お手紙届けます!
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『こんにちわ! 郵便屋で~す!』
GL のとある島。そこに一際明るい笑顔で手紙を届ける少年がいた。
【お手紙届けます!】
『ありがとうごさいましたぁ!』
カランと鈴が揺れるドアを開け店を出る少年。丁寧に店の主人にお辞儀をするその手には、“受領”と書かれた大きなハンコが押された紙の束。お辞儀から顔をあげた少年は金の瞳に黒い髪を持ち、人懐っこい笑顔を見せた。
『失礼しまぁ~す!』
仕事を終えた少年はそう言って店を後にすると、自分の船に戻るため歩き始める。ふと見上げた空は嘘みたいにいい天気で、少年は太陽の陽を浴びながらんっと背伸びをした。
『いやぁ~見つかって良かったねェ』
(シロ、声がでかい。怪しまれるぞ)
『!』
シロと呼ばれた黒髪の少年は辺りを見渡す。幸いシロの言葉を聞いた者はいなかった。
『ごめんねェ、クロ。僕、またうっかりしてた』
(わかったならいいさ)
シロは胸に手を当てながら真摯に謝罪する。先程からシロと会話しているのはクロ。現在“副人格”の立場にいる少年だ。シロとクロはまったく違う人格を持っているのに関わらず、身体は1つというGL でも珍しい体質をしている。
(今回は捜すのに手間取ったな)
『うんうん! でもさ、喜んでくれてたよね!すごく嬉しいねェ~』
(そうだな。探した甲斐があった)
シロとクロはとても仲がいい。人格同士の対立がないのも、この体質を保つ重要な要素となっていた。二人は互いに互いを尊重し、信頼している。
そんな二人は“一人で二人”をモットーに、GL と4つの海を駆けまわり手紙を届ける“郵便屋”を生業にしていた。今はちょうど配達を終えた所だ。
『ねェ、クロ。今何時?』
(……。10時15分23秒だ)
『わぁ! いいくらいだねェ~』
シロは嬉しそうな声を上げる。クロの体内時計は何よりも正確で、船で旅をする二人にとって欠かせないものだ。
(昼はどこで食べる気だ?)
『もちろん、イーストブルーで一番おいしいとこ!』
(バラティエか。確かに到着は昼になるな)
『うん! 右斜めに海を越えればバラティエだよ!』
シロはニコニコしながら言う。クロが体内時計ならば、シロは方向感覚が非常に優れていた。シロは磁石顔負けに自分が今どの方角に立っているか、どの位置にいるか正確に感知出来る。これも手紙を配達している二人には欠かせないものとなっていた。
『あ、ニューズクー氏だ!』
シロはそう言うと、空に向けて手を振った。ニューズクーはGL や4つの海に日夜新聞を届けるカモメ達だ。今、まさに二人の見上げる空をゆったりと飛んでいた。ニューズクーは手を振るシロを見つけると、降りて来る。
「クエ!」
『こんにちわ! ニューズクー氏、いつもご苦労様!』
ニューズクーに頭を下げるシロ。ニューズクーも頭を下げ挨拶をした。
『今日の新聞もらっていい?』
「クエ!」
『ありがとう! じゃあね』
新聞を購入し、別れを告げると自分達の船へ乗り込んだ。
イーストブルー海上レストラン:バラティエ。
『よいしょっと』
シロは船をバラティエに引っ掛ける。今日は他の船はいないのか、ガラガラだった。
『ガラガラだねェ~』
(そうだな)
「いらっしゃいませ、イカ野郎!」
『あ、こんにちわ!』
店内に入った二人をバラティエの料理人らしい野太い声で歓迎される。店内も外と同様客が入っていなかった。
「なんだ、郵便屋のチビじゃねェか」
『あ~、お客にそんな言い方しちゃダメだよぉ、パティ氏ィ!』
バラティエのシェフ、パティが歓迎ムードから一転、気の抜けた顔になる。シロはそんなパティを注意すると パティは口を尖らせた。
「へっ。てめェは客って感じじゃねェからな。オラ、好きなとこに座んな」
『はいはぁい』
(……相変わらずだな)
『そだね~。クロ、今日はどこがいい?』
(そうだな。海が見える場所がいい)
『わかった。じゃあ、あそこね』
シロは海の見える窓側に席を取ると、メニュー表を開く。注文票を持って来たパティにメニューの上からをなぞるように注文していった。
(デザートはひとつにしろよ)
『ええ!?』
「?」
クロはデザートの欄に指を向けたシロに先に釘をさした。
(お前はいつも食い過ぎるからな)
『む~。じゃあ、デザートはスペシャルミックスバケツパフェで』
(ホットミルクも付けてくれ)
『あと、クロがホットミルクだって』
(シロの食後にな)
『ぼくの食後でよろしく!』
「あいよ」
パティは手元の注文票にガリガリとシロの注文を書くと、厨房に行った。
しばらくして注文の品がテーブルに並ぶ。一人では食べれないような量がテーブルを埋め尽くしていた。
『いただきます!』
(ゆっくり食えよ)
『はぁい!』
シロは元気よく返事をすると合わせていた手を離すとモグモグと食べ始めた。
「“こんな時”によくそんな食欲が出るもんだな」
『!』
(!)
食事が進み、デザートを食べていたシロとクロの前にバラティエのオーナーシェフ、ゼフが顔を出した。
『あ、こんにちわ! ゼフ氏ィ』
「おう」
ゼフは軽く挨拶すると、シロ達の向かいの席に座る。
「あの気にくわねぇガキは元気か?」
『?? ああ、クロのこと? 元気だよ!ね、クロ!』
(答えてから、おれに聞くな)
『うはっ……そりゃそうだ。失態失態』
シロはハハハと笑い、パフェを食べる。
「フン。相変わらずだな、お前らは」
『うん。ぼくらはいつでもおんなじ。いつも一緒なの!』
シロはバケツパフェの最後の一口食べる。そして手を合わせた。
「で、お前らは行かなくていいのか?―――“海軍本部”に」
ゼフの言葉にシロは苦笑する。
『………ゼフ氏ィ、ぼくらは“七武海”じゃないよ』
(行く理由がないな)
「だが、あの“鷹の目”が見込んだ男なんだろ?」
『ん~見込まれてるかはわからないけど、ぼくらは手紙を届けるのがお仕事だから』
「仕事か。そういやぁ、なんでこんな海で郵便屋をしてんだ?」
『それは…』
フッとシロの黒い髪から色素がなくなり白い髪になる。開いた瞳は相変わらず金色だが先程の柔らかい雰囲気はなくなった。
これはクロが出てきたことを示す。
『ジジィには関係ねェな』
(わわっ!クロ!? びっくりした、急に替わるんだもん)
『すまない。ホットミルクが飲みたくてな』
クロはそう言うと、テーブルに置かれたホットミルクに口をつける。
「ジジィか久々に聞いたな。てめェがあのチビナスに見えるぜ」
『とうとう目でも悪くしたか、アンタは』
(クロ!! そんなこと言っちゃダメだよ!)
『……フン』
クロはホットミルクを飲み干すと、目を瞑る。すると白かった髪が黒くなる。シロが主人格に戻ったようだ。
『あれれ? クロ、もういいの?』
(ああ、寝る)
『あ、わかった! おやすみ~』
(おやすみ)
「……」
(……)
シロは胸に手を当て、クロが寝たか確かめる。
「クロは寝たのか?」
『うん。今寝たよ』
「よく寝るな」
『クロはね。“中”にいることが多いから眠たくなるみたい』
「……そうか」
『ねェ、ゼフ氏ィ。ぼくら今日の新聞は見たけど“火拳の処刑”は明後日でしょ??』
シロは辺りを見渡しながら言う。どうやら客が入ってないのが気になるようだ。ゼフはひげを触る。
「不安や恐怖は人に付きまとう。みんな、レストランで食事どころじゃねェんだろう」
『そっか』
ゼフの言葉にシロはふむ…と考えるように腕を組んだ。それから少しして決心を示したかのようにシロは手を叩く。
『……よし! ぼくらは配達を頑張る』
「なんだ、やけに熱心じゃねェか」
『こういう時にこそ必要なんだよ、手紙は。不安や恐い気持ちでいっぱいな時は大切な人に会いたくなる。ぼくらはそれの手助けをするんだ』
「……それがお前らの信念ってやつか」
『うん! ぼくらは配達を頼まれたこの手紙達を責任持って届ける。それがぼく達二人の決めたことなんだ』
そう言うとシロは改めて手を合わしごちそうさまと言うと、ゼフにお金を渡した。
「行くのか?」
『うん。今持ってるお手紙はほとんどGL なの。また明日から届けるためにも今日中には入りたいなァって』
「……。土産をつけてやる。ちょっと待ってろ」
『本当!? やったー―!!』
シロは両手をあげて喜んだ。
【お手紙届けます!】
『ありがとうごさいましたぁ!』
カランと鈴が揺れるドアを開け店を出る少年。丁寧に店の主人にお辞儀をするその手には、“受領”と書かれた大きなハンコが押された紙の束。お辞儀から顔をあげた少年は金の瞳に黒い髪を持ち、人懐っこい笑顔を見せた。
『失礼しまぁ~す!』
仕事を終えた少年はそう言って店を後にすると、自分の船に戻るため歩き始める。ふと見上げた空は嘘みたいにいい天気で、少年は太陽の陽を浴びながらんっと背伸びをした。
『いやぁ~見つかって良かったねェ』
(シロ、声がでかい。怪しまれるぞ)
『!』
シロと呼ばれた黒髪の少年は辺りを見渡す。幸いシロの言葉を聞いた者はいなかった。
『ごめんねェ、クロ。僕、またうっかりしてた』
(わかったならいいさ)
シロは胸に手を当てながら真摯に謝罪する。先程からシロと会話しているのはクロ。現在“副人格”の立場にいる少年だ。シロとクロはまったく違う人格を持っているのに関わらず、身体は1つという
(今回は捜すのに手間取ったな)
『うんうん! でもさ、喜んでくれてたよね!すごく嬉しいねェ~』
(そうだな。探した甲斐があった)
シロとクロはとても仲がいい。人格同士の対立がないのも、この体質を保つ重要な要素となっていた。二人は互いに互いを尊重し、信頼している。
そんな二人は“一人で二人”をモットーに、
『ねェ、クロ。今何時?』
(……。10時15分23秒だ)
『わぁ! いいくらいだねェ~』
シロは嬉しそうな声を上げる。クロの体内時計は何よりも正確で、船で旅をする二人にとって欠かせないものだ。
(昼はどこで食べる気だ?)
『もちろん、イーストブルーで一番おいしいとこ!』
(バラティエか。確かに到着は昼になるな)
『うん! 右斜めに海を越えればバラティエだよ!』
シロはニコニコしながら言う。クロが体内時計ならば、シロは方向感覚が非常に優れていた。シロは磁石顔負けに自分が今どの方角に立っているか、どの位置にいるか正確に感知出来る。これも手紙を配達している二人には欠かせないものとなっていた。
『あ、ニューズクー氏だ!』
シロはそう言うと、空に向けて手を振った。ニューズクーは
「クエ!」
『こんにちわ! ニューズクー氏、いつもご苦労様!』
ニューズクーに頭を下げるシロ。ニューズクーも頭を下げ挨拶をした。
『今日の新聞もらっていい?』
「クエ!」
『ありがとう! じゃあね』
新聞を購入し、別れを告げると自分達の船へ乗り込んだ。
イーストブルー海上レストラン:バラティエ。
『よいしょっと』
シロは船をバラティエに引っ掛ける。今日は他の船はいないのか、ガラガラだった。
『ガラガラだねェ~』
(そうだな)
「いらっしゃいませ、イカ野郎!」
『あ、こんにちわ!』
店内に入った二人をバラティエの料理人らしい野太い声で歓迎される。店内も外と同様客が入っていなかった。
「なんだ、郵便屋のチビじゃねェか」
『あ~、お客にそんな言い方しちゃダメだよぉ、パティ氏ィ!』
バラティエのシェフ、パティが歓迎ムードから一転、気の抜けた顔になる。シロはそんなパティを注意すると パティは口を尖らせた。
「へっ。てめェは客って感じじゃねェからな。オラ、好きなとこに座んな」
『はいはぁい』
(……相変わらずだな)
『そだね~。クロ、今日はどこがいい?』
(そうだな。海が見える場所がいい)
『わかった。じゃあ、あそこね』
シロは海の見える窓側に席を取ると、メニュー表を開く。注文票を持って来たパティにメニューの上からをなぞるように注文していった。
(デザートはひとつにしろよ)
『ええ!?』
「?」
クロはデザートの欄に指を向けたシロに先に釘をさした。
(お前はいつも食い過ぎるからな)
『む~。じゃあ、デザートはスペシャルミックスバケツパフェで』
(ホットミルクも付けてくれ)
『あと、クロがホットミルクだって』
(シロの食後にな)
『ぼくの食後でよろしく!』
「あいよ」
パティは手元の注文票にガリガリとシロの注文を書くと、厨房に行った。
しばらくして注文の品がテーブルに並ぶ。一人では食べれないような量がテーブルを埋め尽くしていた。
『いただきます!』
(ゆっくり食えよ)
『はぁい!』
シロは元気よく返事をすると合わせていた手を離すとモグモグと食べ始めた。
「“こんな時”によくそんな食欲が出るもんだな」
『!』
(!)
食事が進み、デザートを食べていたシロとクロの前にバラティエのオーナーシェフ、ゼフが顔を出した。
『あ、こんにちわ! ゼフ氏ィ』
「おう」
ゼフは軽く挨拶すると、シロ達の向かいの席に座る。
「あの気にくわねぇガキは元気か?」
『?? ああ、クロのこと? 元気だよ!ね、クロ!』
(答えてから、おれに聞くな)
『うはっ……そりゃそうだ。失態失態』
シロはハハハと笑い、パフェを食べる。
「フン。相変わらずだな、お前らは」
『うん。ぼくらはいつでもおんなじ。いつも一緒なの!』
シロはバケツパフェの最後の一口食べる。そして手を合わせた。
「で、お前らは行かなくていいのか?―――“海軍本部”に」
ゼフの言葉にシロは苦笑する。
『………ゼフ氏ィ、ぼくらは“七武海”じゃないよ』
(行く理由がないな)
「だが、あの“鷹の目”が見込んだ男なんだろ?」
『ん~見込まれてるかはわからないけど、ぼくらは手紙を届けるのがお仕事だから』
「仕事か。そういやぁ、なんでこんな海で郵便屋をしてんだ?」
『それは…』
フッとシロの黒い髪から色素がなくなり白い髪になる。開いた瞳は相変わらず金色だが先程の柔らかい雰囲気はなくなった。
これはクロが出てきたことを示す。
『ジジィには関係ねェな』
(わわっ!クロ!? びっくりした、急に替わるんだもん)
『すまない。ホットミルクが飲みたくてな』
クロはそう言うと、テーブルに置かれたホットミルクに口をつける。
「ジジィか久々に聞いたな。てめェがあのチビナスに見えるぜ」
『とうとう目でも悪くしたか、アンタは』
(クロ!! そんなこと言っちゃダメだよ!)
『……フン』
クロはホットミルクを飲み干すと、目を瞑る。すると白かった髪が黒くなる。シロが主人格に戻ったようだ。
『あれれ? クロ、もういいの?』
(ああ、寝る)
『あ、わかった! おやすみ~』
(おやすみ)
「……」
(……)
シロは胸に手を当て、クロが寝たか確かめる。
「クロは寝たのか?」
『うん。今寝たよ』
「よく寝るな」
『クロはね。“中”にいることが多いから眠たくなるみたい』
「……そうか」
『ねェ、ゼフ氏ィ。ぼくら今日の新聞は見たけど“火拳の処刑”は明後日でしょ??』
シロは辺りを見渡しながら言う。どうやら客が入ってないのが気になるようだ。ゼフはひげを触る。
「不安や恐怖は人に付きまとう。みんな、レストランで食事どころじゃねェんだろう」
『そっか』
ゼフの言葉にシロはふむ…と考えるように腕を組んだ。それから少しして決心を示したかのようにシロは手を叩く。
『……よし! ぼくらは配達を頑張る』
「なんだ、やけに熱心じゃねェか」
『こういう時にこそ必要なんだよ、手紙は。不安や恐い気持ちでいっぱいな時は大切な人に会いたくなる。ぼくらはそれの手助けをするんだ』
「……それがお前らの信念ってやつか」
『うん! ぼくらは配達を頼まれたこの手紙達を責任持って届ける。それがぼく達二人の決めたことなんだ』
そう言うとシロは改めて手を合わしごちそうさまと言うと、ゼフにお金を渡した。
「行くのか?」
『うん。今持ってるお手紙はほとんど
「……。土産をつけてやる。ちょっと待ってろ」
『本当!? やったー―!!』
シロは両手をあげて喜んだ。