【W7編】 ヤガラレース

夢小説設定

この小説の夢小説設定
名前
苗字

いざこざもなく平和でちょっと退屈な1日がまもなく終わる。
いつも通り仕事に勤しんだガレーラの船大工達は、自分の仕事道具の手入れをしていた。


『カク』

道具の手入れを終え、腰の道具を入れるポーチにしまったカクは名を呼ばれ後ろを振り返る。そこにはルンペンがいた。


「? おお、ルンペンか。どうしたんじゃ?」

『お前らが注文した資材を発注してきた。仕事終わりで悪いが、確認してくれ』

「もう来たのか! 資材部は仕事が早いのォ」

『急ぎだと聞いていたからな』

ルンペンはそう言うとこっちだとカクを先導する。そして到着した資材の山をリストを元に確認作業を始めた。





「おお~い! ルンペン、カク!」

「『?』」

資材を確認する二人にヒラヒラと手を振り、歩み寄ってくるのはパウリーだ。やけに機嫌がいい。


「なんじゃ、パウリー?」

「遊びに行こうぜ!」

『……仕事中だ』

「わーってるって、ルンペン! だから、それ終わったらヤガラレースに行こうぜ!」

「ヤガラレース…!? 懲りん奴じゃな。また借金が増えるぞ!」

「大丈夫だって! 今日のおれはツイてんだ。ルンペンも行くよな?」

『……興味ないな』

「なんだよ!!てめェはいつも無愛想だな! 飲みにも行かねェし。たまには付き合えよ!!」

『……面倒だ』

「……っ」

「…ふむ」

カクは2人のやり取りを見て、仲裁に入った。


「まぁまぁ、二人共落ち着くんじゃ。ルンペン、パウリーの言うことも確かじゃ。たまにはみんなで遊んでみんか?」

「へへん! さすがカク。わかってんじゃねェか」

『……』

ルンペンはパタンと資材リストを閉じる。二人の期待の視線に、ひとつため息をついた。


『……ヤガラだけならいい』

「おっしゃ! じゃあ、行こうぜ!」












ヤガラレース会場

「おし、今日は当ててパァと騒ぐぞ! おばちゃん、6-3で10枚」

「あいよ」

「お前らも買えよ!」

「うむ、そうじゃな。5-2で3枚じゃ」

「おお! 5ね。カクお前、なかなかわかってんじゃねェか!」

「ハハ。そうか……(こりゃ多分当たらんなァ)」

カクはため息をつく。パウリーの予想はアテにならないからだ。


ルンペン、てめェはどうすんだ?」

『……』

ルンペンは掲示板ではなく、賭け切符販売店の隣にある大きな樹を見上げていた。


「また樹かよ。おい、ルンペン!!」

『……ああ、8-4。1枚でいい』

「8-4!? おいおい、大丈夫かよ。そいつら最近勝ってないぜェ」

『……構わない』

「……。もったいねェな。まぁいいや! よぉし!レースを見に行くぞ!!」

「おう!」









[おおっと今回のヤガラレースは波乱の展開!! 一着はなんと8番!そして二着は4番だ!!!]


「「!!!」」

『……』

パウリーとカクは目を見開く。ギギギと壊れたロボットみたいにパウリーは顔をルンペンに向けた。

「お、おい!ルンペン! お、お前何番だった?」

『?…さっき言ったはずだが』

「確認だよ、確認!!!」

『……8-4だ』

「!! カ、カクくん。8-4の倍率は?」

「倍率も何も……大穴じゃ」

『?』

「「……」」

パウリーとカクはぎこちなさそうに互いに顔を向ける。そして、ニヤッと笑った。


「「やったー―!!!」」

『!』

「やったのォ、ルンペン!!」

『……』

パウリーとカクがバンザーイと騒ぐ。ルンペンはそんな2人を呆れた目でみていた。


「やべェやべェぞ! ルンペン、さっさと交換して来いよ!」

『……はぁ』

ルンペンはパウリーにヤグラ券を差し出す。パウリーは目を丸くした。


「な、なんだ? 換えて来いってか?」

『いや。欲しいならやる。おれには必要ない』

「「!」」

「マジか……お前、これ給料の2倍以上あんだぞ。いや、くれるっつうなら貰ってやるが…」

「いかんぞ、ルンペン!! パウリーにやったらまた借金を作るだけじゃ!!」

『じゃあ、換金をしなければいい…』

「「言い訳ないだろ(じゃろ)!!」」

ルンペンは券を裂こうとするが、パウリーとカクがすごい勢いでそれを阻止した。ルンペンは至極面倒そうに眉を寄せる。


『……なんなんだ?』

ルンペンは興味なさすぎるぞ!」

「まったくだ。とりあえず、換金に行くぞ。んでルンペンのおごりで飲もうぜ!」

「おう!そりゃいいのォ! ルッチも呼ぶか??」

「いいんじゃねェか。ルルやタイルスタインも呼ぼうぜ! みんなでドンチャン騒ぎだ!」

『……待て、おれはヤガラだけだと…』

「ダメじゃ! 主役が消えては話にならん!!」

「そうだ!ほら行くぞ!! タダ酒飲みに!!」

「おう!」

『……はぁ。これだから、嫌なんだ』

「「なんか言ったか??」」

ルンペンの呟きに暢気な二人が首を傾げる。ルンペンは首を横に振った。


『……何もない』

「そうか、じゃあブルーノ店に出発~~~!!!」

「行くぞルンペン!」

『おっ、おい……!?』

二人に肩を組まれるルンペン。わいわいと騒ぐ二人に諦めたルンペンは黙ってついて行った。
1/1ページ
スキ