突貫2周年
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「これは一体……」
そう驚きの声を上げた青年はかぶっていたシルクハットを少し持ち上げる。
シルクハットの下からはピンクシルバーの髪と右目を覆い隠す眼帯が顔を覗かせていた。
彼の名はクロスロード・ジン。今ちまたで話題の大物ルーキーで“渡り鳥”と呼ばれている。
「おかしいですね……確か僕はルフィさん達の船にいたはずですが…」
ジンは“渡り鳥”の名に相応しく、船を渡り歩いていた。今は同じルーキーであるモンキー・D・ルフィの船に乗っている。
しかし今、ジンがいるのは桜が舞う島、その島から見える先にはいくつもの島が浮いていた。
「わかることと言えば、ここが空の上だと言うことと……」
グルルル……!!
浮かぶ島々を眺めるジンの後ろから聞こえた唸り声に振り返る。
視線の先に巨大なトラ。そして次の瞬間、ジンの喉元に襲いかかった。
「…“無数の聖書(ミリアド・バイブル)”」
「ガウッ!?」
ジンはトラの目の前から姿を消す。トラは目を見張った。トラが呆然とする中、トラの頭上にジンが姿を現す。
「“原点の紙(オリジンペーパー)…魔法の槌(ウイッチハンマー)”」
ジンは紙でハンマーを生成した。そのハンマーはジンの身体の2倍はある。
ジンはその“巨大”なハンマーをトラに向けて降り下ろした。
ドンッ!!!
「クギャアアアァ……!!」
「…“リセット”」
ドサッとトラは崩れ落ちる。ジンはそのすぐ側に着地すると魔法の槌を消した。
「あまり“歓迎されていない”と言うことでしょうか」
ジンはシルクハットをなおすと辺りを見渡す。
「それであるならば、ここに居ても仕方ありませんね。とりあえず、人が居そうなあの木に囲まれた村に行ってみましょう」
同時刻――――
「“疾氷津(シッピツ)”!!」
ズパンッ!!
ゲギャア……!!
悲鳴と共にバタンっと倒れたのは向かって来たカマキリ。太刀傷がついていた。
(やったね!クロ!)
「ああ…けどなんなんだ、ここは。好戦的な動物が多すぎる」
(ホントにね。言葉も通じないなんて初めてだよ。変なとこだよねェ~)
白い髪に金色の目をもつ少年は双剣を手にしたまま肩を諌める。彼の名はクロ。何かを感じたのか、空を見上げる。
グギャャャ!!!
「!――シロ!」
(うん!)
クロが名呼び、目を瞑った瞬間、白い髪が黒く染まる。先程よりもやわらいだ金色の目のシロが現れる。
シロとクロは“二人で一人”。この不思議な海、GLでも至極珍しい体質を持つ少年たちで、海の“郵便屋”を生業としている。
クロと入れ替わったシロは空を飛ぶ巨大な鳥を捉えた。
「“糊(コ)”!!そんでもって“切手(キッテ)”!!!」
ガチャンと双剣の柄をつなぐとブーメランに変わる。シロはそれを巨大な鳥に向かって投げた。
ヒュンヒュン…―――ズパァァン…!!!
ブーメランは弧を描き鳥を切り裂く。鳥は断末魔と共に地面に叩きつけられた。
そのすぐ後にブーメランは軌道を変えることなく、弧を描きシロの手に戻ってくる。
(やったな)
「うん!ねェ、クロクロ!この鳥さん、食べれるかなぁ?ボク、お腹すいたよ」
(ああ…まぁ、食えるだろうが…お前さっきこいつらと友達になりたいって言ってなかったか…??)
ブロロロロロ…!!
「!」
(!)
暢気な二人がいる遺跡の跡地に巨大なエンジン音が響いた。そちらに目を向けると、林からまるでバイクのように走るこれまた巨大なタコが現れる。
「タコさんだー!!」
(おいおい、デカすぎだろ!)
呆れるクロ。一方のシロは巨大なタコを見て首傾げた。
「あれあれ…?」
(なんだ?)
「あのタコさん、なんだか怯えてない?」
(怯えて……?!シロ、避けろ!!)
「―――“九鷺須(クロス)”」
「!」
身をサッとかがめたシロ。その頭の上をふっと風が撫でる。瞬間―――
ヒュンヒュン……ズパァーン!!!
「……???」
風が止み、顔を上げてみると、タコの動きが止まっていた。動かないタコを注意深く見るとタコは原型のまま輪切りされている。
「いつ我が主に背を向けることを許したのじゃ」
カツカツカツ…と林の中から黒いローブを羽織り、フードから銀色の柳腰の髪を覗かせた人物が現れた。
その手には細く繊細な白い刀を持っている。
ふと、フードがシロの方を見た。
「!う、あ…えっと、こんにちわ!!」
(…お、おい)
「……」
「あれ?これじゃなかった??」
言葉を発しない人物に、シロはあたふたする。慌てるシロを見兼ねた人物が言った。
「はて。主はおかしな気質を持つ人間じゃな。“二人”おるのか?」
「!」
(!)
シロとクロは驚く。
自分達が二人であることに出会っただけで気付いた人間は、彼らの師である“ジュラキュール・ミホーク”だけだったからだ。
「な、なんでわかったの!!?」
「?分からぬ訳あるまい。我は主らを“食糧”とする者じゃからじゃ」
(食糧??)
「??ええっと。それは、ど、どういう意味…??」
「フン…理解が足りぬ小僧共じゃ」
そう言うとその人物はフードに手をかける。フード下から出てきたのはサファイヤの瞳に人形の様な顔の青年。
傲慢な笑みを浮かべる青年の口元から覗く犬歯はやけにするどい。
「我が名はレ二―・レ二ゲイド。主ら人間を喰らう“吸血鬼”じゃ」
――――場所は変わって、冬ゾーン。
「ねェ」
「……」
「ねェったら!!」
「何だ?」
後ろから呼びかける声。白い髪に赤い瞳、銀ぶちの細いフレームの眼鏡をかけている男性は不機嫌そうに振り返る。
その視線の先には板チョコを食べる若い青年。
二人の足元に穴だらけの動物がいくつも転がっていた。
「やっと向いたね」
「……何の用だ」
「何の…って。だからさっきから言ってるじゃないか、キミは誰なの?って」
男性は人差し指と中指で眼鏡をおしあげる。
「……名乗る必要はない」
「いや、そこは名乗ろうよ。指銃(シガン)を使ってるってことは政府の人間だろ?」
「!!なぜ、それを」
男性は一層青年を警戒する。アルトはその視線を一蹴するように言った。
「僕はノティ・アルト。海軍本部中将だ。これも何回も言った」
くせの強い黒髪に緑の瞳の青年、ノティ・アルト。海軍本部中将にして“ゼロ”の異名を持つ近接のプロフェッショナル。
さらに最近得た悪魔の実の能力により“無血の中将”とも呼ばれている。
「……海兵か」
男性は納得したように声を発した。アルトは板チョコをかじる。
「そう。これなら名乗れるよね?」
「……。ライク・ルンペン、CPだ」
「ライク・ルンペン……!?CP9の?」
アルトは驚いた声をあげた。
ライク・ルンペン、彼は政府の諜報機関CP9のメンバーの一人で、悪魔の実でも世に珍しい“幻獣種”の能力者。
また生まれつき“狂人”という殺人衝動を持ち、発動中は視界にいるものを全て殺す“視界内殺人鬼”となる。CP9の主力の一人だ。
「だったら何だ?」
ルンペンは不機嫌なのを隠さず、アルトを突き放す様に言う。アルトはまた一口板チョコをかじり目をそらす。
何か思い出してるようだ。
「……。どうでもいいが、おれに関しての守秘義務は守ってもらう」
「!ああ、わかってるよ。CPの人間を公にはしない。でも、気になるな。CP9がなんでここに?」
「……」
黙るルンペン。それを見たアルトは可能性を口にする。
「例えば、サイクロンに巻き込まれたとか??」
「!!」
ルンペンの反応にアルトは納得したように頷く。
「……なるほど。じゃあ、状況は僕と同じって訳だね」
「同じ……?」
「ああ、僕もサイクロンに巻き込まれて気が付いたらここにいたんだ」
「……」
ルンペンは眉をひそめる。
「そんな偶然…」
「――ある訳ないって思ってる?」
「……。当たり前だ」
「だろうね。でも残念、それが事実だ」
アルトは板チョコの最後の欠片を口に入れた。
「……」
「まぁ、とりあえず協力しないかい?僕は原因を突き止めようと思ってるんだ」
「……」
眉をひそめるルンペン。美人な顔立ちのせいか、かなり怒っているように見える。
「?どうかしたの?あ、おなかすいたとか。チョコ食べるかい?」
「フン……面倒だ」
ルンペンはそれだけ言うと黒衣を翻し、スタスタと歩いて行く。その先へ行くと冬ゾーンを抜けるようだ。
「え!ちょっと!!……ハァ…これだからCP9は……」
アルトは大げさに肩をすくめると、歩いて行くルンペンの後を追った。
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そう驚きの声を上げた青年はかぶっていたシルクハットを少し持ち上げる。
シルクハットの下からはピンクシルバーの髪と右目を覆い隠す眼帯が顔を覗かせていた。
彼の名はクロスロード・ジン。今ちまたで話題の大物ルーキーで“渡り鳥”と呼ばれている。
「おかしいですね……確か僕はルフィさん達の船にいたはずですが…」
ジンは“渡り鳥”の名に相応しく、船を渡り歩いていた。今は同じルーキーであるモンキー・D・ルフィの船に乗っている。
しかし今、ジンがいるのは桜が舞う島、その島から見える先にはいくつもの島が浮いていた。
「わかることと言えば、ここが空の上だと言うことと……」
グルルル……!!
浮かぶ島々を眺めるジンの後ろから聞こえた唸り声に振り返る。
視線の先に巨大なトラ。そして次の瞬間、ジンの喉元に襲いかかった。
「…“無数の聖書(ミリアド・バイブル)”」
「ガウッ!?」
ジンはトラの目の前から姿を消す。トラは目を見張った。トラが呆然とする中、トラの頭上にジンが姿を現す。
「“原点の紙(オリジンペーパー)…魔法の槌(ウイッチハンマー)”」
ジンは紙でハンマーを生成した。そのハンマーはジンの身体の2倍はある。
ジンはその“巨大”なハンマーをトラに向けて降り下ろした。
ドンッ!!!
「クギャアアアァ……!!」
「…“リセット”」
ドサッとトラは崩れ落ちる。ジンはそのすぐ側に着地すると魔法の槌を消した。
「あまり“歓迎されていない”と言うことでしょうか」
ジンはシルクハットをなおすと辺りを見渡す。
「それであるならば、ここに居ても仕方ありませんね。とりあえず、人が居そうなあの木に囲まれた村に行ってみましょう」
同時刻――――
「“疾氷津(シッピツ)”!!」
ズパンッ!!
ゲギャア……!!
悲鳴と共にバタンっと倒れたのは向かって来たカマキリ。太刀傷がついていた。
(やったね!クロ!)
「ああ…けどなんなんだ、ここは。好戦的な動物が多すぎる」
(ホントにね。言葉も通じないなんて初めてだよ。変なとこだよねェ~)
白い髪に金色の目をもつ少年は双剣を手にしたまま肩を諌める。彼の名はクロ。何かを感じたのか、空を見上げる。
グギャャャ!!!
「!――シロ!」
(うん!)
クロが名呼び、目を瞑った瞬間、白い髪が黒く染まる。先程よりもやわらいだ金色の目のシロが現れる。
シロとクロは“二人で一人”。この不思議な海、GLでも至極珍しい体質を持つ少年たちで、海の“郵便屋”を生業としている。
クロと入れ替わったシロは空を飛ぶ巨大な鳥を捉えた。
「“糊(コ)”!!そんでもって“切手(キッテ)”!!!」
ガチャンと双剣の柄をつなぐとブーメランに変わる。シロはそれを巨大な鳥に向かって投げた。
ヒュンヒュン…―――ズパァァン…!!!
ブーメランは弧を描き鳥を切り裂く。鳥は断末魔と共に地面に叩きつけられた。
そのすぐ後にブーメランは軌道を変えることなく、弧を描きシロの手に戻ってくる。
(やったな)
「うん!ねェ、クロクロ!この鳥さん、食べれるかなぁ?ボク、お腹すいたよ」
(ああ…まぁ、食えるだろうが…お前さっきこいつらと友達になりたいって言ってなかったか…??)
ブロロロロロ…!!
「!」
(!)
暢気な二人がいる遺跡の跡地に巨大なエンジン音が響いた。そちらに目を向けると、林からまるでバイクのように走るこれまた巨大なタコが現れる。
「タコさんだー!!」
(おいおい、デカすぎだろ!)
呆れるクロ。一方のシロは巨大なタコを見て首傾げた。
「あれあれ…?」
(なんだ?)
「あのタコさん、なんだか怯えてない?」
(怯えて……?!シロ、避けろ!!)
「―――“九鷺須(クロス)”」
「!」
身をサッとかがめたシロ。その頭の上をふっと風が撫でる。瞬間―――
ヒュンヒュン……ズパァーン!!!
「……???」
風が止み、顔を上げてみると、タコの動きが止まっていた。動かないタコを注意深く見るとタコは原型のまま輪切りされている。
「いつ我が主に背を向けることを許したのじゃ」
カツカツカツ…と林の中から黒いローブを羽織り、フードから銀色の柳腰の髪を覗かせた人物が現れた。
その手には細く繊細な白い刀を持っている。
ふと、フードがシロの方を見た。
「!う、あ…えっと、こんにちわ!!」
(…お、おい)
「……」
「あれ?これじゃなかった??」
言葉を発しない人物に、シロはあたふたする。慌てるシロを見兼ねた人物が言った。
「はて。主はおかしな気質を持つ人間じゃな。“二人”おるのか?」
「!」
(!)
シロとクロは驚く。
自分達が二人であることに出会っただけで気付いた人間は、彼らの師である“ジュラキュール・ミホーク”だけだったからだ。
「な、なんでわかったの!!?」
「?分からぬ訳あるまい。我は主らを“食糧”とする者じゃからじゃ」
(食糧??)
「??ええっと。それは、ど、どういう意味…??」
「フン…理解が足りぬ小僧共じゃ」
そう言うとその人物はフードに手をかける。フード下から出てきたのはサファイヤの瞳に人形の様な顔の青年。
傲慢な笑みを浮かべる青年の口元から覗く犬歯はやけにするどい。
「我が名はレ二―・レ二ゲイド。主ら人間を喰らう“吸血鬼”じゃ」
――――場所は変わって、冬ゾーン。
「ねェ」
「……」
「ねェったら!!」
「何だ?」
後ろから呼びかける声。白い髪に赤い瞳、銀ぶちの細いフレームの眼鏡をかけている男性は不機嫌そうに振り返る。
その視線の先には板チョコを食べる若い青年。
二人の足元に穴だらけの動物がいくつも転がっていた。
「やっと向いたね」
「……何の用だ」
「何の…って。だからさっきから言ってるじゃないか、キミは誰なの?って」
男性は人差し指と中指で眼鏡をおしあげる。
「……名乗る必要はない」
「いや、そこは名乗ろうよ。指銃(シガン)を使ってるってことは政府の人間だろ?」
「!!なぜ、それを」
男性は一層青年を警戒する。アルトはその視線を一蹴するように言った。
「僕はノティ・アルト。海軍本部中将だ。これも何回も言った」
くせの強い黒髪に緑の瞳の青年、ノティ・アルト。海軍本部中将にして“ゼロ”の異名を持つ近接のプロフェッショナル。
さらに最近得た悪魔の実の能力により“無血の中将”とも呼ばれている。
「……海兵か」
男性は納得したように声を発した。アルトは板チョコをかじる。
「そう。これなら名乗れるよね?」
「……。ライク・ルンペン、CPだ」
「ライク・ルンペン……!?CP9の?」
アルトは驚いた声をあげた。
ライク・ルンペン、彼は政府の諜報機関CP9のメンバーの一人で、悪魔の実でも世に珍しい“幻獣種”の能力者。
また生まれつき“狂人”という殺人衝動を持ち、発動中は視界にいるものを全て殺す“視界内殺人鬼”となる。CP9の主力の一人だ。
「だったら何だ?」
ルンペンは不機嫌なのを隠さず、アルトを突き放す様に言う。アルトはまた一口板チョコをかじり目をそらす。
何か思い出してるようだ。
「……。どうでもいいが、おれに関しての守秘義務は守ってもらう」
「!ああ、わかってるよ。CPの人間を公にはしない。でも、気になるな。CP9がなんでここに?」
「……」
黙るルンペン。それを見たアルトは可能性を口にする。
「例えば、サイクロンに巻き込まれたとか??」
「!!」
ルンペンの反応にアルトは納得したように頷く。
「……なるほど。じゃあ、状況は僕と同じって訳だね」
「同じ……?」
「ああ、僕もサイクロンに巻き込まれて気が付いたらここにいたんだ」
「……」
ルンペンは眉をひそめる。
「そんな偶然…」
「――ある訳ないって思ってる?」
「……。当たり前だ」
「だろうね。でも残念、それが事実だ」
アルトは板チョコの最後の欠片を口に入れた。
「……」
「まぁ、とりあえず協力しないかい?僕は原因を突き止めようと思ってるんだ」
「……」
眉をひそめるルンペン。美人な顔立ちのせいか、かなり怒っているように見える。
「?どうかしたの?あ、おなかすいたとか。チョコ食べるかい?」
「フン……面倒だ」
ルンペンはそれだけ言うと黒衣を翻し、スタスタと歩いて行く。その先へ行くと冬ゾーンを抜けるようだ。
「え!ちょっと!!……ハァ…これだからCP9は……」
アルトは大げさに肩をすくめると、歩いて行くルンペンの後を追った。
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