“約束”は彼を縛る鎖となる
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その翌日
敦が目を覚まし、皆に安堵の空気が漂う。敦も起きたばかりの身体を動かし、いつも通りの調子を戻していた。
「敦さん」
「心さん!」
「ご無事でなによりです」
外から帰ってきた心は席に着いている敦に声をかけた。
「心さんは大丈夫でしたか?」
「はい。僕は何にもお役に立てませんでした」
眉を下げる心。敦は両手を振りそれを否定する。
「そんなこと!! 聞きました追いついてくれたって。ありがとうございました!!」
心はニコッと笑った。敦はふと、心の手に持っている資料に目をやる。
「ところでその資料は?」
「あ、これは彼女の異能について調査記録です」
「?」
「社長から許可をいただき、彼女の異能について調査をしていました。彼女の思考を少し読んだりもさせていただいたので、おおよそ掴めたかなーと言うところなのですが…」
「思考を読むって?」
「ええ。ロシア遠征で身につけた新しい異能で、彼女の記憶を少し覗かせていただきました」
「え…!?」
「かなりお辛いことになっていたようです」
「見たんですか、人の記憶を」
「はい。彼女の異能について手掛かりになればと…。あと、彼女の記憶について少し気にある事がありますので彼女の目が覚めたら確認したいと思います」
「……」
「あ! そうだ、敦さん。調査して一応僕なりに仮説を立てたのですが、実際彼女の異能を見た敦さんの見解も……」
聞かせてほしい。
そう言いかけて、心は閉口した。敦の瞳の揺らぎから、怒りを感じたからだ。
「敦、さ…」
「ーーー彼女よりも異能が大切ですか?」
「えっ……」
「彼女は異能で苦しんでいた!! 勝手に自分の異能を使われていて!! そんな彼女の記憶を覗いたって!!!」
敦の声は事務所中に響いた。事務員達が固まる。心は慌てた。
「そ、それは! 彼女の異能を理解するためで。本当にもう少しで解明できそうなんです……そうすれば彼女が異能を…」
「解明って、“能力のコピー”のためですか?」
「!」
「心さん、おかしいのわかってます? 異能なんかよりも、彼女のことを心配するのが普通じゃないですか!! なのに貴方はさっきから異能異能って、いくら異能が好きだからって“人としてどうなんですか”!!?」
「!!……」
「もう、彼女に関わらないでください!!」
「……それは」
「?」
「……。…敦さんとの“約束”なのですか?」
「!! だから、なんでそんなに……! もうそれでいいですよ!!」
敦はそういうと医務室の前に立ちはだかった。心はそれを目で追うが、敦はそっぽを向く。心は目を伏せると、敦に背を向け外扉へ向かった。そしてドアノブに手を置く。
「“ーーーー”」
「……!」
敦が心の微かな呟きを拾う。その言葉に驚いて顔をあげたが、心の姿はすでになかった。
*
「お、心。お前どこに行く?」
「……国木田さん」
探偵社が入っているビルの階段を降りていると国木田と出会う。心は目を伏せた。
「少し出てきます。あ、これ彼女の携帯です。バッテリーや通信やらの処理は完了していただいています」
心はそういうとポケットから取り出した携帯を国木田に渡す。国木田はその行動に眼を見張る。
「これはお前から本人に渡すつもりだったのではないのか?」
「敦さんから、彼女に関わってはいけない……と」
「それで引いたのか? お前が。らしくないぞ」
「敦さんとの“約束”なので、僕は関われません」
「! あいつ、そんなこと言ったのか」
「はい。怒らせてしまったようです。なので、僕は外に出ています。気になってしまうでしょうから。あと、これ…僕が調べた資料です。彼女の異能は以前お伝えしたイレギュラーな異能であると想定されます。その資料を集めました。あとは皆さんの判断で……」
「…わかった。しかしあの娘は軍警に引き渡すことになるだろうがな」
「そう、ですか……。残念です」
「出掛けるのはいいが、気をつけろよ。社長に言われてることを忘れるな」
「約束は忘れていません。では…」
「ああ」
心は国木田に頭を下げると、その場を後にした。
*
「はぁ……」
心はトボトボと街中を歩く。
「おーい、心君」
「! 潤君…」
後ろから声を掛けられ振り返った心。そこへ谷崎が少し早足で駆け寄る。
「こんなところで会うとはね。外出??」
「…あ、うん。ちょっとね…」
「?? どうしたんだい?」
「……」
「……いつもの心君らしくないね」
「……潤君」
「?」
「いや、何でもない」
そういって心は顔を反らす。谷崎はそんな心をみて少し困った顔をしつつを、妙案を思いついたと指を鳴らす。
「そうだ。心君。手が空いてるなら太宰さんを探すの手伝ってくれない?」
「え?」
「僕一人だとまだかかりそうだからさ。心君がいると助かるよ」
「……わかった」
谷崎はニコッと笑う、それにつられる形で心も微笑んだ。
それから二人は、太宰を探す。街の人に情報を集めたり、行きそうなところを探して行く。
「人探しの異能とかあればいいのにね」
「確かに。また探してみるよ」
「そういえば、ロシアで異能は見つけ……」
キキッーーー!!
大きなブレーキ音、そしてエンジン音が轟く。それは日常で聞く音ではない。
会話を止めた谷崎と心は、頷くとすぐ現場に向かった。
そこでは地面に座り込んで震えている女性、それを支える別の女性、そして数人の男女が道の先を見ていた。谷崎はメモ帳を取り出す。
「すみません。武装探偵社です。何かあったんですか?」
「武装探偵社!。実は今、誘拐が…」
「男の子が貨物自動車 に投げ込まれたの」
「黒服の男が黒い着物の女の子を連れて別の車に乗るのも見たぞ」
「黒い着物の女の子…?」
「それって、こんな子でしたか?」
心は、細雪で鏡花の姿を示した。突然の映像に目撃者達は驚きながらも頷く。
「ということは、拐われたのは敦さん」
「え! 敦君が!!?」
「うん。マフィアの仕業だ」
「それはまずい!! とりあえず、社に戻ろう。急いで皆んなに伝えなきゃ」
「……うん」
谷崎はそういうと走り出す。心はその後を追いかける。探偵社への階段も駆け上がると、扉を開けるすると室内はバタバタと騒ぎになっていた。
敦が目を覚まし、皆に安堵の空気が漂う。敦も起きたばかりの身体を動かし、いつも通りの調子を戻していた。
「敦さん」
「心さん!」
「ご無事でなによりです」
外から帰ってきた心は席に着いている敦に声をかけた。
「心さんは大丈夫でしたか?」
「はい。僕は何にもお役に立てませんでした」
眉を下げる心。敦は両手を振りそれを否定する。
「そんなこと!! 聞きました追いついてくれたって。ありがとうございました!!」
心はニコッと笑った。敦はふと、心の手に持っている資料に目をやる。
「ところでその資料は?」
「あ、これは彼女の異能について調査記録です」
「?」
「社長から許可をいただき、彼女の異能について調査をしていました。彼女の思考を少し読んだりもさせていただいたので、おおよそ掴めたかなーと言うところなのですが…」
「思考を読むって?」
「ええ。ロシア遠征で身につけた新しい異能で、彼女の記憶を少し覗かせていただきました」
「え…!?」
「かなりお辛いことになっていたようです」
「見たんですか、人の記憶を」
「はい。彼女の異能について手掛かりになればと…。あと、彼女の記憶について少し気にある事がありますので彼女の目が覚めたら確認したいと思います」
「……」
「あ! そうだ、敦さん。調査して一応僕なりに仮説を立てたのですが、実際彼女の異能を見た敦さんの見解も……」
聞かせてほしい。
そう言いかけて、心は閉口した。敦の瞳の揺らぎから、怒りを感じたからだ。
「敦、さ…」
「ーーー彼女よりも異能が大切ですか?」
「えっ……」
「彼女は異能で苦しんでいた!! 勝手に自分の異能を使われていて!! そんな彼女の記憶を覗いたって!!!」
敦の声は事務所中に響いた。事務員達が固まる。心は慌てた。
「そ、それは! 彼女の異能を理解するためで。本当にもう少しで解明できそうなんです……そうすれば彼女が異能を…」
「解明って、“能力のコピー”のためですか?」
「!」
「心さん、おかしいのわかってます? 異能なんかよりも、彼女のことを心配するのが普通じゃないですか!! なのに貴方はさっきから異能異能って、いくら異能が好きだからって“人としてどうなんですか”!!?」
「!!……」
「もう、彼女に関わらないでください!!」
「……それは」
「?」
「……。…敦さんとの“約束”なのですか?」
「!! だから、なんでそんなに……! もうそれでいいですよ!!」
敦はそういうと医務室の前に立ちはだかった。心はそれを目で追うが、敦はそっぽを向く。心は目を伏せると、敦に背を向け外扉へ向かった。そしてドアノブに手を置く。
「“ーーーー”」
「……!」
敦が心の微かな呟きを拾う。その言葉に驚いて顔をあげたが、心の姿はすでになかった。
*
「お、心。お前どこに行く?」
「……国木田さん」
探偵社が入っているビルの階段を降りていると国木田と出会う。心は目を伏せた。
「少し出てきます。あ、これ彼女の携帯です。バッテリーや通信やらの処理は完了していただいています」
心はそういうとポケットから取り出した携帯を国木田に渡す。国木田はその行動に眼を見張る。
「これはお前から本人に渡すつもりだったのではないのか?」
「敦さんから、彼女に関わってはいけない……と」
「それで引いたのか? お前が。らしくないぞ」
「敦さんとの“約束”なので、僕は関われません」
「! あいつ、そんなこと言ったのか」
「はい。怒らせてしまったようです。なので、僕は外に出ています。気になってしまうでしょうから。あと、これ…僕が調べた資料です。彼女の異能は以前お伝えしたイレギュラーな異能であると想定されます。その資料を集めました。あとは皆さんの判断で……」
「…わかった。しかしあの娘は軍警に引き渡すことになるだろうがな」
「そう、ですか……。残念です」
「出掛けるのはいいが、気をつけろよ。社長に言われてることを忘れるな」
「約束は忘れていません。では…」
「ああ」
心は国木田に頭を下げると、その場を後にした。
*
「はぁ……」
心はトボトボと街中を歩く。
「おーい、心君」
「! 潤君…」
後ろから声を掛けられ振り返った心。そこへ谷崎が少し早足で駆け寄る。
「こんなところで会うとはね。外出??」
「…あ、うん。ちょっとね…」
「?? どうしたんだい?」
「……」
「……いつもの心君らしくないね」
「……潤君」
「?」
「いや、何でもない」
そういって心は顔を反らす。谷崎はそんな心をみて少し困った顔をしつつを、妙案を思いついたと指を鳴らす。
「そうだ。心君。手が空いてるなら太宰さんを探すの手伝ってくれない?」
「え?」
「僕一人だとまだかかりそうだからさ。心君がいると助かるよ」
「……わかった」
谷崎はニコッと笑う、それにつられる形で心も微笑んだ。
それから二人は、太宰を探す。街の人に情報を集めたり、行きそうなところを探して行く。
「人探しの異能とかあればいいのにね」
「確かに。また探してみるよ」
「そういえば、ロシアで異能は見つけ……」
キキッーーー!!
大きなブレーキ音、そしてエンジン音が轟く。それは日常で聞く音ではない。
会話を止めた谷崎と心は、頷くとすぐ現場に向かった。
そこでは地面に座り込んで震えている女性、それを支える別の女性、そして数人の男女が道の先を見ていた。谷崎はメモ帳を取り出す。
「すみません。武装探偵社です。何かあったんですか?」
「武装探偵社!。実は今、誘拐が…」
「男の子が
「黒服の男が黒い着物の女の子を連れて別の車に乗るのも見たぞ」
「黒い着物の女の子…?」
「それって、こんな子でしたか?」
心は、細雪で鏡花の姿を示した。突然の映像に目撃者達は驚きながらも頷く。
「ということは、拐われたのは敦さん」
「え! 敦君が!!?」
「うん。マフィアの仕業だ」
「それはまずい!! とりあえず、社に戻ろう。急いで皆んなに伝えなきゃ」
「……うん」
谷崎はそういうと走り出す。心はその後を追いかける。探偵社への階段も駆け上がると、扉を開けるすると室内はバタバタと騒ぎになっていた。