STRONG WORLD 渡り鳥×ゼロ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――――メルヴィユ “冬島”
さらわれたナミは、メルヴィユでも一際大きなこの冬島にある王宮に連れてこられていた。
そしてシキは、ナミを軟禁すると、自分の航海士となるように要求し続けた。
そんな今、ナミは王宮にあるプールでひと泳ぎしていた。
プールから上がったナミは、プールの窓から見える外の景色を見つめて呟く。
「みんなはどこにいるのかしら……」
助けに来てくれるという希望を捨ててないにしても、みんなの姿が見えないことに不安を感じざる負えない。
ナミは複雑な気持ちを抱えていた。
「よう、ベイビィ~ちゃぁん。考えてくれたか?」
「……」
ナミはシキを睨みつける。それは否定を表わしていた。しかしシキはそんなナミにも余裕の顔をみせる。
「シキ様! 新しい進化のカタチが出現しました! ごらんください!」
オナラの音をならして、Dr.インディゴが大きな鳥かごを抱えてやってきた。
籠の中には一羽の鳥が入っていた。トサカのついたアヒルみたいな、愛嬌のある姿をしている。
軽々と運ばれてきたが、大きさはダチョウほどもあった。
「え? ギター?」
「鳥だろ、どう見ても!」
ハイ、ウホッ―――っとシキ達三人はお約束のコントをすると、決めポーズでアピールをする。
ひどいスベリ具合にナミが硬直していると、思わぬオチが待っていた。
ビリビリビリビリビリッ!!
「「「ギャー!!!」」」
感電した三人は、おいしいリアクションをいただきながら地面にぶっ倒れた。
放電したのは籠の中の鳥だ。
「こんちきしょうが!」
怒ったシキが籠からエレキ鳥を引きずり出して乱暴にぶん投げる。
「ちょっと!」
あまりにも横暴なシキの態度に、ナミは鳥にとシキの間に割って入った。
「……進化? 今のが」
「はい。電撃技に特化したタイプでして……」
立ち上がったDr.インディゴがシキに説明する。
ナミはエレキ鳥を見ると、あらためてシキに向き直った。
「なによ、進化って……?」
「んん……? あァ、そうか。ベイビ~ちゃんは知らなかったな」
顎のひげを撫でると、シキは語り始めた。
かつてのメルヴィユ群島が海の上にあったときから、ここには独特の進化をとげた動物が棲みついていた。
動物達は危険な能力を持っていたが、見かけによらず習性は温厚なものがほとんどだった。
オリジナリティにあふれた進化の原因――――それは島固有種である、“とある植物”によるものだった。
「―――“IQ(アイキュー)”と名付けた、その植物を摂取すると、動物の脳……特に、防衛をつかさどる部分に作用し環境に応じた進化をうながす」
IQは鈴蘭の花に似た小さな草だ。それをつきとめたシキはまず、島中にあるIQを独占した。
「この島に住みつき二十年……! われわれはIQの研究と実験を積み重ね、新たな薬を発明したのだ!」
Dr.インディゴが懐から薬品の小瓶を取り出した。
「その名もSIQ(エスアイキュー)! この薬を動物に撃ち込むと、より戦闘的な進化を遂げる!
大量に投与すれば、さらに凶暴性を増すことも……!
この島……このメルヴィユ群島にはそうした動物達がうじゃうじゃるのだ!」
シキの研究チームは野生動物を狩り、注射銃でSIQを投与していったという。動物実験だ。
ナミは嫌悪感をいだいて眉をひそめた。
「なんのために、そんな……」
「いずれわかるさ。仲間になればな……」
「だから、そんなこと絶対……」
「なる……! おめェは、どうしたって自分からおれの航海士になりてェと懇願するようになるんだ。
そうしたらすべてを教えてやるさ……計画は、もうはじまっているんだ。
今は無理でも、仲間なら、聞いてやれる頼みってものがあるだろう? ジハハハハ……!」
お前の未来は、おれの手の中にある。そう言わんばかりのシキの言葉がナミは不快でたまらなかった。
ただ、今はシキの腹の底がまったく読めないため、黙って立ちつくすしかない。
「ウホ、ウホ、ウホッ!」
その沈黙を破って、突然スカーレットが自分の胸を叩きはじめた。
「え? この女をおれにくれって? 話が外れすぎだよ、このエロゴリラ!」
Dr.インディゴにたしなめられるスカーレットはさらにDr.インディゴに話す。
「ウホ、ウホッ、ウホ!」
「え? “こいつ”連れてきてたのか? もう必要ないってシキ様がいってただろ捨てとけよ」
「ウホッ!」
スカーレットはDr.インディゴの言葉に頷くと、後ろに立てかけるように置いていた何かに手を掛ける。
人程ある黒い何かをスカーレットはナミが泳いでいたプールに投げ込んだ。
バシャーーーン…!!
「なっ、何??」
「おーい、あいつ能力者だろ。死ぬぞ」
「ウホッ、ウホッ、ウホッ、ウホッ」
スカーレットは大きな声で笑う。そのゴリラ笑いにシキの目がハッと見開いた。
「!? 驚いた、“おばあちゃん”かと思った」
「どんだけゴリラ顔だよ、てめェの血統は!」
大忙しのDr.インディゴがシキにもツッコミを入れた。最後はハイ、ウホッ!―――で締めて、
ナミの拍手を誘おうとする。
「今、能力者って言ったわよね」
ナミはそんな三人をスルーして、プールに目を向ける。落とされた何かが上がって来る気配はない。
ナミは思い切ってプールに飛び込んだ。
「あ~あ。おれ達を無視するたぁ、ベイビ~ちゃんもまだまだだなぁ」
シキはニヤリと口をゆがめると、Dr.インディゴとスカーレットを連れ、去っていった。
ナミはプールに飛び込むと、すぐにその影を見つけた。
黒い髪に黒い服の男。その男の手を引っ張る。水の抵抗で時間はかかったが、
プールのサイドにあげることができた。
「ハァ、ハァ……。本当に人間だった」
ナミはプールサイドにあがると呼吸を整える。そして引き揚げた男の顔をみた。
「え……?」
ナミは驚愕した、その顔は“見たことがある”顔だったからだ。
「なんで、こいつがこんなとこにいるのよ」
そう言葉に出さずにいられなかった。なんせ目にいるのは海兵、しかも“ゼロ”の異名を持つ中将。
ウォーターセブン脱出時、ひょんなことから出逢った海兵。
ルフィ達ですら敵わない力を見せつけた男が、目を閉じたまま動かない。
ナミは驚きつつも、海兵を仰向けにし、心臓マッサージを行った。
その顔は海兵にして整っていたという印象があったが、今はあざのように緑の斑点がところどころに現れている。
『グッ、……ぶはっ』
海兵の口か水が吐き出される。
荒い息づかいではあるが、海兵、ノティ・アルトは意識を取り戻したようだ。
『はぁ……はぁ……』
「アンタ、大丈夫??」
『? ………あれ……キミは……麦わらクンの……』
「なんでこんなことになってるのよ! アンタみたいに強い奴が!!」
ナミは意識がまだ朦朧としているアルトに質問を畳みかける。
アルトは尋ねられた問いに鈍った頭を動かした。
そして、少しの間を経て、自分の失態を思い出した。
『ちょっと……油断……してね』
そう、自嘲すると、アルトはゆっくりとだが、ナミに自分がどうしてこうなったか話した。
.
さらわれたナミは、メルヴィユでも一際大きなこの冬島にある王宮に連れてこられていた。
そしてシキは、ナミを軟禁すると、自分の航海士となるように要求し続けた。
そんな今、ナミは王宮にあるプールでひと泳ぎしていた。
プールから上がったナミは、プールの窓から見える外の景色を見つめて呟く。
「みんなはどこにいるのかしら……」
助けに来てくれるという希望を捨ててないにしても、みんなの姿が見えないことに不安を感じざる負えない。
ナミは複雑な気持ちを抱えていた。
「よう、ベイビィ~ちゃぁん。考えてくれたか?」
「……」
ナミはシキを睨みつける。それは否定を表わしていた。しかしシキはそんなナミにも余裕の顔をみせる。
「シキ様! 新しい進化のカタチが出現しました! ごらんください!」
オナラの音をならして、Dr.インディゴが大きな鳥かごを抱えてやってきた。
籠の中には一羽の鳥が入っていた。トサカのついたアヒルみたいな、愛嬌のある姿をしている。
軽々と運ばれてきたが、大きさはダチョウほどもあった。
「え? ギター?」
「鳥だろ、どう見ても!」
ハイ、ウホッ―――っとシキ達三人はお約束のコントをすると、決めポーズでアピールをする。
ひどいスベリ具合にナミが硬直していると、思わぬオチが待っていた。
ビリビリビリビリビリッ!!
「「「ギャー!!!」」」
感電した三人は、おいしいリアクションをいただきながら地面にぶっ倒れた。
放電したのは籠の中の鳥だ。
「こんちきしょうが!」
怒ったシキが籠からエレキ鳥を引きずり出して乱暴にぶん投げる。
「ちょっと!」
あまりにも横暴なシキの態度に、ナミは鳥にとシキの間に割って入った。
「……進化? 今のが」
「はい。電撃技に特化したタイプでして……」
立ち上がったDr.インディゴがシキに説明する。
ナミはエレキ鳥を見ると、あらためてシキに向き直った。
「なによ、進化って……?」
「んん……? あァ、そうか。ベイビ~ちゃんは知らなかったな」
顎のひげを撫でると、シキは語り始めた。
かつてのメルヴィユ群島が海の上にあったときから、ここには独特の進化をとげた動物が棲みついていた。
動物達は危険な能力を持っていたが、見かけによらず習性は温厚なものがほとんどだった。
オリジナリティにあふれた進化の原因――――それは島固有種である、“とある植物”によるものだった。
「―――“IQ(アイキュー)”と名付けた、その植物を摂取すると、動物の脳……特に、防衛をつかさどる部分に作用し環境に応じた進化をうながす」
IQは鈴蘭の花に似た小さな草だ。それをつきとめたシキはまず、島中にあるIQを独占した。
「この島に住みつき二十年……! われわれはIQの研究と実験を積み重ね、新たな薬を発明したのだ!」
Dr.インディゴが懐から薬品の小瓶を取り出した。
「その名もSIQ(エスアイキュー)! この薬を動物に撃ち込むと、より戦闘的な進化を遂げる!
大量に投与すれば、さらに凶暴性を増すことも……!
この島……このメルヴィユ群島にはそうした動物達がうじゃうじゃるのだ!」
シキの研究チームは野生動物を狩り、注射銃でSIQを投与していったという。動物実験だ。
ナミは嫌悪感をいだいて眉をひそめた。
「なんのために、そんな……」
「いずれわかるさ。仲間になればな……」
「だから、そんなこと絶対……」
「なる……! おめェは、どうしたって自分からおれの航海士になりてェと懇願するようになるんだ。
そうしたらすべてを教えてやるさ……計画は、もうはじまっているんだ。
今は無理でも、仲間なら、聞いてやれる頼みってものがあるだろう? ジハハハハ……!」
お前の未来は、おれの手の中にある。そう言わんばかりのシキの言葉がナミは不快でたまらなかった。
ただ、今はシキの腹の底がまったく読めないため、黙って立ちつくすしかない。
「ウホ、ウホ、ウホッ!」
その沈黙を破って、突然スカーレットが自分の胸を叩きはじめた。
「え? この女をおれにくれって? 話が外れすぎだよ、このエロゴリラ!」
Dr.インディゴにたしなめられるスカーレットはさらにDr.インディゴに話す。
「ウホ、ウホッ、ウホ!」
「え? “こいつ”連れてきてたのか? もう必要ないってシキ様がいってただろ捨てとけよ」
「ウホッ!」
スカーレットはDr.インディゴの言葉に頷くと、後ろに立てかけるように置いていた何かに手を掛ける。
人程ある黒い何かをスカーレットはナミが泳いでいたプールに投げ込んだ。
バシャーーーン…!!
「なっ、何??」
「おーい、あいつ能力者だろ。死ぬぞ」
「ウホッ、ウホッ、ウホッ、ウホッ」
スカーレットは大きな声で笑う。そのゴリラ笑いにシキの目がハッと見開いた。
「!? 驚いた、“おばあちゃん”かと思った」
「どんだけゴリラ顔だよ、てめェの血統は!」
大忙しのDr.インディゴがシキにもツッコミを入れた。最後はハイ、ウホッ!―――で締めて、
ナミの拍手を誘おうとする。
「今、能力者って言ったわよね」
ナミはそんな三人をスルーして、プールに目を向ける。落とされた何かが上がって来る気配はない。
ナミは思い切ってプールに飛び込んだ。
「あ~あ。おれ達を無視するたぁ、ベイビ~ちゃんもまだまだだなぁ」
シキはニヤリと口をゆがめると、Dr.インディゴとスカーレットを連れ、去っていった。
ナミはプールに飛び込むと、すぐにその影を見つけた。
黒い髪に黒い服の男。その男の手を引っ張る。水の抵抗で時間はかかったが、
プールのサイドにあげることができた。
「ハァ、ハァ……。本当に人間だった」
ナミはプールサイドにあがると呼吸を整える。そして引き揚げた男の顔をみた。
「え……?」
ナミは驚愕した、その顔は“見たことがある”顔だったからだ。
「なんで、こいつがこんなとこにいるのよ」
そう言葉に出さずにいられなかった。なんせ目にいるのは海兵、しかも“ゼロ”の異名を持つ中将。
ウォーターセブン脱出時、ひょんなことから出逢った海兵。
ルフィ達ですら敵わない力を見せつけた男が、目を閉じたまま動かない。
ナミは驚きつつも、海兵を仰向けにし、心臓マッサージを行った。
その顔は海兵にして整っていたという印象があったが、今はあざのように緑の斑点がところどころに現れている。
『グッ、……ぶはっ』
海兵の口か水が吐き出される。
荒い息づかいではあるが、海兵、ノティ・アルトは意識を取り戻したようだ。
『はぁ……はぁ……』
「アンタ、大丈夫??」
『? ………あれ……キミは……麦わらクンの……』
「なんでこんなことになってるのよ! アンタみたいに強い奴が!!」
ナミは意識がまだ朦朧としているアルトに質問を畳みかける。
アルトは尋ねられた問いに鈍った頭を動かした。
そして、少しの間を経て、自分の失態を思い出した。
『ちょっと……油断……してね』
そう、自嘲すると、アルトはゆっくりとだが、ナミに自分がどうしてこうなったか話した。
.