その姿はまさしく可憐な少女である
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「それでは失礼いたします」
国木田から聞いた住所の会社へ行き、佐藤と言う人物に会った。その姿に驚かれつつも笑顔で書類を受け取り会社を後にした心。太宰の足跡探しをしようと駅前を通り過ぎようとしていた。
「なんだか焦げ臭いですね…」
「只今、緊急事態のため駅は封鎖しております。申し訳ございません」
「!」
駅の改札の前で駅員が頭を下げているのが見え、心はその駅員の下へ歩み寄る。
「すみません」
「あ、お客様申し訳ございません、只今駅の利用は…?」
「武装探偵社の夢見 心と申します。状況を知りたいのですが…」
「武装探偵社!!? 貴方のような女の子が?」
心はクスッと笑う。それはともかくと、女性の時の心の顔写真が入った社員証を見せた。駅員が事情を話してくれる。
「実は、20分前に出た電車の車両が爆発したらしいとの話が…」
「20分前!」
「そうなんです。走り出してしばらくしてからで…」
「(まさか、与謝野先生達が乗っているのでは…) …その電車は今は?」
「まだ走っている様です。車掌に連絡をしたのですが、繋がらず…。速度はそれほど出ていない様ですが、それ以上はつかめていないんです」
心も与謝野に携帯を鳴らす。しかし、出ない。現在敦が狙われているという状況があることも考慮すると、与謝野と敦が何かに巻き込まれている可能性は大いに考えられる。
「わかりました、状況に対応します。中に入れていただけませんか?」
「え?」
「お願いします」
駅員に頼み込み、心は構内に入った。
「ここから追いつくなんて無理ですよ。相手は電車です」
「そうですね。でも追いつけないと大きな事故になります」
「ですが…」
「大丈夫です。きっと何とかしてみます」
心はそういうと、駅員に許可をとり、線路内に入った。今は後続の電車は止めているらしい。
「(後ろから電車が来ることはない。とりあえず、急ぐには、氷、風、摩擦…ですかね)」
「“氷結の骸” 」心が呟くと、足元から氷が線路に伸びる。
「“神の風”」と言葉を重ねると、自身身体に風を纏う。
「 “フラットフラット”」足元を氷に乗せる。
「では、行って来ます」
心は一声いうと、摩擦が無くなった靴で凍った線をの上をまるでスケーターの様に走り出した。
「うん、中々。順調順調」
心は高速で進んでいる。吹き付ける風は纏った風でカバーそれを原動力に後方から風を受け、よりスピードを増す。
「おっと」
電車が停止している。どうやら対象の車両の1つ後に出た電車らしい。
「横からですかね」
氷の方向を線路から電車の横に架空の道を作り、そこを滑る。電車の中にいる人々は突然真っ白な少女が通り過ぎるのに驚きの顔を見せた。
「この先でしょうか…」
電車を通り過ぎた心は先へ進む。
「あれ!」
それからさらに数十分。心は先に走る電車に追いついた。風を強める。
「最後尾が相当ひどい、急がないと」
最後尾が爆発にあったかのように、黒焦げになっていた。並走しながら、外から割れた窓で車内を見る。すると見知った顔を見つけた。
「! 与謝野先生!!」
「心かい?」
「ご無事ですか?」
「ああ。私はね。でも敦が落ちちまった」
「!!」
「あいつの異能なら、無事だと思うが……。とりあえず電車を止めるために先頭車両に行こうと思う。回り込んでくれるかい?」
「わかりました」
「頼むよ」
与謝野の指示を受けて心は外側から電車の先頭車両へ回り込む。すると、運転手は生きていた。
「おや。ご無事ですね」
心は並走する電車の窓を叩く。その音で運転手が驚きの瞳で心を見る。突然の少女の登場で運転手がさらに混乱していると、心はニコッと一つ笑みを浮かべ、窓を開けて欲しいとジェスチャーをした。運転手は恐る恐る窓を降ろす。
「武装探偵社です。お怪我はありませんか?」
「武装探偵社!!? ええ、大丈夫です。ただマフィアが…」
「それは良かった。マフィアは他の社員が対処しました。もう安全ですので、本部と連絡をとり、駅に止まるようにしてください」
「! 本当ですか??」
「ええ、もちろんです」
「わかりました!!」
運転手は無線の電源を入れ、報告を入れ出した。心はその間に開いた窓から小さな体を車内に入れる。そこで与謝野と合流した。
「!」
「与謝野先生。今対応していただいてます」
「そうか、良かったよ」
「あとは敦さんですね」
「ああ、国木田に連絡を入れる」
「はい」
与謝野が連絡を入れた後、探偵社によって無事敦とマフィアの少女、鏡花が保護された。電車も駅に無事止めることができ事無きを得たが、梶井は姿を消した後だった。
その翌日
「まさか梶井基次郎と戦っていたなんて……」
「悪かったよ、あン時は妾も慌ててね」
「……うー…」
男として普通に出社した心は、報告書をみて机に突っ伏して拗ねた声をあげる。梶井を見れなかった悔やみがそうさせていた。それにため息を吐くのは与謝野。
「はぁ……困ったねェ」
「与謝野さん、心の機嫌を直すなんて簡単だよ」
「へっ?」
乱歩が軽い足取りで歩いてくる。与謝野は乱歩の知恵を借りようと耳を傾ける。
「おーい、心」
「……」
「与謝野先生が、異能見せてくれるよ」
ピクッと心の身体が動く。
「梶井は昔見たことあったろ? それに加えて今回はあの梶井を治療したのと同じように治療してもらえる。これって“追体験”って言うんじゃじゃないか?」
乱歩はしたり顔で、伏せっている心に問いかけた。その瞬間、ガバッと立ち上げる。
「追体験……!!」
「「「(ああ、やっぱり変態だ……)」」」
社内にいた全員が同じことを思った。そんなこともつゆ知らず、心は与謝野の手を取る。
「与謝野先生…!! 追体験させてくれるの!!?」
「え…ああ。それでいいのかい?」
「うん!」
「ほら直った」
菓子を手に、ケラケラと笑いながら席に戻る乱歩。一方機嫌の直った心はキラキラした瞳で与謝野を見ていたのだった。
一時の平和。敦が目を覚ます数日前の話である。
国木田から聞いた住所の会社へ行き、佐藤と言う人物に会った。その姿に驚かれつつも笑顔で書類を受け取り会社を後にした心。太宰の足跡探しをしようと駅前を通り過ぎようとしていた。
「なんだか焦げ臭いですね…」
「只今、緊急事態のため駅は封鎖しております。申し訳ございません」
「!」
駅の改札の前で駅員が頭を下げているのが見え、心はその駅員の下へ歩み寄る。
「すみません」
「あ、お客様申し訳ございません、只今駅の利用は…?」
「武装探偵社の夢見 心と申します。状況を知りたいのですが…」
「武装探偵社!!? 貴方のような女の子が?」
心はクスッと笑う。それはともかくと、女性の時の心の顔写真が入った社員証を見せた。駅員が事情を話してくれる。
「実は、20分前に出た電車の車両が爆発したらしいとの話が…」
「20分前!」
「そうなんです。走り出してしばらくしてからで…」
「(まさか、与謝野先生達が乗っているのでは…) …その電車は今は?」
「まだ走っている様です。車掌に連絡をしたのですが、繋がらず…。速度はそれほど出ていない様ですが、それ以上はつかめていないんです」
心も与謝野に携帯を鳴らす。しかし、出ない。現在敦が狙われているという状況があることも考慮すると、与謝野と敦が何かに巻き込まれている可能性は大いに考えられる。
「わかりました、状況に対応します。中に入れていただけませんか?」
「え?」
「お願いします」
駅員に頼み込み、心は構内に入った。
「ここから追いつくなんて無理ですよ。相手は電車です」
「そうですね。でも追いつけないと大きな事故になります」
「ですが…」
「大丈夫です。きっと何とかしてみます」
心はそういうと、駅員に許可をとり、線路内に入った。今は後続の電車は止めているらしい。
「(後ろから電車が来ることはない。とりあえず、急ぐには、氷、風、摩擦…ですかね)」
「“氷結の骸” 」心が呟くと、足元から氷が線路に伸びる。
「“神の風”」と言葉を重ねると、自身身体に風を纏う。
「 “フラットフラット”」足元を氷に乗せる。
「では、行って来ます」
心は一声いうと、摩擦が無くなった靴で凍った線をの上をまるでスケーターの様に走り出した。
「うん、中々。順調順調」
心は高速で進んでいる。吹き付ける風は纏った風でカバーそれを原動力に後方から風を受け、よりスピードを増す。
「おっと」
電車が停止している。どうやら対象の車両の1つ後に出た電車らしい。
「横からですかね」
氷の方向を線路から電車の横に架空の道を作り、そこを滑る。電車の中にいる人々は突然真っ白な少女が通り過ぎるのに驚きの顔を見せた。
「この先でしょうか…」
電車を通り過ぎた心は先へ進む。
「あれ!」
それからさらに数十分。心は先に走る電車に追いついた。風を強める。
「最後尾が相当ひどい、急がないと」
最後尾が爆発にあったかのように、黒焦げになっていた。並走しながら、外から割れた窓で車内を見る。すると見知った顔を見つけた。
「! 与謝野先生!!」
「心かい?」
「ご無事ですか?」
「ああ。私はね。でも敦が落ちちまった」
「!!」
「あいつの異能なら、無事だと思うが……。とりあえず電車を止めるために先頭車両に行こうと思う。回り込んでくれるかい?」
「わかりました」
「頼むよ」
与謝野の指示を受けて心は外側から電車の先頭車両へ回り込む。すると、運転手は生きていた。
「おや。ご無事ですね」
心は並走する電車の窓を叩く。その音で運転手が驚きの瞳で心を見る。突然の少女の登場で運転手がさらに混乱していると、心はニコッと一つ笑みを浮かべ、窓を開けて欲しいとジェスチャーをした。運転手は恐る恐る窓を降ろす。
「武装探偵社です。お怪我はありませんか?」
「武装探偵社!!? ええ、大丈夫です。ただマフィアが…」
「それは良かった。マフィアは他の社員が対処しました。もう安全ですので、本部と連絡をとり、駅に止まるようにしてください」
「! 本当ですか??」
「ええ、もちろんです」
「わかりました!!」
運転手は無線の電源を入れ、報告を入れ出した。心はその間に開いた窓から小さな体を車内に入れる。そこで与謝野と合流した。
「!」
「与謝野先生。今対応していただいてます」
「そうか、良かったよ」
「あとは敦さんですね」
「ああ、国木田に連絡を入れる」
「はい」
与謝野が連絡を入れた後、探偵社によって無事敦とマフィアの少女、鏡花が保護された。電車も駅に無事止めることができ事無きを得たが、梶井は姿を消した後だった。
その翌日
「まさか梶井基次郎と戦っていたなんて……」
「悪かったよ、あン時は妾も慌ててね」
「……うー…」
男として普通に出社した心は、報告書をみて机に突っ伏して拗ねた声をあげる。梶井を見れなかった悔やみがそうさせていた。それにため息を吐くのは与謝野。
「はぁ……困ったねェ」
「与謝野さん、心の機嫌を直すなんて簡単だよ」
「へっ?」
乱歩が軽い足取りで歩いてくる。与謝野は乱歩の知恵を借りようと耳を傾ける。
「おーい、心」
「……」
「与謝野先生が、異能見せてくれるよ」
ピクッと心の身体が動く。
「梶井は昔見たことあったろ? それに加えて今回はあの梶井を治療したのと同じように治療してもらえる。これって“追体験”って言うんじゃじゃないか?」
乱歩はしたり顔で、伏せっている心に問いかけた。その瞬間、ガバッと立ち上げる。
「追体験……!!」
「「「(ああ、やっぱり変態だ……)」」」
社内にいた全員が同じことを思った。そんなこともつゆ知らず、心は与謝野の手を取る。
「与謝野先生…!! 追体験させてくれるの!!?」
「え…ああ。それでいいのかい?」
「うん!」
「ほら直った」
菓子を手に、ケラケラと笑いながら席に戻る乱歩。一方機嫌の直った心はキラキラした瞳で与謝野を見ていたのだった。
一時の平和。敦が目を覚ます数日前の話である。