全部が夢でよかったのに
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
懐かしい思い出だ。アルトと出会った初めての日のこと。今の今まで忘れていたのに…何故今、思い出したのだろうか。
この目の前にいる昔と変わらない後ろ姿を見たせいだろうか
『~~~♪』
「その歌はお前の作詞作曲か?」
アルトはその声に後ろに振り向く、声をかけたのはドレーク。アルトはドレークを見ると笑顔になった。
初めて出会った頃に比べると表情は幾分柔らかく、パッと見ても笑っていることがわかる。
『やあ、これはこれは“赤旗”のドレーク殿じゃないか』
「……久しぶりだな、アルト」
『ああ。とても懐かしい、逢えて嬉しいよ』
「………?」
ドレークはアルトに妙な違和感を感じる。
「(本当にこれがアルトか…? 何か昔と違う…)」
「ドレーク船長!!」
「どうしましたか!!? 船長!!」
ドレークのクルー達が集まってくる。アルトはニヤッと笑う。
『久しぶりだね。海賊団の皆さん』
「「「!!」」」
「ノティ少将……」
クルー達はドレークの元部下、つまり海軍だった。アルトの存在に驚きを隠せない。アルトは口角をあげた。
『クスクス…どうしたの? もっと喜んでほしいな。せっかく久々に会ったのに』
「「「………」」」
アルトは笑う。クルーの一人が声を張り上げた。
「ノティ少将!! なぜあなたがここに!!?」
それに答えず、アルトは笑った顔のまま言う。
『ああ…残念だけど、僕は今、“中将”なんだよ』
「!!?」
「それは本当なのか…アルト…?」
流石に驚いたドレークが尋ねる。自分の知っているこの男は昇進を望んでいなかったはず。ドレークは答えを求め、アルトを見る。
一方アルトは一瞬にして表情が無くなりドレークを見下すように、吐き捨てるように言った。
『アンタが消えたから代わりに昇進したんだ』
「……!!」
『不思議だよね、海軍って。代わりを簡単に立てるんだ。こんな僕も一個小隊の隊長だったんだよ』
アルトは淋しそうな目をする。ドレークはある言葉が気になった。
「…待て…今“だった”と言ったな? どういうことだ??」
『…壊滅したんだ。少し前にね』
「……!!?」
『僕が弱いから。彼らを救えなかった』
「アルト……」
突然ジャキンっと銃をドレークに向けるアルト。クルーの一人が、船長!!っと銃をアルトに構える。
「ノティ…少将、銃を下ろしてください」
『撃ちなよ。撃たなきゃドレークを撃つよ』
「……!!?」
『早く。大丈夫、僕は“死なない”から』
「やめろ撃つな!!」
ドレークが部下に言う。しかしクルーはアルトのトリガーが引かれていくのが見えた。
「やっ、やめろ!!」
バンッ!!
クルーの銃口から白い煙が一筋立つ。
「………」
ドレークはクルーが命令を聞かず撃ったことよりも、目の前の現実に目を見開く。
『ねっ、“死なない”って言ったでしょ』
アルトに向けられた弾丸はまるで時が止まったかの様に空中に浮いていた。
「……アルト…お前、まさか」
『そうだよ』
アルトはドレークの言葉をくみ取り返事をする。 そしてアルトは嬉しそうに笑い、言った。
『僕もキミと…ドレークと同じ悪魔の実の能力者になったんだ』
「まさか、海軍がお前にそんなことをするなんて…」
ドレークは驚きを隠せず、少し怒りがこもった言葉を発する。
『何を怒っているの?僕は嬉しかったよ。能力者になってから、すぐに僕の小隊を潰した海賊を消せたもの』
「…………」
この世に神はいないのだろうか。
この純粋な青年を狂気へ駆り立ててしまった原因はなんだ…
「おれのせいなのか……アルト…?」
『違うよ』
ドレークの自問に似た問いにアルトは即、否定する。
『僕が望んでなったんだ。中将にも、悪魔の実の能力者にも……』
「!!?」
『僕は強くなりたかった。ただそれだけだよ』
アルトは銀色の銃を握りなおす。やけに澄んだ目をしてドレークを見た。
『そうそうアンタが裏切った日に僕は言ったよね』
いつか来るとは思っていた
アルトが自分に遊びではなく、本当に銃を向ける日が来ると
『今日は逃がしてあげるよ。でも次に、逢うときは一切容赦はしない。もうキミを友だとも思わない…』
自分は裏切った。
初めての友人だと喜んでいたお前を。
辛くないはずないのに別れたあの日、お前は今みたいな澄んだ目をおれに向けていた。
『さよなら、ドレーククン』
そこは昔と変わらないのか……
アルトの言葉を聞きながらドレークは静かにその日のことを思い出した。同時にアルトを裏切ったことをあれだけ嘆いていた自分を忘れていたことも思い出す。
『ドレーク。アンタを殺せば今までが全て夢だったって思える気がするんだ』
「………」
ドレークは武器を取り、アルトに向ける。実現してほしくなかった現実。
『僕はアンタを捕まえるつもりはない……さァ、始めよう。殺し合いを!!』
だが、逃れられない現実。
この状況が夢ならどれだけいいと思ったか
お前と笑いあえることが、日々が、還ってくればと…
ドレークは思う。しかし今ある現実に、アルトに立ち向かわなければいけない。
「アルト。おれは、まだお前を救えるか?」
ドレークのその言葉にアルトは笑った。
⇒あとがき
この目の前にいる昔と変わらない後ろ姿を見たせいだろうか
『~~~♪』
「その歌はお前の作詞作曲か?」
アルトはその声に後ろに振り向く、声をかけたのはドレーク。アルトはドレークを見ると笑顔になった。
初めて出会った頃に比べると表情は幾分柔らかく、パッと見ても笑っていることがわかる。
『やあ、これはこれは“赤旗”のドレーク殿じゃないか』
「……久しぶりだな、アルト」
『ああ。とても懐かしい、逢えて嬉しいよ』
「………?」
ドレークはアルトに妙な違和感を感じる。
「(本当にこれがアルトか…? 何か昔と違う…)」
「ドレーク船長!!」
「どうしましたか!!? 船長!!」
ドレークのクルー達が集まってくる。アルトはニヤッと笑う。
『久しぶりだね。海賊団の皆さん』
「「「!!」」」
「ノティ少将……」
クルー達はドレークの元部下、つまり海軍だった。アルトの存在に驚きを隠せない。アルトは口角をあげた。
『クスクス…どうしたの? もっと喜んでほしいな。せっかく久々に会ったのに』
「「「………」」」
アルトは笑う。クルーの一人が声を張り上げた。
「ノティ少将!! なぜあなたがここに!!?」
それに答えず、アルトは笑った顔のまま言う。
『ああ…残念だけど、僕は今、“中将”なんだよ』
「!!?」
「それは本当なのか…アルト…?」
流石に驚いたドレークが尋ねる。自分の知っているこの男は昇進を望んでいなかったはず。ドレークは答えを求め、アルトを見る。
一方アルトは一瞬にして表情が無くなりドレークを見下すように、吐き捨てるように言った。
『アンタが消えたから代わりに昇進したんだ』
「……!!」
『不思議だよね、海軍って。代わりを簡単に立てるんだ。こんな僕も一個小隊の隊長だったんだよ』
アルトは淋しそうな目をする。ドレークはある言葉が気になった。
「…待て…今“だった”と言ったな? どういうことだ??」
『…壊滅したんだ。少し前にね』
「……!!?」
『僕が弱いから。彼らを救えなかった』
「アルト……」
突然ジャキンっと銃をドレークに向けるアルト。クルーの一人が、船長!!っと銃をアルトに構える。
「ノティ…少将、銃を下ろしてください」
『撃ちなよ。撃たなきゃドレークを撃つよ』
「……!!?」
『早く。大丈夫、僕は“死なない”から』
「やめろ撃つな!!」
ドレークが部下に言う。しかしクルーはアルトのトリガーが引かれていくのが見えた。
「やっ、やめろ!!」
バンッ!!
クルーの銃口から白い煙が一筋立つ。
「………」
ドレークはクルーが命令を聞かず撃ったことよりも、目の前の現実に目を見開く。
『ねっ、“死なない”って言ったでしょ』
アルトに向けられた弾丸はまるで時が止まったかの様に空中に浮いていた。
「……アルト…お前、まさか」
『そうだよ』
アルトはドレークの言葉をくみ取り返事をする。 そしてアルトは嬉しそうに笑い、言った。
『僕もキミと…ドレークと同じ悪魔の実の能力者になったんだ』
「まさか、海軍がお前にそんなことをするなんて…」
ドレークは驚きを隠せず、少し怒りがこもった言葉を発する。
『何を怒っているの?僕は嬉しかったよ。能力者になってから、すぐに僕の小隊を潰した海賊を消せたもの』
「…………」
この世に神はいないのだろうか。
この純粋な青年を狂気へ駆り立ててしまった原因はなんだ…
「おれのせいなのか……アルト…?」
『違うよ』
ドレークの自問に似た問いにアルトは即、否定する。
『僕が望んでなったんだ。中将にも、悪魔の実の能力者にも……』
「!!?」
『僕は強くなりたかった。ただそれだけだよ』
アルトは銀色の銃を握りなおす。やけに澄んだ目をしてドレークを見た。
『そうそうアンタが裏切った日に僕は言ったよね』
いつか来るとは思っていた
アルトが自分に遊びではなく、本当に銃を向ける日が来ると
『今日は逃がしてあげるよ。でも次に、逢うときは一切容赦はしない。もうキミを友だとも思わない…』
自分は裏切った。
初めての友人だと喜んでいたお前を。
辛くないはずないのに別れたあの日、お前は今みたいな澄んだ目をおれに向けていた。
『さよなら、ドレーククン』
そこは昔と変わらないのか……
アルトの言葉を聞きながらドレークは静かにその日のことを思い出した。同時にアルトを裏切ったことをあれだけ嘆いていた自分を忘れていたことも思い出す。
『ドレーク。アンタを殺せば今までが全て夢だったって思える気がするんだ』
「………」
ドレークは武器を取り、アルトに向ける。実現してほしくなかった現実。
『僕はアンタを捕まえるつもりはない……さァ、始めよう。殺し合いを!!』
だが、逃れられない現実。
この状況が夢ならどれだけいいと思ったか
お前と笑いあえることが、日々が、還ってくればと…
ドレークは思う。しかし今ある現実に、アルトに立ち向かわなければいけない。
「アルト。おれは、まだお前を救えるか?」
ドレークのその言葉にアルトは笑った。
⇒あとがき