが零れる。
『お願い出来ませんか?』
「……」
ナナリーは顔を真っ赤にさせながら、静かに頷いた。ジンは笑顔になる。
『良かった…』
「あ、あのさ…!!」
『?』
「寝る前にもう一度だけ……キスして欲しいな」
『!』
「……なんちゃって」
ナナリーは照れ隠しに言葉を濁す。ジンは一瞬目を見張ったがすぐに優しい顔になった。
【貴女が望むなら】
『ナナリーが望んでくれるのなら、いくらでも』
「わわ! そんなに沢山は…!!」
『…ナナリー、どれくらいを想像なさったのです?』
「え!! あ……うー…。ひ、秘密……!!」
ナナリーはそう言うとキュッとジンの膝に抱きついた。
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